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秋季高校野球県大会 昌平2年ぶり2度目の栄冠

浦和学院、反撃及ばず
山村学園3決制す
(28日・県営大宮)

 最終日は決勝と3位決定戦を行い、決勝は昌平浦和学院を6―3で破り、2年ぶり2度目の栄冠に輝いた。
 昌平は、一回2死二塁から斎藤の右前適時打で先制。2―1の四回には甲斐と金子晃の連続適時打などで3点を挙げ、五回にも1点を追加した。守っては、石井、佐藤勇、渡辺俊の継投で3失点にまとめた。浦和学院は、エース伊藤ら4人の投手を送り出したが、守備から流れを失い、巻き返すことができなかった。
 3位決定戦は、山村学園が東農大三を7―0で下し、創部以来初の秋季関東大会出場を決めた。先発鹿島が4安打完封。打線が12安打で援護した。東農大三は一度も三塁を踏めなかった。
 上位3校は県内開催の秋季関東大会(10月22~25、29、30日・県営大宮、レジスタ大宮)に参加する。組み合わせ抽選会は同11日。

 

2年ぶり2度目の栄冠に輝いた昌平の選手たち=28日、県営大宮

 

 序盤から得点を重ねた昌平が、浦和学院を振り払った。
 昌平は一回2死二塁から斎藤の右前適時打で先制。1―1の三回に斎藤の犠飛で勝ち越した。四回に甲斐、金子晃の連続適時打などで3得点。五回にも1点を追加した。
 浦和学院は守備のミスから劣勢に。5点を追う九回に斎藤の適時二塁打で2点を返したが、反撃もここまでだった。

 

無敗で未知への挑戦

決勝 昌平―浦和学院 4回裏昌平1死二塁、甲斐が中前適時打を放って二塁走者小林が生還する。捕手轟

 

 Bシードから一戦ごとに勢いを増した昌平が、昨秋王者・浦和学院を下し、2年ぶり2度目の栄冠を手にした。3点リードの九回、エース渡辺俊が最後の打者を3球三振に仕留めると、ナインはマウンドに駆け寄って全身で喜びを表現した。
 試合後、黒坂監督は「県内負けなしで(関東大会へ)行こうと言っていた。浦和学院を倒して優勝したことはすごく価値がある」と勝利をかみしめた。
 決勝でも昌平が今大会誇ってきた多彩な攻撃と機動力が光った。一回に4番斎藤の適時打で先制。1―1の三回に斎藤は「点を取れればいい」と自らの役割に徹し犠飛を狙い、勝ち越しに成功。四回には、一塁走者小林が盗塁を決め1死二塁とすると、1番甲斐、2番金子晃が連続適時打を放った。
 金子晃の適時打は、一塁線への強いゴロが転々とする間に、二塁走者甲斐が減速することなく一気に本塁を陥れる好判断だった。三度本塁を踏んだ金子晃は「なんとしてもチャンスをつくりたかった。積極的に先へ先へと思って走った」。新チーム発足後、力を入れてきた足を絡めた攻撃が勝負どころで実を結んだ。
 同校は春夏通じて、甲子園の土を踏んだことがない。関東大会には埼玉1位として挑む。指揮官は「このまま負けなしで、勝って選抜を決める」と、悲願の甲子園の切符をつかみにいく。

 

4番斎藤 扇の要 本領発揮

 昌平の4番で正捕手斎藤が、攻守で優勝に貢献した。まずは打撃で見せた。「後ろがいい打線なので結果を出すだけ」と一回に先制打を放ち、三回には犠飛とバットで打線に火を付けた。すると、守備でも本領発揮。「自分がやらなければ、まとまらない」と相手打者の読みを外す配球で3投手をリードした。
 「全幅の信頼を置いている」と黒坂監督が評価するほど、主将としてチームをまとめる斎藤は「一つでも勝って甲子園初出場に近づけたい」と関東大会に向けて力を込めた。

 

らしさ失いほころび

3回裏昌平1死一、三塁、ピンチが続きマウンドに集まる浦和学院の選手たち

 

 県内大会6季連続の決勝となった浦和学院は、これまでの浦学では考えられないような守りのミスが続き、2年連続の秋王者とはならなかった。
 「ほころびが出てしまった」と森監督が挙げたのは、3点を奪われた四回の守備。この回、記録上では1失策、1暴投だったが、内野陣が打球処理で手間取って内野安打とするなど、確実に取れるアウトを成立させることができなかった。
 「これまでミスがなかったから焦った。流れを変えるプレーができなかった」と主将の小林。打線は相手先発のスライダーに手を焼き、2番手以降も継投策にはまって四から八回までは無安打。快音とベンチから聞こえる声は勢いを失った。
 ただ、3週間後の関東大会に向けて課題が見つかったのは収穫。小林は「関東では決勝のような強いチームと戦うから粘り強さをつけて束になりたい」とチーム力を高める。
 エース宮城や投打の中心の金田がいた前チームと比べてスターは不在だが、「まだ、発展途上のチーム」(森監督)と伸びしろは十分。選抜出場を懸けた戦いまでの短期間で修正を図るつもりだ。

 

途中出場の斎藤
正捕手どりアピール

 四回の守りから出場した浦和学院の斎藤は、正捕手争いへ森監督にアピールした。
 1―6の九回2死一、三塁で、「技術はないけど、気持ちで粘りを見せた」と中越えの2点適時二塁打を放って一矢報いた。守っても3番手月野、続く鈴木由とバッテリーを組んで1失点に抑えた。
 チームはまだ正捕手が決まっておらず、轟、林の3人で競っている。「関東では自分が捕手として出て、無失点に抑えたい」と大舞台でマスクをかぶるつもりだ。

 

=埼玉新聞2022年9月29日付け1、7面掲載=

 

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