今回のコラムから、令和4年度入試で出題された実際の問題を見ていきます。
◆数学
令和4年度入試の問題は
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数学の検査問題に、「学校選択問題」と「学力検査問題」の2種類がありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?
左が学力検査、右が学校選択です。
大問1の計算問題ですが、その違いは一目で分かると思います。学力検査はいわゆる基礎的な計算です。基礎がしっかりできるかが問われています。
それに対して学校選択は、1問目から複雑な計算問題が出ていることが分かります。この計算問題(1)~(4)は、県立御三家合格者でも間違える可能性のある難易度です。
計算問題だけを比べても、「学力検査問題」と「学校選択問題」では練習すべき学習内容が異なることが分かります。
続いて準共通問題とも言える、見た目が同じように見えてもよく見ると実は違うという問題を見てみましょう。
左が「学力検査問題」、右が「学校選択問題」です。ぱっと見ると、図がちょっとだけ違うなと思いますが、問題文を読んでみると2段落目の内容が違うということが分かります。
実は「学力検査問題」では、このグラフの中の四角形は、平行四辺形と明記されています。しかも点Dのy座標が8と与えられているため、非常に取り組みやすい問題になっています。
それに対して学校選択は、四角形は何であるか明記されていない上に、中点と垂直という条件のみが与えられています。
結果、この二つの問題は、思考する過程の複雑さが違うということです。学校選択の方が、より思考力が問われていると言えます。
続いて、「学校選択問題」だけに出されている問題を見てみましょう。
ぱっと見た瞬間、変わった問題だなと感じるでしょうか?実は、これは球の断面の問題です。問題自体もなかなかめずらしいタイプではありますが、さらに球の半径がrcmになっていることによって、より抽象度が高く、論理的思考力を深く問う問題になっています。ですから、学校選択では論理的思考力が必要だということです。
◆英語
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では、続いて数学と同様、「学校選択問題」と「学力検査問題」に分かれる英語の検査問題を見ていきます。
これも一見同じに見えても、よく見ると違う準共通問題です。左が学力検査、右が学校選択ですが、ほぼ同じ英文のようにみえます。何が違うかというと、まずは本文下の語注の数が違います。学校選択が2語に対して、学力検査は4語も載っています。つまり、知らなければいけない語彙力に差があることが言えます。また、出題方法も異なります。学力検査はア、イ、ウ、エから選ぶ、いわゆる記号選択問題です。それに対して学校選択は、適切な4語の英語を書きなさいという記述問題となっており、難度が高まっています。
続いて、「学力検査問題」だけに出された問題を見ていきましょう。
日本語を英語に直したメモがあり、所々が空欄になっていて埋めていくわけですから、単語のテストみたいな問題でした。主に基本単語が求められるので、毎日コツコツ英単語と熟語などを覚えたか問われたということです。
100点満点中13点の配点がされています。1割以上ですから、非常に大きいですよね。こういった問題でしっかり点数を取ることが必要です。ただし、今年のこの問題は少し難化していました。これまでは単語しか問われませんでしたが、空欄のBは熟語の一部を聞いていましたし、Dは3語以上で答えなさいという問題になっていました。しかし、コツコツと勉強をして、覚えるべきことを覚えればできる問題です。
では、「学校選択問題」のみに出ている問題はどのようなものでしょうか。先ほどの「学力検査問題」の英単語問題に対して、以下の長文問題です。
中学生がテストで出会う一般的な英文より長く、抽象的な内容になっています。この長文を読めるようにするには、文法力や語彙力だけでなく日々の長文読解の練習が必要になります。例えば速読トレーニング。一例ですが、テストで出てきた英文などを速く音読することを繰り返していくことが重要なのではないでしょうか。
最後に、英作文の問題を見ていきましょう。左が「学力検査問題」、右が「学校選択問題」ですが、同じ英作文でも出題方法がかなり違っています。
「学力検査問題」はテーマの「将来の夢」について3文以上で書きなさいという問題です。それに対して、「学校選択問題」は英文を読みとり、それに対する意見を40語以上50語程度で書かなければなりません。文章量が違うということで、難易度には大きな差があります。「学校選択問題」は長い英作文ができるような演習訓練をしておかなければいけないということが分かります。
◆学力検査・学校選択それぞれの勉強方法は?
では「学力検査問題」と「学校選択問題」、それぞれどのように勉強していけばいいでしょうか?
まず、「学力検査問題」。これは日々のコツコツとした学習が最も重要です。出てきたものをしっかり覚える、理解する、練習するという繰り返しです。
それに対して「学校選択問題」。もちろん日々のコツコツした勉強は当然必要です。その上で、より思考力や表現力が問われるような問題や、宿題を大事にしてほしいです。例えば、難しい問題だから、ここはとりあえず空欄にしておいて、学校の授業や塾の授業で説明を聞いてみようという受身の姿勢では駄目です。
少し手間はかかりますが、難しい問題に必ずチャレンジし、仮に途中までしかできなかったとしても、自分で考える作業をした上で、授業に向かうという姿勢が重要です。
=スクール21入試情報センター「2022年高校入試報告会」より=
☆次回は、5月12日に
コラム「令和4年度・国語&社会&理科の問題を分析」を配信します。
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