公認会計士や税理士への登竜門といわれ、合格率が毎回約1割程度の日本商工会議所(日商)簿記検定1級試験に、越谷総合技術高校情報処理科3年生の岡崎隼さん(18)が合格した。創立37年目となる同校初の快挙に、岡崎さんは「(自分の目標を目指し)最後まで突き進んだ結果」と冷静に喜んだ。
合格証書を披露する岡崎隼さん=越谷市谷中町
日商簿記1級は大学卒業程度の知識が必要とされ、試験には商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目がある。合格すれば税理士試験の受験資格を得られる。
主催する日商によると、岡崎さんが受験した6月の試験には8918人が挑み、合格者は902人。合格率は10・1%だった。合格率が1割に満たない年も多く、狭き門となっている。
岡崎さんが簿記と出合ったのは高校入学後。「感覚的に自分に合い、簿記を将来の仕事にしたいと思った」と勉強を始め、1年生の時に3、2級を取得。1級には2年生の時に2度挑戦するも不合格。そして今回、3度目の挑戦で合格をつかみ取った。
驚くのは独自の勉強方法。専ら学校の授業と自宅のオンライン講座が中心で、勉強時間は1日2~3時間程度。「勉強を長時間することが必ず良い結果につながるとは限らない」。短時間で集中力を極限まで高め、効率良く難問を解き進めた。
ホームページで合格を確認した時は「特にうれしい気持ちもなく、言葉に表せない不思議な感情」と岡崎さん。家族や学校など周囲の驚きが大きく、祝福を受けて、あらためて合格を実感したという。
簿記の授業を担当する石崎都幾教諭は、「自分が納得するまで独学で勉強し、黙々と問題を解き続けたのはすごいこと」と賛辞。簿記指導歴30年以上で、高校生の1級取得は初めての経験だそうで「本当に驚いた」と舌を巻く。野口剛志校長も「本校の生徒であることを誇らしく思う。素晴らしい快挙」とたたえた。
将来は公認会計士を目指し、高校卒業後は専門学校に進学する予定。岡崎さんは次の新たな資格取得も見据え、「簿記1級合格で終わりではなく、勉強するからにはその上を目指したい」と真剣な表情。夢である公認会計士に合格した時こそ「自分を褒めたいですね」。照れくさそうに、はにかんだ。
=埼玉新聞2022年9月15日付け10面掲載=
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