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Vリーグ男子「埼玉アザレア」地域共生 新たな舞台へ

 「埼玉で生まれたアザレアをなんとか存続させたい」―。川越に本拠地を置き、県内で唯一、日本バレーボールリーグ(Vリーグ)機構に所属する男子チーム・埼玉アザレアが、ひとつの転機を迎えている。地域密着型のクラブとして、新たな舞台への準備に奮闘する現状に迫った。

 

小学生にバレーボールを教える埼玉アザレアの選手(埼玉アザレア提供)

 

ファン拡大へ挑戦続く

◆原点は楽しさ
 埼玉アザレアは2010年、NPO法人アザレア・バレーボール振興会が運営するクラブチームとして発足。かつて川越坂戸西高で監督を務めた萩原秀雄部長の「バレーボールの楽しさを広めたい」という思いを原点に、婦人バレーの交流大会、小学校への訪問教室など競技の普及活動に注力してきた。
 選手20人全員が、会社員などフルタイムで働きながら、週2日の練習と土日に行われる試合をこなす。大企業が母体の実業団チームとは異なり、安定した戦力強化や雇用保証の約束ができない中、「守備力中心のコンビバレーで、感動を与えられる諦めない姿を見せたい」と相沢修監督。1部昇格を目指し一丸となって戦い、昨季は2部で10チーム中5位の成績を残した。

 

◆収入増が必須
 2月、日本バレーボール機構が24―25年シーズンの設立を目指す新リーグの構想を発表。目的別にリーグを分け、世界最高峰の競技力を目指すS―V.LEAGUEと、より地域共生を重視するV.LEAGUEが誕生する。6月にはリーグへの参加条件として、売上高の最低額などが各チームに提示された。
 埼玉アザレアは、V.LEAGUEへの参入を視野に入れており、猶予期間とされる30年までに売上2億円、収容人数2千人以上の体育館の確保などが必要。今季のホームゲームの平均観客数は302人、チケットやグッズ収入などの売上は2500万円。チーム維持のため、8倍以上の収入が必要な現状に萩原部長は「さらに前進するために地域の皆さまにぜひ応援してほしい」と呼びかける。

 

◆愛されるチームを
 ファンを増やし、愛されるチームをつくるため、同チームの元選手でもある切山雄樹副部長兼アカデミー代表は、さまざまな活動を模索している。昨季は初の取り組みとして土産付きのチケットを販売。川越開催の試合では「くらづくり本舗」の、熊谷では「五家宝」のお菓子を配り、地域と連携した振興に努めた。
 17年からは、誰でもバレーボールができる環境づくりとスポーツの楽しさを伝えることを目的に、小、中学生向けのアカデミーを開始。坂戸、川越、狭山、さいたまの4市で週に1度実施し、中学校にバレーボール部がない地域の生徒や、技術向上を図りたい選手ら計180人が参加している。22年には中学生チームのクラブ化を図り、今春4月の中体連の大会にクラブチームとして初出場した。
 14年、当時のチャレンジリーグに初参戦した時にはホーム戦に2千人のファンが押し寄せたこともあった。当時選手だった切山副部長は「プレッシャーとともに頑張らなきゃいけないと思えた。(観客数を)あの頃に戻して選手たちに体感してほしい」。
 今季のスローガンは、百花繚乱(りょうらん)。坂戸の市花・サツキをイメージした桃色のユニホームをまとう「ピンクの戦士」たちが埼玉の地で咲き続けるための、新たなチャレンジが始まろうとしている。

 

=埼玉新聞2023年7月17日付け1面掲載=

 

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