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高校生が「ウクライナ国立バレエ」公演取材

芸術は戦時下の希望

 ロシアから軍事侵攻を受けているウクライナの首都キーウに拠点を置く名門バレエ団「ウクライナ国立バレエ」(旧キエフ・バレエ)が2023年12月30日、川越市新宿町のウェスタ川越で公演を行った。近隣地域の高校生312人が招かれ、今回の来日シリーズが日本初演となっている「雪の女王」を鑑賞。終演後には各校の新聞部員らが、バレエ団で芸術監督を務める寺田宜弘さん(47)を取材した。

 

芸術監督の寺田宜弘さん(左)に質問する高校生たち=2023年12月30日、川越市新宿町のウェスタ川越

 

 川越会場での高校生招待は、2022年12月に続いて2年連続となる。来日公演を協賛している賃貸物件の空室情報提供サービス業「CHINTAI」(本社・東京)が、対象を前回の2校、100人から拡大。川越高校川越女子高校松山高校松山女子高校の県立4校と、市立川越高校の計5校から生徒たちを招いた。取材する機会の設定は初めての企画。
 「雪の女王」は、16年に同バレエ団が制作。アンデルセンが創作した同名の童話を基に、オリジナル作に仕上げた。バレエ団は現在、チャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」など、ロシア人作曲家の演目を行っていない。そのため、本国では「雪の女王」がクリスマスシーズンの新たな定番となっている。
 合同取材には川越高、川越女高、松山高、松山女高の各新聞部と、川越女高の放送部から計17人が参加した。生徒たちは、寺田さんに「思い入れのある作品は何ですか」「今回の公演で力を入れたことは」「どんな苦労がありましたか」などと質問。寺田さんは、戦争が始まって間もなく2年となる状況を踏まえつつ、丁寧に答えていった。
 ウクライナでは昨年12月29日、大規模なロシア軍の攻撃があった。しかし、キーウに残る団員たちは、本拠地のウクライナ国立歌劇場で「雪の女王」の2回公演を実施している。寺田さんは「作品の力によって、戦争中でも国民はクリスマスや新年を楽しく迎えられる」と強調。「日本の皆さんにも見ていただきたかったので、一日に5回も6回も警報が鳴ってもリハーサルを継続してきた」と、作品への愛情を示す。
 苦境下でバレエが果たす役割の重要性も自覚。寺田さんは「芸術や伝統があってこそ、国や民族の素晴らしさが残っていく」と語った。
 取材に参加した松山女高3年生で副部長の大沼夢苺さん(18)は「緊張とうれしさで、ドキドキしながら質問した。次の号が卒業制作になるので、今日の体験とバレエの魅力を記事で学校のみんなに少しでも伝えたい」と意気込む。川越高1年生の中村柊斗さん(15)は「ウクライナの大変な状況を聞き、平穏に生きられている自分たちの境遇に感謝しなければと思う」と真剣な面持ちで話した。
 ウクライナ国立バレエは3、5、6日に東京都内で「ドン・キホーテ」と「ジゼル」を上演。各地で14日まで、日本公演を行う。

 

=埼玉新聞2024年1月1日付け26面掲載=

 

 

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