地域文化 音楽で発信
荒川と柳瀬川、新河岸川の三つの川が流れる志木市は古くから河童(カッパ)伝説があり、今では市内各所に28体の河童像が設置されている。そんな志木市に転居した吹奏楽部顧問が、河童伝説を知り「地域文化の魅力を音楽で発信したい」と知人の作曲家に組曲の制作を依頼。河童伝説をテーマに完成した組曲「志木河童伝説」が22日、学校のホールで開かれる吹奏楽部の定期演奏会で初めて披露される。

定期演奏会で組曲「志木河童伝説」を披露する細田学園吹奏楽部の生徒ら(細田学園提供)
組曲を披露するのは同市本町の細田学園中学・高等学校吹奏楽部。顧問は加藤良幸さん(67)で、制作したのは広島市在住の作曲家・坪北沙綾香さん。
河童伝説が残る同市柏町の「宝幢寺」によると、寺の小僧が馬を柳瀬川で水浴びをさせていた際、馬が急に驚き、川から飛び出した。馬の後を追いかけた小僧が厩(うまや)に着くと馬が興奮しており、近くにいた河童を見つけた。小僧は「川で人や馬に悪事を働く河童」と考えたという。
近所の人とともに「焼き殺そう」と木につるし、薪に火を付けたが河童は涙を流し、許しを懇願。騒ぎを聞きつけた和尚が「今後は人や馬に危害を加えてはいけない」と諭して川に帰すと、翌朝に和尚の枕元に鮒(ふな)2匹が置かれ、その後は人や馬が被害を受けることは無くなったという。
加藤さんは広島市出身。高校卒業後、陸上自衛隊にトランペット奏者として入隊。その後、武蔵野音大などに国内留学し、指揮者に転向。各方面の音楽隊長などを歴任し、2018年に退官。同年から細田学園吹奏楽部の顧問として勤務するため志木市に転居した。
加藤さんは25年9月、同郷で知人の坪北さんに作曲を依頼。快諾した坪北さんは翌月、志木市を訪れ、宝幢寺や河童像を見て歩いた。「志木市役所近くの橋から見渡す景色は大変美しく、空が広く、変わりゆく街並みの中、川は変わらず人々の生活を支えていると感じた」と振り返る。
完成した「志木河童伝説」は映像やナレーションを交えた約20分の吹奏楽曲。「小僧と馬」「厩と河童」「暴れる馬」「吊(つ)るされた河童」「和尚と鮒2匹」など物語の各場面に合わせた組曲。定期演奏会では各場面ごとにナレーションのほか、各場面を描写した映像が映し出される。
坪北さんは「河童伝説は各地に存在するが、志木市の河童伝説は非常に分かりやすく、親しみやすい。この組曲を通じて、市の河童伝説がより具現化され、心に残る作品になればと願っています」と組曲が市民に浸透することを期待している。
同吹奏楽部の定期演奏会は午後2時~同4時まで、同学園「NOIBO Hall」で開催。定員500人。チケットは一般500円、中、高校生300円(小学生以下は無料)。
問い合わせは、同学園(☎048・471・3255)へ。

定期演奏会のチラシを手に来場を呼びかける細田学園吹奏楽部顧問の加藤良幸さん
=埼玉新聞2026年1月9日付け10面掲載=
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