浦和南に4-0で快勝
(最終日、18日・NACK5スタジアム大宮)
決勝を行い、関東大会県予選王者の武南が浦和南に4―0で快勝し、10年ぶり16度目の優勝に輝いた。
武南は前半10分、松原のゴールで先制。同16分に戸上のパスから川上が追加点を奪った。同28分に松原がPKで3点目を決めると、後半26分には戸上がダメ押し点を挙げた。
武南は全国高校総体(7月29日~8月4日・北海道)に出場する。
終始主導権を握った武南が、浦和南に4発を見舞い快勝した。
前半10分、松原のミドルシュートで先制点を挙げる。同16分に戸上のパスから川上のゴールで加点すると、同28分に松原がPKを決めて3点目。後半26分には、松原のクロスから戸上がヘディングシュートで得点を決めた。浦和南は持ち味の堅守を発揮できず、攻撃でも好機を築けなかった。
伝統校復活の序章
浦和南―武南 後半26分、武南・松原のクロスから戸上(9)がダイビングヘッドで4点目を決める
埼玉高校サッカーの時代を築いてきた両校。NACK5スタジアム大宮のメーン、バックスタンドは満席となり、立ち見客が出るほど注目された一戦は、圧倒的な攻撃力で4得点を挙げた武南が制した。10年ぶりの栄冠に内野監督は「ひと言では言えない」と語った。
浦和南は準決勝で昌平を破るなど今大会5試合でわずか2失点。強固な盾に対し、松原は「中央の密集度が高いから、サイドをワイドに使った」。武南の矛が相手の持ち味を打ち砕いた。
前半10分、松原のゴールで先制すると、スイッチが入った。同16分には、敵陣左サイドで戸上のヒールパスから川上が「崩しからの得点がイメージ通り」とドリブルで持ち込み、右足でゴールで決めた。その後も松原と飯野の両サイドで攻撃を形成。3―0の後半26分には、飯野から松原にパスが渡り、最後は戸上の頭で4点目を奪った。
2月の県新人大会、4月の関東大会県予選を制覇し、今大会で3冠目となった。1981年度の第60回選手権大会で全国優勝を果たした。常勝軍団だった時代から時がたち、近年は県内のタイトルからも遠ざかっていたが、復活の序章が始まっている。
OBの内野監督は「昔みたいにすごいことはできないけど、また新しい歴史に名を刻めたらいい」。再び〝武南〟を全国に知らしめるべく、インターハイに挑む。
前半失点 立て直せず
前半31分、浦和南・伊田(右)が武南の島崎をかわして突破する
ノーシードから勝ち上がった浦和南は、前半の3失点が響き主導権を握れなかった。同校出身の野崎監督は「ずっとライバルの武南に決勝で0―4は、OBとしてちょっと言葉が出ない」と遠くを見つめた。
試合開始早々、強度の高い武南のプレスに手を焼きボールを失った。伊田は「前半で試合が終わってしまった」と守備を立て直す間もなく押し込まれた展開を悔いた。攻撃ではCK7本と好機を築くも、得意のセットプレーが影を潜め1点が遠かった。
横断幕には「23 1/28を忘れるな」の文字。1月の県新人大会南部支部予選で市浦和に敗戦してから、その合言葉を胸に練習を積んできた。今大会、準々決勝までの4試合を無失点。準決勝では前回王者の昌平をPK戦で下してきた躍進に、試合後も浦和南コールが止まらなかった。
指揮官は「良い経験をしてきた。明日からまた鍛え直しだね」と選手権予選に視線を向ける。敗戦から大きく巻き返したイレブンは、秋の大一番までに再び成長して戻ってくるだろう。
優勝の立役者 頼れる10番
松 原
武南の10番を背負う松原が2ゴール1アシストで10年ぶりの優勝に大きく貢献した。「今日はたまたま自分がゴールして結果が出ただけ」と謙遜したが、決勝での松原を誰も止めることができなかった。
前半10分、「狙っていた」と左サイドからクロスのような球質で放たれたボールは、相手GKが触ることができずにゴール。同28分にPKで自身2点目を決めると、後半26分には得点をアシストした。「これから輝ける武南をつくらないといけない。これは通過点」と頼もしい存在だ。
球際競り負け 再起を誓う
伊 田
前半2本のシュートを放ち、同29分にはドリブルでゴールに迫るなど攻撃をけん引した伊田だったが「点を取れなければエースじゃない」と背番号10の役割を重く受け止めた。
後半は激しいマークに遭い、球際で競り負けてボールに触れることすら難しかった。伊田は「この借りを返し、選手権では最後まで勝ち続けたい」と強く再起を誓った。
=埼玉新聞2023年6月19日付け7面掲載=
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