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高校サッカー埼玉大会決勝-西武台11年ぶり栄冠

西武台が浦和南を延長で下す

全国選手権1回戦は12月29日

 

11年ぶりの栄冠に輝いた西武台イレブン=14日午後、埼玉スタジアム

 

 サッカーの第100回全国高校選手権埼玉大会(埼玉新聞社など後援)最終日は14日、埼玉スタジアムで決勝を行い、西武台浦和南を延長の末、1―0で下し、11年ぶり4度目の栄冠に輝くとともに、全国高校選手権(12月28日~来年1月10日・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場ほか)の出場権を獲得した。
 西武台は延長後半7分、丸山の右クロスを安木が頭で合わせて決勝点を奪った。
 15日に全国選手権の組み合わせ抽選会が行われ、西武台は12月29日の1回戦で三重と対戦することが決まった(12時5分・NACK5スタジアム大宮)。

 

西武台

緻密な戦術と鍛錬結実

浦和南―西武台 11年ぶりの優勝を決めて喜ぶ西武台イレブン

 

 100分間の死闘を制した西武台の選手たちは互いに抱き合い、拳を突き上げた。11年ぶりに全国選手権の切符を獲得し、守屋監督は「100回大会で一つの結果が出せてほっとしている。選手、スタッフ全員の力」と実感を込めた。
 延長後半7分、安木のヘディングシュートがゴールネットを揺らし、決着した。4試合連続無失点と堅守を誇る浦和南に対し、西武台の緻密な戦術と日頃の鍛錬が実を結んだ。
 まずは空中戦への対応。前線にハイボールを入れてくる相手に対して、前半は3ボランチを敷きセカンドボールを拾うことに注力し、相手の狙いを消した。後半9分に松原を投入すると、前線の市川、細田と3人で柔軟にポジションを変えながら、攻撃の意識を高めた。
 後半38分から出場の吉野が、岡田とダブルボランチを形成。すると左サイドバック安木のより攻撃的なプレーが可能となり、決勝点につながった。
 入念な準備も功を奏した。主将の原田は「PK戦の準備をしていたし、その覚悟もあったから最後までしっかり戦えた」。PK戦も想定内の相手の術中にはまらず、冷静に戦い抜いた。
 練習ではポジションごとにランダムにメンバーを編成し、紅白戦を実施。個々の競争心を向上させるとともに、幅広いプレースタイルを養った。試合の状況に応じた戦術が取れ、その成果をピッチで存分に表現した。
 前回、全国に出場した89回大会は8強入り。守屋監督は「11年前、国立(準決勝、決勝)という景色が見えたのに落とした。もう一度そこまで上り、(国立に)連れて行ってあげたい」。準決勝、決勝の舞台が8大会ぶりに生まれ変わった国立競技場に戻る100回大会で、西武台の聖地を目指した戦いが再び始まる。

◆仲間に感謝の一撃

  安木の一撃が西武台を11年ぶりの全国選手権に導いた。PK戦が色濃くなってきた延長後半7分、安木のヘディングシュートがゴールネットを揺らした。「血が出てもいいと思い切り飛び込んだ。自分が先にボールに触れて、良いコースに飛んだ」と喜びをかみしめた。
 「PK戦に持ち込まれたくなかった。チャンスがあれば上がっていく」。左サイドバックから前線に上がり、ゴール前に走り込んだところで、丸山の右からのクロスにドンピシャリ。中学生時代のクラブチームから6年間一緒にプレーする2人のホットラインがさく裂した。
 2回戦後の練習で左膝を負傷した。「チームに迷惑を掛けたし、仲間への感謝の気持ちもあった」。準決勝から先発復帰すると、左足から繰り出す精度の高いキックで、好機を演出した。
 筋力トレーニングで上半身を鍛え、今年に入ってから3㌔増。1対1の対応にも自信を深める。「最低でもベスト4に行きたい。行けないチームではない」。小学生の時から意識していた100回大会で、西武台の背番号3が躍動する。

 

 

浦和南

残り3分 しのげず

 

 

前半18分、浦和南の戸部(4)が西武台の攻撃を防ぐ

 

 残り3分をしのげば狙い通りのPK戦突入だった浦和南。だが、延長後半7分に無情の失点。想定したシナリオが現実味を帯びていただけに、悔いが残る敗戦となった。「子どもたちは120パーセントの力でよくやってくれた」。野崎監督は、選手たちをたたえ感謝した。
 今大会、強固な守備で準決勝まで無失点を続けた。私学勢に比べ総合力で劣る公立校の弱点を補うべく、組織された前線からのプレスと運動量で相手を上回ってきた。選手たちが自分の役割を全うし汗をかくスタイルこそ、勝利への道だった。
 決勝の舞台でも今大会16得点を誇る西武台の攻撃を受けて立った。セカンドボールを拾われ、相手に押し込まれる時間が続いたが、焦りはなかった。「完璧だった」と振り返った主将の坪井と戸部の最終ラインを中心に、ボールをはね返し続けた。
 攻撃では前線へのロングボールを使い、相手の隙をうかがった。キーマンの大里が自由を奪われて攻め手を欠いたが、セットプレーではクロスバーに当たるシュートなど惜しい場面もあった。
 それでも最後の最後で失点を許した。「油断したつもりはなかったが、何かが足りなかった」と戸部。3年ぶりの全国はかなわなかったが、チームは目標へ向かって団結。試合後、指揮官が流した涙こそが、結束力の強さを象徴していた。

◆鉄壁コンビ最後の共演

 鉄壁のセンターバックコンビを形成した浦和南の坪井と戸部。堅守を誇るチームでも最終ラインを任された2人の存在感は抜群だった。準決勝までは無失点に封じ、「前線からプレスをかけてくれたおかげ」と戸部。チームメートへの感謝も忘れない。
 昨年からコンビを組むと、互いを信頼し連係を高めてきた。西武台の攻撃に一歩も引かず、空中戦で勝ち続けた戸部の横では、坪井の冷静な守備が光った。坪井は「一緒に全国でプレーしたかった」と相棒との最後のプレーに涙を流した。

 

埼玉大会優秀選手

 県高体連サッカー専門部は14日、全国高校選手権埼玉大会の優秀選手18人を発表し、11年ぶりの全国大会出場を決めた西武台から5人、準優勝の浦和南からも5人が選ばれた。

【大会優秀選手】
 ▽GK 浅沼李空(西武台)関根拓郎(武蔵越生
 ▽DF 原田蓮斗、安木颯汰、武笠隼季(以上西武台)戸部悠太、坪井優太(以上浦和南)中村優斗(武南)斎藤隼一(立教新座
 ▽MF 水野将人(武南)大里直也、宇山友貴、奥村青葉(以上浦和南)高松大地(立教新座)紀武瑠(浦和東
 ▽FW 市川遥人(西武台)南雲皓太(越谷西)金子弘輝(細田学園

 

 

 

全国高校サッカー

西武台の相手は三重

 

 

◆強豪ぞろい初戦に照準

 

感謝の思いを胸に全国選手権でも全力でプレーすることを誓った西武台の原田蓮斗主将=15日午後、さいたま市浦和区のテレ玉本社

 

 11年ぶりに全国の舞台に戻ってきた西武台の初戦の相手は、今夏の高校総体16強の三重に決まった。三重の印象を問われた守屋監督は「情報がないので、どんなサッカーをしているか分からない」とし、今後分析に努めるとした。
 初戦を突破すれば、2回戦は群馬代表―草津東(滋賀)の勝者とぶつかる。群馬の決勝は23日に前橋育英―桐生第一で行われる。守屋監督は「知らない相手ではない。楽しみにしているし、対戦できるよう1戦目をしっかり乗り越えたい」と、三重戦に照準を定めた。
 同ブロックには、前回大会優勝の山梨学院をはじめ、3度の全国制覇を誇る東福岡などの強豪が名を連ねた。主将の原田は「チャレンジャーの気持ちで1個1個しっかり戦いたい」と、埼玉大会同様に目の前の試合に全力を注ぐ。
 大会まで1カ月半。現在首位のS1リーグなどで実戦感覚を紡ぐとともに、守屋監督は「ベストなシステム、組み合わせを話し合い、全国にふさわしいチームに仕上げる」と、いっそうの磨きをかける。

=埼玉新聞2021年11月16日付け1・8・9面掲載=

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