母校・山村国際高校の壮行会に訪れた山崎晃裕(中央)=19日午前、坂戸市千代田
パリ・パラリンピックの陸上男子やり投げに出場する山崎晃裕(28)=鶴ケ島市出身、東京国際大出、順大職=の壮行会が19日、坂戸市千代田の母校・山村国際高校で開かれた。同高時代は野球部に所属し、諦めずにやり切ることを培ったという山崎。「パリでは必ず最高のパフォーマンスをしてくる」と在校生を前に健闘を誓った。
山崎は生まれつき右手の手首から先がない。小学3年から野球を始め、山村国際高では野球部に入った。2013年の3年生の夏には全国高校野球選手権埼玉大会3回戦に代打で出場。逆転の2点打を放ち、チームを初の4回戦へと導いた。翌14年には障害者野球の日本代表として、世界大会での準優勝も経験している。
「東京パラリンピックに出場したい」と、15年からやり投げに転向。大会では7位の成績を収めた。
体育館で行われた壮行会には1~3年生約850人が参加した。
山崎は、あいさつで東京大会の結果に触れ「世界との差を感じた。3年間パリ大会だけを見据えて毎日、生活を送ってきた。心技体の全てにおいて、徹底して世界と戦うために準備してきた」と振り返った。また、高校時代を引き「どんな状況でも諦めずにやり切ると必ず良いことがあることを、3年間で学んだ」と強調。「全てやり切って最高の結果で恩返ししたい」と決意を示した。
生徒会長で3年の渡辺里雄さんは「パラリンピックにかける強い思いを胸に、日々の鍛錬で出場をつかみ取られたことをうれしく思います。本番では理想の放物線を目指すように頑張ってください」とエールを送った。中山達朗校長は「努力をして頑張っている卒業生がいることは、本校にとって誇りだ」と話した。
山崎は壮行会後、埼玉新聞の取材に「競技力を上げ結果を残した上で、同じ境遇にある仲間に希望を与えられるようなアスリート像が理想だ。それに近づけるように挑戦したい」と展望し、「自分は世界で一番強いと信じ込んでパリに行く」と話した。
野球部で指導した大坂仁監督は、高校時代の山崎について「胸に秘めて耐え忍び、それを試合で爆発させるタイプだった」と説明。「高校時代に比べると数段、人間性が高まっている。自分の力を精いっぱい出し切ってほしい」と激励した。
=埼玉新聞2024年7月20日付け6面掲載=
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