課題発見→仮説→検証→考察→発表…サイエンスの考え方を、これからの生徒の人生に役立てる
未来を担う科学技術系人材を育てることを狙いとした、理数系教育の充実を図る取り組みの「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)。文部科学省からSSHの指定を受ける県内8校のうちの1校の春日部高校では、1・2年生全員が対象の「課題研究プログラム」と希望者を対象したより専門的な授業を行う「エキスパートプログラム」を展開している。
■「春高 Science Code」は理数教育のためだけのものではない
「課題研究プログラム」は、1年生では「SS課題研究基礎」、2年生では「SS課題研究」として科目を設定。生徒の課題設定・解決能力などを身に付けることを目的としている。
6月上旬に行われた「SS課題研究基礎」の授業では、オンライン会議システムを使用し、1年生の9クラス360人へ向けて先行研究を調べる際のインターネットでの調べ方や本の探し方についてのガイダンスが行われた。
膨大な量の情報が流れるインターネットでは、信憑性の低いものや古い情報もありふれていることを実例を出して紹介。その中から信憑性の高い学術論文や、政府機関が公表している情報を取り出すことのできる検索方法を教師が教えると、生徒たちは実際に自分の端末で操作を行いながら正しい情報の獲得の仕方を学んでいた。
1年時のSS課題研究基礎では、約半間にわたって課題研究を行うための基礎知識や技能を学んだ後で、課題が与えられる。その課題研究の成果発表に向けて生徒たちは仮説をたて検証、考察を進める作業を行っていく。2年時のSS課題研究では、課題の設定から発表までの一連の行動を生徒自身が行えるようにする。
「春日部高校では、課題の発見から考察までの行動の流れを『春高 Science Code』と呼んでいますが、何も理数の研究だけで必要なものだとは思ってはいません」とSSH推進部主任の黒野正道教諭。「今後、生徒が大人になって社会に出ていく際に、どんな職種についてもこの行動は必要になってくると思っています」と話す。
■問題解決力を付ける
エキスパートプログラムでは、外部の専門家や研究者による「特別講義」を実施。対面講義だけでなくリモートでの授業の展開も行っており専門的な研究を進めることができる。
1年間同プログラムで学び「イシマキガイの卵の産卵場所および経過観察」を行った2年生の原浩大さん(17)は、「研究の成果をわかりやすくまとめることが大変だったが、そのポイントがわかった」と成果を語る。同じく2年生の小林泉吹さん(16)は、「火星と恒星の『赤』の違い」を研究。天体撮影をするために自身で準備を進めていったのにも関わらず当日うまくいかなかったことを挙げ、「事前準備でできると思っていたこことがあっても、自分には想定できていなかった問題に直面することがあることを思い知った」と話す。
黒野教諭は「どうすれば乗り越えることができるのか仮説をたてる。それでもうまくいかないことはたくさんある。だからこそまた仮説を立てて挑戦して解決する。春日部高校では、SSHを通してこれからの時代を生き抜く子どもたちの『21世紀型スキル』を育んでいきたい」と力強く語る。
春日部高校のSSHの取り組みは→こちら
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=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
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