浦実 全員野球でV
(最終日、29日・県営大宮)
決勝を行い、浦和実が西武台を9―1で下し、春夏秋を通じて初の頂点に立った。
浦和実は一回1死満塁で野本の右前適時打で先制。2―0の三回には無死満塁から工藤の2点適時二塁打などで一挙5得点してリードを広げた。西武台は相手先発に5安打に抑えられ、反撃は六回の田代の中犠飛での1点にとどまった。
浦和実と西武台は秋季関東大会(10月26日~11月3日・神奈川)に出場する。組み合わせ抽選会は10月11日に行われる。
浦和実―西武台 初の栄冠に輝いた浦和実の選手たち
浦和実は17安打9得点、1失点と投打がかみ合い西武台に快勝した。
浦和実は一回1死満塁で野本が右前適時打を放ち先制。2―0の三回には6安打を絡め5得点し、リードを広げた。投げては先発石戸が被安打5、1失点と好投した。西武台は相手投手を攻略できず、六回に田代の中犠飛で1点を返すのが精いっぱいだった。
一球への執念 壁破る
浦和実―西武台 1回表浦和実1死満塁、野本が先制の右前適時打を放つ。捕手金=29日、県営大宮球場
24年ぶりの決勝に挑んだ浦和実が全員野球で壁を撃ち破った。1975年の創部以来、春夏秋を通じて初の県制覇。照れくさそうな笑顔で胴上げされた指導歴35年超の辻川監督は「ほっとしている。頑張って練習してきた成果なのかな」と目を細めた。
2―0の三回に小技を絡めた集中打で試合を掌握した。無死満塁から6番工藤が中前適時二塁打を放つと、続く橋口、深谷の連続スクイズ(橋口の記録は内野安打)などで5得点の猛攻を見せた。
本塁打を放つような特出した打者がいない中、「勝つにはヒットが出たら次のバッターが送ってチャンスで1本を出す。それが責任」と先制の野本。個々の役割を理解し、得点を積み重ねられる打線が現チームの強みだ。
17安打の打力に加え、投手陣も安定。先発石戸は変化球を中心に的を絞らせない投球で被安打5、1失点。主将の小野は「全員でアウトを取る、全員でバントを決める。一球への執念を見せるのがうちの野球」とチームの信念が盤石な試合運びにつながっている。
今大会、数々の接戦を勝ち抜きノーシードから王座を奪った。指揮官は「(3回戦の)聖望学園戦が転機。(準々決勝の)浦和学院戦は奇跡で、昨日、今日は自分たちの野球がなんとなくできていた」と、大会を通じ自信を手にした選手たちの成長を実感していた。
3番山根
情報集め躍動 4安打2打点
浦和実の3番山根が4安打2打点と躍動した。今大会、準決勝まで全5試合に先発出場しながら3安打。「ここまで3番の仕事ができていなかったので決勝戦の舞台で打てたことが本当にうれしい」と白い歯を見せた。
チームは準決勝からの一晩で、立教新座など西武台と対戦経験のある友人から投手陣の情報をかき集めた。五、七回には適時打を放ち「攻め方を確認したおかげで捉えられた。自分の力を発揮できたので、これを続けていきたい」と、関東大会でもバットで勝利に貢献したい。
西武台 一矢も粘り発揮できず
6回裏西武台1死二塁、田代が中犠飛を放つ。捕手野本
初優勝を狙った西武台は序盤から相手打線の集中打を浴びて9失点。打線も5安打1得点と投打でかみ合わなかった。河野監督は「早々にリードされる展開で全てが後手に回った。ミスが多く出てしまい、完敗だった」と敗戦を受け入れた。
劣勢の展開でも持ち前の終盤力を信じて戦った。相手左腕の変化球に手を焼き淡泊な攻撃が続くと、各打者が次打者に相手投手の特徴を伝え状況の打開を図った。0―8の五回終了時にはベンチ裏で「1点取れば流れ変わるぞ」と主将の金の声が飛んだ。
直後の六回、金が積極走塁で一矢報いた。1死から三遊間にゴロを放つと捕球がもたつく隙に二塁を陥れた。続く田代が右中間へ大きな中飛を放つと「とにかく先の塁。迷わずに突っ込んだ」と二塁から一気に生還した。
今大会は準々決勝で狭山ケ丘、準決勝では春日部共栄にそれぞれ逆転勝ち。最終回まで諦めない粘り強さを示してきた。5年ぶり出場の関東大会に向けて金は「自分たちの武器に磨きをかけてひとつずつ勝利していきたい」と闘志を燃やした。
1年生の主砲 存在感示す
西武台の主砲田代が一矢報いる大飛球を放った。0―8の六回、1死二塁で内角の直球を捉えた。右中間フェンス際への飛球は中堅手のグラブに収まったが、二塁走者の金が生還。「4番として良い働きができた」と胸を張った。
今大会の地区予選から4番に座る1年。長打力が魅力だが「後ろに控えるバッターを信じてつなぐ意識が強い」と県大会ではコンパクトなスイングで低い打球を意識し、5試合で9安打を記録した。県で存在感を示した中心打者は、関東大会でも打線をけん引する。
=埼玉新聞2024年9月30日付け1、7面掲載=
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