埼玉新聞社 高校受験ナビ

高校受験ナビ「学校レポート」【私立編】開智高等学校(開智高等部)

2025年9月3日配信

 学校選びに迷っている受験生の皆さんに、確かな取材に基づいて最新の情報をお届けする“高校受験ナビ「学校レポート」”。

 今回は、進学指導に定評があり、埼玉県を代表する私立進学校の一つとして知られる開智高等学校(開智高等部)を紹介します。

 

 

◆同じスタートラインで始まる高校生活

 開智高校はさいたま市岩槻区にあります。最寄り駅は東武アーバンパークライン「東岩槻駅」で、大宮からは15分、新越谷・南越谷からは20分です。

 「東岩槻駅」の北口から学校までは徒歩15分で、住宅や木々に囲まれた静かな環境の中に位置しています。

 開智高校は、開智未来高校や開智所沢中等教育学校と同じ、学校法人開智学園に属しています。開智学園は小学校から大学・専門学校まで埼玉県を中心に12の学校を運営しています。

 開智高校は、「開智高等部」と呼ばれ、同じ敷地内にある「開智一貫部」と呼ばれる開智中学・高等学校と区別されています。「開智高等部」と「開智一貫部」は、それぞれ独立した二つの学校として運営されています。そのため授業や行事、部活動は別々に行われています(ただし、合同で活動している部活動もあります)。開智中学・高等学校は中高一貫教育を行う学校のため、高校からの募集はしていません。逆に、開智高校は高校のみの募集となるため、高校から入学した生徒しかいません。つまり、開智高校では全員が同じスタートラインに立って高校生活を始めることができるのです。

 

◆主体性を育てる「授業」「独習」

 開智高校では「創造的な思考ができ、的確な意思決定能力をもつ、各分野のリーダーの育成をする」という教育目標のもと、『智力』(=論理的思考力・意思決定力・表現力)を身につけていけるよう、「授業」と「独習」を学習の柱としています。

 すべての「授業」に共通しているのは、「生徒が主体的に参加するスタイル」です。

 先生が黒板に書いたことを写しているだけの受け身の授業ではなく、生徒同士で、またそこに先生も加わり「学び合い・教え合い」という形で主体的に授業が展開されています。

 また、「独習」では、授業などで学んだことを振り返り、考察し、自在に活用できるよう、独りで黙々と学習に取り組みます。極めて自律した学習の時間で、主体性を育てる開智高校の「教育の本質」と言えるでしょう。

 このふたつを柱として、様々な取り組みが展開されています。少し例をあげてみましょう。

 

【Step制】

 「○年生だから□を学習する」のではなく「最終的に~を身につけるために、この時期に□を学習する」というように、学年の枠にとらわれずに3年間をトータルコーディネートした学習項目の配置をすることで、「最も効果的な3年間の学習」を行うシステムです。

【学習コーナー・独習室】

 校内のいろいろなところに設けられている大きな丸テーブルは学習コーナーと呼ばれ、休み時間や放課後に自由に使うことができます。この学習スペースは職員室にも設置されていて、毎日多くの生徒が利用しています。また、落ち着いた環境で独習に取り組める個別ブース型の机を備えた独習室もあり、1・2年生は18時50分、3年生は20時50分まで利用できます。

【特別講座・講習会】

 1・2年生は月曜と木曜、3年生は月曜から土曜日までの毎日に設定されている、全員必修の放課後講座です。一言でいうと「大学受験対策」のための講座です。普段の授業で学習した内容を大学受験へ向けた学力に補強するために行われます。1・2年生は英語と数学、3年生は5教科に加え、医学部医学科を目指す生徒向けの医系講座が開校されます。

 また、夏・冬・春の長期休業期間には講習会や独習合宿が実施され、受験に向けた学力の補強だけでなく、「開智の独習」のお作法を身につけていきます。

 

◆クラス編成は進級時にリセット

 同校では入学時に「Tコース」「S1コース」「S2コース」の3コース制を設けています。コースによるカリキュラムや授業時間数の違いはなく、入試結果とクラス編成テストによる中学での学習内容の習熟度別でコース分けされます。コース分けは1年次までで、2年次以降は進級時に前年次の学習成績と文系理系の希望、進路目標によりクラスが再編成されます。特に3年次では文系理系だけでなく、国公立大学・難関私立大学を目指すⅠ類と難関私立大学のみを目指すⅡ類にクラス分けされます。

 進級時にクラスがリセットされるため、1年次にTコースでも2年次以降上位クラスが保証されることも、逆にS2コースだから上位クラスに編成されないということもありません。自分自身の努力次第で上位クラスに上がることも、上位クラスから下がることもあります。入学後も気を抜くことなく、勉強し続ける覚悟が必要となりそうです。

 

◆自主性を重んじる自由な校風

 このように、勉強面では厳しい一面がありますが、実は、同校は自由な校風です。自由とは、何をしても良いということではなく、生徒の自主性を大切にしているということです。

 例えば、文化祭や体育祭をはじめとする学校行事はすべて生徒が中心になって運営され、生徒の自主性が最大限重んじられています。また、部活動(課外自主活動)についても同様で、活動日や活動内容も生徒たちが話し合って決めています。もちろん、部活動に全員加入しなければいけないということもありません。

 

 「生徒が自分自身で選び、失敗も含めて学びとできる環境を用意することが、教員の役割である」という考えから、「先生が生徒を引っ張っていく」のではなく、「先生が生徒の前を歩かない」という生徒を後ろから支える教育を徹底しており、在校生や卒業生から「主体性や自主性を身につけられる学校」「自分の未来を自分で切り開ける学校」という声が多く寄せられています。

 

◆旅行ではなく研修

 Contemporary Issues(コンテンポラリー・イシューズ)と呼ばれる探究活動も、主体性や自主性を育むための重要な取り組みです。身近な「現代的課題」に注目し、そのテーマの背景にある多様な価値観に目を向けた「テーマ探究活動」です。研究の成果は1年次3学期にレポートで中間報告を、2年次1学期にはパワーポイントやポスターセッションによる発表を、それぞれ行います。

 また、2年次2学期には、CIの一環として、いわゆる修学旅行があります。しかし、同校では修学旅行ではなく現地研修という位置づけです。

 研修フィールドは「シンガポール」「広島・関西」「九州」の3コースがあり、各地での体験や調査を通してさらに知見を広げていきます。

 

◆確かな進路実績

 令和7年度の大学入試では、東京大学1名(現役なし)や京都大学4名(現役3名)を含む国公立大学へ95名(現役78名)、早稲田大学73名(現役71名)や慶応大学22名(現役20名)を含む難関私立大学へのべ575名(現役539名)、歯薬獣医系の学部へ40名(現役37名)、医学部医学科へ16名(現役13名)の合格者を出しています。

 難関大学への合格者数の多さもさることながら、現役生の合格者数の多さも見ることができ、これも同校の特徴です。

 主体性や自主性を大切にし、育んできた同校の教育による確かな進路実績であると言えます。

 

 

 開智高校は、進学実績が高いため「勉強ばかりの学校」と誤解されることがあります。しかし、勉強面での厳しさだけではなく、自由な校風も兼ね備えています。主体性や自主性、未来を自分で切り開いていく力を身につけることができる、そして生徒たちの成長を先生方が後ろからしっかりと見守っている。そんな環境が、開智高校の最大の魅力になっています。

 

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=

 

サイト内の開智高校の基本情報は→こちら

 

学校の特徴~学校からのメッセージ2025~

主体的な活動フィールドが広い学校です。開智の主体性とは、自分で考え、決定し、発信する「当事者意識」と集団の中での多様性を認め合い、尊重し合う「他者意識」とのバランスの取れた状態のことを指します。授業や行事にとどまらず、学校生活の多くの面でこの「主体性」を発揮して臨むことができる高校、それが開智です。

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