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第107回高校野球埼玉大会 あす開幕 甲子園切符争い激突

139チーム参加

 第107回全国高校野球選手権埼玉大会は9日、県営大宮球場で連合4チームを含めた139チーム(153校)が参加して開幕する。
 春季県大会を制し、2年ぶりの夏の栄冠を狙うAシード浦和学院が優勝候補の筆頭格。Aシード叡明、Bシード川越東、市川越が後を追う。前回優勝のCシード花咲徳栄、3年ぶりの甲子園出場を目指すDシード聖望学園も虎視眈々(たんたん)と王座を狙う。ノーシードからは昨秋の県大会を制して選抜大会で4強入りした浦和実や、昨夏の準優勝昌平が頂点を見据え、序盤から熱戦が繰り広げられそうだ。
 たった一枚の甲子園出場切符を手にするのは、どのチームか。激戦の行方を四つのゾーンに分けて展望した。

 

大宮北叡明ゾーン

シード校軸に展開

最速142㌔の直球で試合をつくる叡明の右腕田口

 春に飛躍を遂げたAシードの叡明が頭一つ抜けた存在となりそう。今春の県大会で60年ぶりに8強入りした大宮北、選抜4強の浦和実を破った聖望学園などが後を追う。シード校を中心として、どこがAシードを撃破しても不思議ではない。
 叡明は春季県大会で準優勝し、初の関東大会に出場。投手陣は枚数こそ少ないが増渕、田口の2枚看板が強力。堅実な守備からリズムをつくる。打線は同大会の山梨学院戦で相手を上回る10安打。3度の逆転打を放つなど粘り強さがある。
 Cシード大宮北は春季地区予選からしぶとく勝ち上がった。4番橋本、7番柴田に柵越えの一発が生まれるなど、打力は申し分ない。投げては、変則左腕の伊藤がエース。県大会3試合で1失策と堅い守りでバックが投手陣を支えたい。
 Dシード勢は聖望学園が3年ぶり5度目の頂点を狙う。春季県大会はエース中村の156球完投で浦和実に勝利。右腕大淵、鶴渕も控え、投手陣は充実する。市浦和は小技を絡めた機動力野球で勝負。1番折笠がバットでチームを勢いづける。
 昨夏に躍進したチームの奮闘にも注目したい。創部初の夏1勝を挙げた開智未来、初の8強に名を連ねた浦和麗明は共に春の地区予選で敗退。悔しさを糧に成長した姿を見せる。細田学園、川口青陵も昨夏に4回戦まで進むなど、地力は高い。

 

浦和学院松山ゾーン

強豪並び混戦模様

勝負強く広角に打ち分ける浦和学院の2番西田

 

 春の県覇者でAシードの浦和学院が4強候補の筆頭格。松山、川口工、伊奈学園と春に結果を残した公立シード勢がどこまで食らい付けるか。秋季県大会を制し、選抜大会でベスト4の浦和実も王座奪還に燃え、強豪ひしめく激戦区となった。
 超攻撃野球を掲げる浦和学院は例年以上に打線が活発。春季県大会は1番玉木から下位打者までに本塁打が生まれ、長打率は7割を超えた。1年時に出場した甲子園で4番に座った主将の西田、通算31本塁打と破壊力抜群の主砲藤井が打線をけん引する。
 浦和学院と初戦で対戦する本庄第一は春季県大会1回戦で昌平に完封勝利。2回戦でも花咲徳栄と2―5の接戦を演じ、台風の目となる可能性を秘める。Dシード川口工は長打力が魅力の4番右田を中心に伝統校復活ののろしを上げられるか。
 浦和実は春季県大会の敗戦から立て直しを図った。勝ち進めば4回戦で浦和学院と激突するとみられる。甲子園を沸かせたエース石戸が復活。堅実な打線は複数得点が期待できるだけに、駒木根、角国の控え投手陣が上位進出の鍵を握る。
 Cシード松山は投手3枚の起用に注目。先発完投型の吉田兼、内藤の両右腕が主戦。春に成長を遂げた十重田も試合をつくれる。Dシード伊奈学園は接戦をものにする勝負強さがあり侮れない存在。昨夏8強の東農大三も闘志を燃やしている。

 

市川越早大本庄ゾーン

序盤から熱戦必至

小技でつなぎチームの得点源となる市川越の2番篠

 

 Bシードは1989年の川越商時代以来の甲子園出場を目指す市川越。Cシードに早大本庄、Dシードに昨秋の県準優勝の西武台、同4強の山村学園が収まった。ノーシードには埼玉栄、春日部共栄などが入り、序盤から熱戦が期待される。
 市川越は足と小技を絡めた堅実な野球が身上。春季県大会は4試合11犠打と持ち味を発揮した。1点差で関東大会出場を逃した春の敗戦からサインプレーの種類を増加。つなぎ役の2番篠を中心に多彩な攻撃で相手守備をかき乱す。
 早大本庄は新チームの発足から着実に力をつけた。秋季県大会16強から今春の県大会で創部初の8強入り。4試合で27イニングを投げた最速143㌔右腕の田中が主戦。技巧派の左腕岡安とタイプの異なる2投手がチームを勝利に導く。
 山村学園はチーム力の底上げを図り、初の栄冠へ仕上がりは良好だ。エースで主軸の横田が勝負の鍵を握る。西武台は投打で態勢が整った。パンチ力のある2番金、一発を秘めた4番田代が打撃の中心。投手陣も層が厚く、戦う陣容は申し分ない。
 27年ぶりの夏の聖地を狙う埼玉栄は投打で楽しみな選手がそろう。1年秋から背番号1を担う和泉は集大成の夏に向けて調子が右肩上がり。長打力のある長岡、津郷の打撃にも注目したい。昨秋4強の春日部共栄も虎視眈々(たんたん)と上位をうかがう。

 

花咲徳栄川越東ゾーン

伝統校に新鋭まで

豊富なスタミナで長いイニングをこなす川越東の右腕直井

 

 初の甲子園出場を狙うBシード川越東と2連覇を目指す花咲徳栄を軸に展開されそうだ。昨夏の準優勝昌平、同16強の立教新座、川越工、不動岡など実力校もノーシードから頂点を見据える。実績のある狭山ケ丘、上尾がDシードに入った。
 川越東は春季県大会で10年ぶりに4強入り。5試合で53安打と打線が奮起した。中島、多田、星の上位打線は攻撃力が抜群。下位打線の名久井と片山は小技が光り、各自の役割を全うする。投手陣も層が厚く、投打で盤石の態勢が整った。
 花咲徳栄は春の敗戦で投手力の課題を露呈した。今夏は右腕正岡、背番号1の田島が中心となる。春の準々決勝は2度の満塁の好機を生かせず浦和学院に1―11で七回コールド負け。夏に照準を合わせるチームだけに、点差以上の差はない。
 花咲徳栄―昌平の昨夏決勝のカードが4回戦で実現しそうだ。昌平は前チームから主力の4番桜井、2番諏江、身長194㌢の大型右腕東川など個の能力はトップレベル。消化不良に終わった春季県大会から力の出せる仕上がりになった。
 好投手・皆川を擁する上尾はチーム一丸で41年ぶりの頂を見据える。集中打が出る打線は勢いづくと止まらない。長打力がある狭山ケ丘は堅実に犠打も絡め、隙がない。2年エース筒井、右腕小島が投げる立教新座の存在も楽しみだ。

 

 

=埼玉新聞2025年7月8日付け9面掲載=

 

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