創部以来初の聖地
第97回選抜高校野球大会は18日、甲子園球場で開幕する。1975年の創部以来、春夏合わせて初めて聖地の土を踏む浦和実は、大会第5日の22日、第3試合(14時開始予定)で8年ぶり3度目の出場となる滋賀学園と対戦する。
37年間チームに携わり、4月の還暦を目前に悲願の聖地への切符を手にした辻川正彦監督がつくり上げたのは、一人一人が役割を徹底し堅実に勝利をつかむ「執念の野球」。
昨秋は左腕石戸颯汰、駒木根琉空の二枚看板と捕手野本大智のバッテリーを中心とした守備力を武器に県大会で初優勝を飾ると、24年ぶり3度目出場の関東大会で勢いそのまま、初の4強入りを果たした。
全国の舞台で勝ち進むために、2月26日から6泊7日の静岡キャンプで集中的に攻守の精度を強化。3月10日に大阪入りの後、練習試合で実戦を重ね、本番に臨む。創部から半世紀、全国に名前をとどろかせるべく浦和実が初陣を迎える。
凍土に咲いた花 新章への幕開け
創部から半世紀、浦和実が初めて「センバツ」の舞台に上がる。練習場にはいつもと変わらず選手たちのにこやかな表情が並んでいた。辻川正彦監督は「うちにはピリッとしたものがないんだよな」と首を傾げながら「でも勝たせてくれたのもこいつらなんだよな」と目を細める。
寮がない。室内練習場がない。学校からグラウンドまで自転車で片道40分もかかる。冬になると、雑木林の陰になる本塁から三塁側にかけては昼過ぎまでぬかるんだままだ。「浦実の冬・永久凍土」などと呼ばれ、練習の障壁となる。
関東4強の実力校にはそぐわない環境で、寡黙に鍛練を積んできた。現チームから髪型の自由化や練習時間短縮、選手間投票によるメンバー選考などさまざまな変革に着手し、手にした甲子園切符。初出場に心躍らせるOBや地元の思いを背負い堂々と聖地に赴く。
試合前、甲子園球場には小野蓮主将考案の独特な円陣がこだまし、一体感を生むだろう。「勝つ準備はできてる?
Really? Are you ready? Let‚s go‼」。浦和実の新たな春が幕を開ける。
学校沿革
1946年に設置された私塾を起源とする私立校。75年に現在の浦和実業学園高等学校へと校名を改称した。普通科と商業科からなる男女共学校で生徒数は2762人。
2年次には全員がハワイに短期留学するなど国際教育に注力。2024年度は硬式野球部のほか、男女のハンドボール部、チアダンス部、ストリートダンス部が全国大会に出場。硬式野球部は1975年創部で、現在の部員は51人。
主なOBはプロ野球埼玉西武の豆田泰志投手、タレントの佐藤栞里氏、芸人のイジリー岡田氏ら。岡田慎一校長。
=埼玉新聞2025年3月18日付け特集紙面掲載=
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学校の特徴~学校からのメッセージ2024~
本校の校訓は、創設者の教育理念である「実学に勤め徳を養う」です。普通科には5つ、商業科には2つのコースがあります。ひとりひとりの生徒がそれぞれのコースのなかで、学力を高め、資格を取得し、様々な能力を伸ばしていける学校です。「生徒がどれだけ伸びたか」を大事にしています。併せて、運動部や文化部の活動、生徒会活動も活発であり、本校生徒の目は希望にあふれ生き生きと輝いています。
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