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第105回高校野球埼玉大会 開会式*大望を胸に威風堂々

開会式で整列する参加145チームの選手たち

 

選手宣誓

大宮工の鍵山主将

誇り高く球友へエール

気持ちのこもった選手宣誓を披露した大宮工の鍵山大地主将

 

 大勢の観衆が見つめる中、大宮工の鍵山大地主将が選手宣誓を務めた。大きな拍手に包まれ「生涯こんなたくさんの拍手をもらえる機会はない」と誇らしげに振り返った。
 宣誓文で特に思いを込めたのは、野球部の3年13人で話し合い、自分たちの姿を重ねた「青春を球に込め―」の一文。さらに「全員が甲子園に行けるチャンスがあると伝えたかった」と、英文を入れ、球友たちへのエールも忘れなかった。
 7月に入ってからは、毎晩のランニングのついでに近所の田んぼの中心で大きな声で練習してい
たことを照れくさそうに明かした。リハーサル後に人前で話すのは苦手だと話したが、本番では堂々と宣誓を披露し自己採点は「100点」と晴れやかな表情を見せた。
 大役を終え「ほっとしている。次は試合でベストコンディションを出せるよう切り替えたい」。春日部工―大宮の勝者と顔を合わせる13日の初戦に向け「(大宮工は)打順に関係なく点を取れる。そこを生かして勝ちたい」と、次はプレーで球場を沸かせたい。

 

開会式進行

本庄3年 小林さん

伊奈学園3年 荒井さん

息ぴったり「120点」

司会進行を務めた荒井萌花さん(左)と小林葵さん

 

 開会式の司会は、北部地区の野球部マネジャーから選ばれた伊奈学園3年の荒井萌花さんと本庄3年の小林葵さんが務めた。
 大役を全うした小林さんは「焦らずに落ち着いてできた」とほっとひと息。荒井さんは「小林さんが素晴らしかったので自分も頑張った」と胸を張った。前日のリハーサルが初対面だったという2人は息がぴったり。「声を合わせるところ、アイコンタクトが完璧だった」と振り返り、顔を見合わせて「120点」と満面の笑みを浮かべた。

 

プラカード先導

上尾 松本さん

家族が後押し 大役全う

大会プラカードを持って先導する松本美奈子さん(中央)

 

 入場行進では、上尾野球部マネジャー3年の松本美奈子さんが大会プラカードを持って選手たちを先導した。「朝、父からは『胸を張って頑張って』、母からは『美奈子なら大丈夫』と言われた」という。家族からの言葉が背中を押し、緊張しながらも堂々と大役を務め上げた。
 第100回の北埼玉大会で準優勝した上尾の選手たちの姿に心引かれ、高校入学時に小鹿野町から上尾市内に引っ越してきた。3年間の集大成を迎え「最大限、力を発揮できるように、みんなのことをサポートしていきたい」とチームを支える。

 

笑顔で場内アナウンス

大谷さん(熊谷西) 赤星さん(滑川総合)

場内アナウンスを担当した大谷優月さん(左)と赤星奏音さん

 

 熊谷西3年の大谷優月さんと滑川総合3年の赤星奏音さんは、入場行進中の参加チーム名の読み上げなど場内アナウンスを担当した。
 大谷さんは「素直に楽しかった。緊張しないでしっかりできた」。赤星さんは「ゆとりを持って話すことができた」と振り返った。大谷さんは自身の性格を「ハキハキ堂々」と話し、赤星さんは「ポジティブで前向き」と自己評価する。
 その言葉どおり、大役を務め切った2人は、アナウンスの点数を「100点」と声をそろえて笑顔を見せた。

 

Aシード 昌平

悲願の甲子園へ全力

 秋春王者でAシードの昌平は、チームが掲げる県内3冠、そして悲願の甲子園初出場のため、夏の頂点を奪いに行く。主将の斎藤は「先を見すぎず目の前の試合を全力で戦い、勝ちを積み重ねたい」と表情を引き締めた。
 8強入りした春季関東大会では、磨いた走塁と投手陣の奮闘が光った。7日に行った武蔵越生との練習試合はほとんどの得点に足を絡めて11―2と快勝。春、本塁打2本を放ち打率5割超えの2番金子は「だんだん(打撃の)調子が上がってきている」と大一番でもチームをけん引する。
 この夏の鍵を握る投手陣は「一人一人タイプの違ういいピッチャーがそろっている。夏へ向け投手陣の準備ができた」とエースの渡辺俊。走攻守、万全な布陣で勝負の夏を迎える。

 

Aシード 浦和学院

すべては夏のために

 Aシードの浦和学院は昨年の夏から県大会3季連続準優勝の雪辱に燃える。主将の江口は「合言葉の『すべては夏のために』を意識して準備してきた。やるべきことは変えずにいつも通りにプレーする」と決意を固める。
 春季関東大会の初戦では選抜大会8強の専大松戸(千葉)に八回まで3―1でリードするなど実力は十分。全国上位校を相手に5回を投げて1安打無失点に抑えたエース伊藤は、「優勝候補を相手に無失点で試合をつくれたことは大きな収穫だった」と関東の経験を自信に変える。
 春の県大会5試合で43得点の強力打線は4番の喜屋武が引っ張る。「得点圏打率とチャンスメークを意識してやってきた。冬からのバッティング強化を結果で示して甲子園に行く」と集大成の夏に臨む。

 

Bシード 大宮東

自分たちの野球を

 目標は33年ぶり夏の甲子園。大宮東の春季県大会4強入りに貢献したエースの2年左腕冨士は「自分の持ち味は奪三振。ピンチの場面で強気の投球を見せる」と意気込む。「調子も良いので、優勝を目指したい」と今から登板が待ちきれない様子だ。
 投手力を前面にした守り勝つ野球が身上。昨年夏の4回戦超えはもちろん、強豪私学の撃破も狙う。川合は「自分たちの野球を貫く」、桑野主将は「県立高校の意地を見せる時。春に負けた昌平を絶対に倒したい」と力を込めた。

 

Bシード 市川越

一戦必勝 雪辱誓う

 春の県大会で4強入りのBシード市川越。昨年に引き続いてのBシードだが、その重みは前回以上だ。主将の鈴木は「プレッシャーはある。目標は甲子園出場だが、まずは一戦一戦をしっかり戦う」と気を引き締め、「大会に向けスイッチが入って来た。浦学にリベンジをしたい」と雪辱を誓う。
 1年の秋からスタメンを張り、チームの打線をけん引する南も「昨年と違って重圧がある。周囲の期待も感じる」と話す。その上で「公式戦は楽しむ気持ちで打っていく」と語った。

 

都道府県功労賞に神谷氏
育成功労賞に森氏を選出

 

育成功労賞を受賞した森士氏(左)と功労賞の表彰を受けた神谷進氏

 

 日本高野連は「都道府県功労賞」に県高野連専務理事の神谷進氏(59)、「育成功労賞」に浦和学院前監督の森士氏(59)をそれぞれ選出した。
 神谷氏は久喜北陽や上尾の部長などを経て2020年から現職。森氏は監督として春夏合わせて甲子園に22度出場し、13年の選抜では県勢45年ぶりの優勝に導いた。2人は上尾時代の同級生。神谷氏は「ありがたいの一言」、森氏は「一緒に受賞させてもらい感謝」と喜んだ。
 このほか沢田勉氏(越谷西)、今井孝氏(進修館)、西沢達氏(入間向陽)が永年勤続表彰を受けた。

 

=埼玉新聞2023年7月9日付け6面掲載=

 

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