昌平 堅守貫き2年ぶり7度目V
(最終日、16日・埼玉スタジアム)
決勝を行い、昌平が武南を1―0で下して2年ぶり7度目の頂点に立った。
昌平は0―0で迎えた後半追加タイムに古川のパスをハーフライン付近でボールを受けた長(おさ)がドリブル突破し、左足を振り抜いて決勝点を奪った。シュート15本を浴びるも堅守を貫き、1点を守り切った。
優勝した昌平は、全国高校選手権(12月28日~来年1月12日・国立競技場ほか)に出場する。

2年ぶり7度目の優勝を決め、喜ぶ昌平の選手たち=16日午後、埼玉スタジアム
試合終了間際に決定的なゴールを決めた昌平が1―0で武南に勝利した。
昌平はボールの奪い合いで劣勢となり、自陣に引かされる場面も目立ったが個人の力で打開。後半追加タイムに長が左足を振り抜き、ゴール右隅に決勝点を決めた。武南は球際での強度とロングボールで好機をつくりシュートを15本放ったが、1点が遠かった。
苦戦連続も王座奪還

昌平―武南 後半追加タイムに昌平の長(左)が決勝ゴールを決める
試合終了の笛が鳴ると、昌平の選手たちは勝利の雄たけびと共にピッチに倒れ込んだ。攻守が激しく入れ替わる激闘を制し、2年ぶりに王座を奪還。3戦連続で苦戦を乗り越えた。芦田監督は「厳しい試合だった。最高の舞台に立てる」と肩の荷を下ろした。
前半から相手のショートパスとロングボールに手を焼いた。同15分過ぎには、中盤の立ち位置を変更する。長をトップ下から左SH、右SHの山口をトップ下に。山口は「リズムが良くなり、左サイドから起点がつくれた」と速攻につなげた。
後半は敵陣に進入し好機を創出するとカウンターで攻勢に転じた。同追加タイムにその姿勢がついに実を結ぶ。長がハーフライン付近から一気に攻め上がり、値千金の1点をもぎ取った。80分間で放ったシュートは5本だったが、勝負どころで仕留めた。
粘り強さと集中力は守備でも光った。シュート15本を浴びながら、GK小野寺を中心にゴールを割らせなかった。ボランチの人見は「後半からセカンドボールを回収できるようになった」と積極的なボールへの寄せでリズムを取り戻した。
苦しみ抜いた末の勝利に、主将の伊藤は「何点取られてもおかしくない試合だった。今大会全ての試合が難しかった」。年代最高峰のU―18プレミアリーグ所属、そして6月の全国高校総体県予選王者という重圧に打ち勝った。
準々決勝でPK戦、準決勝では延長戦を制した。決勝は試合終了間際で決勝点をもぎ取り全国への切符をつかんだ。長野から4月に就任した指揮官は「埼玉の予選は苦しかった」と群雄割拠の地での初制覇に喜びをかみしめた。
快足が生んだ決勝弾
MF 長
昌平の快足アタッカーが最終盤に値千金の決勝ゴールを奪った。スコアレスの後半追加タイム、敵陣から約40㍍をドリブル突破すると、最後は左足でゴール右隅に流し込んだ。「応援の声に背中を押され、諦めない気持ちを示せた」と誇った。
決して万全の状態ではなかった。10月初めに左足首を負傷し、復帰したのは準々決勝の1週前。「つらいことが多かった。チームがプレミアで戦う姿、練習を見て頑張ろうと思えた」と仲間からの刺激を力に変え、80分間を駆け抜けた。
1日の準々決勝に続き今大会は2得点。厳しい試合を重ねる中、左サイドからの仕掛けで何度もチームを救った。「練習もまともにできない中で試合に出してもらえる。出られない仲間のためにも数字が残せてよかった」と思いを巡らせた。
今夏の全国高校総体は準々決勝で大津(熊本)に0―5で大敗。「あの試合があったからこそ、ここまで来られた」と悔しい思いを2年ぶりの全国選手権出場の原動力とした。冬の晴れ舞台でも背番号7が自慢のドリブルで観衆を魅了する。
ピンチ救った気迫のセーブ
GK小野寺
自慢の攻撃陣が停滞した昌平だったが、GK小野寺が最後のとりでとして立ちはだかった。「攻撃がうまくいかない中で、チームが得点を取るまでは絶対に失点したらいけないと思っていた」と集中力を保ち続けた。
放たれたシュートは15本。複数あった相手の決定機に対し、気迫のセーブで最後までゴールを許さなかった。「(周りからは)熱いように見えたかもしれないけど、心の中では冷静だった」。最後尾で支えた背番号16が、勝利の立役者の一人であったことは間違いない。
変革で名門の輝き

後半15分、武南の渡辺(右)がゴールを狙う
伝統に新たな武器を加え、武南は19年ぶりの選手権を懸けた決勝に臨んだ。最後は昌平の個の力に屈したが、終盤まで息もつかせぬ攻防を演じた。内野監督は「信念を持ってやってきた自分たちのサッカーをよく表現してくれた」とうなずいた。
ドリブルとパスで組み立てるのが武南の伝統的なスタイル。現チームはその強みを残しつつロングボールにも磨きをかけた。「手前から崩すのか、一本入れてカオスな状態を生み出すのか」(内野監督)と戦術の幅を広げた。
変革は決勝の舞台でも生きた。後半14分、最終ラインからのロングボールを起点に中央を崩すと、有川が2人をかわしてシュート。得点にはならなかったが、有川は「互角以上に戦えていた」と確かな実感を得ていた。
DF陣は強度の高い守備を徹底した。準決勝までの2試合で5得点の昌平を後半終了間際まで無失点に抑えた。守備の中心となったのはCBの田村。両輪を担う倉本と連係し、個の力が強い昌平からゴールを守った。
敗れはしたものの、決勝の舞台で一歩も譲らぬ戦いを見せ、名門復活の気配に満ちていた。主将の平野は「難しい相手だったがちゃんと戦えた。武南のサッカーは、高めていけば全国でも輝ける」と進化を遂げたスタイルを貫いたことに胸を張った。
戦術のキーマン ライン際を快走
MF関口
武南の右ウインガー関口がライン際を駆け上がり相手の脅威となった。「持ち前のスピードを生かして抜いてやろうと思っていた」と背番号13が強気に前線に進出する回数が増えたことで、対峙(たいじ)するサイドバックを押し込んでいった。
レギュラーに定着したのは今大会前から。ロングボールで好機を探る戦術のキーマンとして、期待を寄せられた。「運動量と守りを意識して練習してきた。攻撃でも守備でも役に立ちたかった」と勝利のために脚を休めることはなかった。
昌平から最多6人 準優勝の武南4人
大会優秀選手
県高体連サッカー専門部は16日、全国高校選手権埼玉大会の優秀選手18人を発表し、2年ぶりの全国高校選手権出場を決めた昌平から最多の6人が選出された。準優勝の武南から4人、ベスト4の成徳大深谷、細田学園から各2人が選ばれた。
=埼玉新聞2025年11月17日付け1、7面掲載=
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