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高校野球埼玉大会 森士氏が振り返る 埼玉は戦国の世界へ

叡明スタイル確立

 2021年夏まで浦和学院野球部の監督として30年間指揮を執り、現在はスポーツを通じた地域振興を目指すNPO法人ファイアーレッズメディカルスポーツクラブで理事長を務める森士(おさむ)氏が、第107回全国高校野球選手権埼玉大会を観戦した。長年、高校野球に携わり、埼玉県高校野球界をけん引してきた視点から大会を振り返る。

第107回埼玉大会を振り返る浦和学院前監督の森士氏=27日午前、県営大宮

 

 ―大会を振り返っての印象は。
 「前評判が高かった浦和学院、花咲徳栄など甲子園経験校が早くに負けて、新勢力の活躍が目立った。埼玉の高校野球の勢力図が変わりつつあると感じる。これから先、埼玉の高校野球は戦国の世界に入っていきそう」

 ―叡明昌平の決勝を観戦して。
 「近年力をつけている2校の対戦。叡明は自分たちの戦うスタイルが確立されていた。先発投手増渕君の成長など、春からのバージョンアップを感じた。昌平は叡明とがっぷり四つだった。本当に紙一重の戦い。投手継投の難しさを感じた試合だった」

 ―叡明の躍進をどう見ていたか。
 「夏に向けていいチームをつくってきたと感じた。野球の試合だけではなく、日々の学校生活を指導の中心に置き、選手たちが生き生きしていた。グラウンドとスタンドが一体となって理想的なチームだった」

 ―叡明には今春の選抜大会に続く甲子園の活躍を期待したい。
 「とにかく春からの成長が著しい。甲子園では結果ではなく、叡明のスタイルをとことん貫いてほしい。春の浦和実と同じく、周りとの比較ではなく確立したスタイルの集結をまた見たい」

 ―大会を通して印象に残った試合は。
 「4回戦の花咲徳栄―昌平戦。0―1の九回2死、徳栄が負けそうなところから追い付いたところに前年優勝校の意地を感じた。最後は(昨夏の)決勝と同じタイブレーク。悔しさを持っていた昌平が1年間、タイブレークの戦いを視野に入れたチームづくりをしてきたと感じさせる延長の攻防だった」

 ―準決勝は2試合ともに熱戦だった。
 「準々決勝の4試合が全て七回コールド。そこを勝ち上がったチームが準決勝で拮抗(きっこう)したゲームをした。特に(浦和実の)石戸君は、終盤にかけてさすがの調整をして昌平を追い詰めた。この夏は上位4校が夏に向けた集大成のチームづくりにたけていた」

 ―Bシード市川越を筆頭に公立校の活躍も目立った。
 「大宮北上尾市川越などのシードは地域で人気のある高校。文武両道を目指してやっている高校の活躍は目を見張るものがあった。指導者の熱心さと選手のひたむきさが実を結んだと思う」

 ―秋以降の勢力図をどうみるか。
 「きょう決勝を戦った叡明、昌平に、浦和学院、花咲徳栄などの実力校を合わせた僅差の戦いになると思う。どこが突き抜けようと決して不思議ではないという印象を残した大会だった」

 

=埼玉新聞2025年7月29日付け7面掲載=

 

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