2021年4月6日配信
間違いを受け入れ、どう違うのかを解決していくのが合格の近道
今年2月26日に行われた公立高校入試。昨年度の3年生の様子を振り返りつつ、近年の入試出題傾向を踏まえて、今年度の入試本番に向けて意識しておくことや勉強方法などをスクール21入試情報センターの内山慎所長に語ってもらった。
◆学校行事は受験生になるための大事な機会
-新型コロナウイルス感染拡大防止のための休校で、例年とは違う1年間となったと思います。昨年の中学3年生の様子はどうでしたでしょうか?
内山 例年の中学3年生ですと、新学期が始まって1カ月間ぐらいで、自分が中学3年生であることを実感し始めて、そこから部活動や修学旅行などのイベントを区切りに3年生から受験生へと意識が変わっていくのです。頑張ってきた部活の最後の大会が終わって、「さー、受験だ」と意識を入れ替える3年生が今までは一番多かったと思います。
ところが昨年度は長い休校期間が続きました。6月から順次学校が再開したのですが、部活動の大会や学校行事などが中止となり、昨年度の3年生は、受験生になるためのメリハリの機会が損なわれてしまいました。例年では、夏休みに入ると大きな入試関連イベントなどで受験生が受験生であることを認識する機会もあったのですが、それもなかった。模試も会場ではなく自宅受験が続き、1学期から夏までは戸惑いの連続であったかと思います。ですが、その後は、学校の先生方の子どもへのサポートを感じながら、9月10月くらいには「受験生」になっているお子さんが多かったです。
-コロナ禍を皮切りにスクール21でもオンライン授業を取り入れられていますが、オンライン授業はいかがでしたか?
内山 授業が終わってから質問をする生徒が例年より多かったかと思います。対面授業では、周りに他の子どもがいたりして、控えめな生徒は、質問するということが難しかったということもあったのかと思うのですが、オンラインではマンツーマンでの環境になるため、通常では先生に質問することができなかった子も、積極的に質問してくれるようになりました。このような環境があることもいいのかもしれないと思っています。
オンラインの課題としては、授業は非常にスムーズに進むのですが、「子どもたちの引っかかり」に気づきづらいことだと思いました。対面で授業をしているときには、子どもたちのノートを見ながら「ここでつまずく子もいるのだな」という気付きがあって、それを元にして指導者は授業を修正することができるのですが、どうしても子どもたちの手元が見えないとそのようなことができず、なかなか難しいものがありました。ですので、確認テストを実施して、そこからのフィードバックをしっかりするようにしました。
学習は、ひっかかったものを解決することが大事です。オンライン授業では、とり分けそういった環境を意識して作ることが大事なのだなと感じています。
◆×は学力向上のチャンス
-「ひっかかったものを解決する」というキーワードが出てきましたが、新中学3年生へ学習のポイントを教えていただけますでしょうか?
内山 塾でだけ一生懸命に勉強をする生徒は成績を効率的に上げることはできません。「授業の中でしっかり理解をする」という意識をもって学校の授業を受けることが大前提です。その上で、復習をし、自分が理解することの繰り返しが基本で、学校の授業→復習→理解を日々いかに大切にしたかが、学力の定着を決めているといっても過言ではありません。受験勉強とは特別なことでなく日々の勉強なのです。
今年度の公立高校入試の理科の問題に着目して説明しますと、過去に出題されたことのない初見に見える問題でも、学校の授業で行われた実験にきちんと参加し、その後復習をして、自分で理解を進めた子に向けられた問題も見受けられました。これはまさに「日々学んだことを理解しよう」とか「定着しよう」とか「わからないことに関してはそのことを解決しよう」というような習慣づけが大事であるということです。
―近年の公立高校入試の傾向からみて受験当日までに身に付けておくべき力はなんでしょうか?
内山 読解力を付ける・長文をしっかり読み切るという力だと思います。
例えば今年度の公立高校入試の英語の問題ですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための休校の影響で、文法レベルで削減があったものの難易度に変化があったかというとそのようなことはありませんでした。なぜなら近年の公立高校入試では、ただ文法の丸暗記をした生徒が優位になる問題ではないからです。「時間内で英文を読み取ることができるか」だったり、「英作文で表現できるか」だったり、「必要な英文読解力」が問われているのです。日頃から教科書をきちんと音読することなどが対策になるかと思います。
長文をしっかりと読み切るという点では、同じく今年度入試の理科や社会などの問題では、実験や試料を読み取る問題では、説明や問題文をしっかりと読み切れて、知識と結びついていれば答えが導けた問題がありました。
これは資料を読み切るという習慣をつけておくことが大事であるともいえます。例えば理科であったら、実験前後の資料は隅から隅まで読むことだったり、その他の教科に関しても学校で与えられた課題を全て読み切ることだったり。「できちゃえばいいや」になるのではなく、情報を全て読み切り整理する力を養うことが必要です。
いずれも問題集を解くだけでは養うことのできない力ではないかと思います。
―最後に、今日からできる勉強方法をお教えいただけますでしょうか
内山 問題集を何冊解いたかという勉強ではなく、「×を〇に変えていく」勉強をしてほしいと思います。問題を解いて間違えてしまったところは、絶対に残してください。レポートなどをきれいにまとめることが目的ではないですから、演習の際は極論すれば、消しゴムはいらないのかもしれないです。
よく不正解になってしまったところが恥ずかしくて消してしまう生徒さんがいますが、それはもったいないことです。間違った答案を消さずに全て残すことで、どこで間違ったのかを突き詰めることができるのです。そしてそれはさらなる学力の定着につながります。
間違えはチャンスです。まずは、間違えを受け入れる。そしてどうしてそれが違うのかを解決する。その繰り返しが意味のある学習になるのです。
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入試問題では、中学2年生までの学習で解ける問題もあります。
実際に、「令和3年度埼玉県公立高校入試」から下記3題を解いてみましょう。
※リンク先は埼玉県立総合教育センターのHPです。
→<解答>
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