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第98回選抜高校野球大会 花咲徳栄6年ぶり6度目 過去最高の8強超えへ

全国に挑戦

 第98回選抜高校野球大会は19日、甲子園球場で開幕する。6年ぶり6度目出場の花咲徳栄は、大会第3日の21日、第1試合(午前9時開始予定)で東洋大姫路(兵庫)と対戦する。春の甲子園での2010年以来の勝利、そして最高戦績の8強超えに挑む。
 前回の出場は20年大会。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、戦後初めて中止となった大会だ。同校が春の甲子園で優勝を懸けたトーナメントを戦うのは、さらに4年さかのぼった16年大会以来、10年ぶり。出場32校で6年ぶりの出場は花咲徳栄ただ1校である。
 昨秋の関東大会では、打撃力を武器に準優勝。そこから冬の期間で課題の守備と投手層を強化し、さらに力をつけた。秋より一回り大きくなった埼玉王者の実力を、春の甲子園で証明する。

 

攻 切れ目ない強力打線

 今年の花咲徳栄を象徴する打撃の爆発力。昨秋の関東大会1回戦では最大9点差をひっくり返し、続く準々決勝でも10得点。チーム打率3割超えのつながりだしたら止まらない打線で全国レベルの投手陣を崩しにかかる。
 秋季大会10試合で計28打点の笹崎、佐伯、奥野の強力な中軸が得点の中心。1番岩井と2番鈴木は高い出塁率でチャンスを生み出す。下位打線も9番市村ら一発がある打者が並び、どの打順からでも得点が期待できる。

 

投 左右でそろう本格派

 秋季大会10試合のうち8試合で先発を任されたエース黒川が投手陣を引っ張る。140㌔台中盤の直球にカットボールなどを織り交ぜ、押し切る投球で相手打線を抑える本格派右腕。スタミナも豊富で、完投、連投でも強い球を投げ込める。
 エースの脇を固めるのは左腕古賀と右腕石田。古賀は切れのある直球が武器で、石田も速球で押し込んでいく。本格派がそろうため、140㌔台の速球を苦にしない強豪校との対戦では、制球と変化球の質が鍵になりそうだ。

 

技 局面変え 好機を演出

 小技を交えた堅実な攻撃も強力な武器の一つだ。秋季大会では犠打、犠飛合わせて25本を記録しており、上位打線、下位打線にかかわらず状況に応じた役割をこなす。好投手との対戦で一本が出ない展開になっても、確実に走者を進め、得点に結び付ける。
 また、野手の控えには走塁、犠打などに秀でた選手が多く、ここぞという場面での起用で流れを変えられる。DH制導入も相まって、選手交代が多くなることが予想されるだけに、控え選手の活躍にも注目だ。

 

自立心育て待望の春

岩井 隆 監督

 春夏合わせて14度の甲子園出場を誇る名将は、今年のチームに大きな期待を寄せている。「最初からある程度出来上がっていた。あとはいいピッチャーをどうやって打つか」と総合力の高さを評価。全国の舞台で勝ち抜く術を模索する。
 指導する中で最も大事にしていることは、選手の自立心を育むこと。厳しく接する時もあれば、あえて口を出さずに離れて見守ることもある。「バランスが難しい。我慢だよ、もう我慢だらけ」と成長を待つ時の心の内を明かした。
 新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった2020年以来の春の甲子園。当時の選手たちはもう残っていないが、岩井監督にとっては待ちわびた舞台となる。「野球の春は選抜から。思い切ってやりたい」と意気込んだ。

 

硬式野球部マネジャー

「普段通りで」

選手を支えるマネジャー陣。(右から)大久保美生さん、江崎桃菜さん、鈴木花怜さん

 

 選手61人を支える3人の女子マネジャーは、大舞台に挑む仲間たちを優しく見守る。新3年生の大久保美生さんは「普段通りの自分で、納得いくプレーができるよう頑張って」とエールを送った。
 人数は少ないが、選手の軽食作りや試合運営などあらゆるところでチームに貢献。新3年生の江崎桃菜さんは「もっとみんないい選手になってほしい」と願いを込める。新2年生の鈴木花怜さんは「前回よりも一勝でも多くできるようにサポートしたい」と選手同様、気合を入れた。

 

躍進支える心の成長

 第98回選抜高校野球大会は19日に甲子園球場で開幕する。花咲徳栄は昨年の秋季関東大会で投打ともに力を示して準優勝し、6年ぶりの春の甲子園出場を決めた。技術の高さに加え、選手たちの精神的な成長がチームの力を押し上げている。

実戦形式の練習に励む花咲徳栄の選手たち=2月20日、花咲徳栄グラウンド

 

■ 考える力

 2月20日、同校野球場。打撃練習中の選手に、少し離れた位置から「違う」と岩井監督の声が飛んだ。選手は言葉の意味を考え、チームメートと相談し、またバットを振り始める。「考えさせる。手取り足取りやるのは違う」と指揮官はあえて短い言葉で助言を与える。
 試合中、監督はベンチから指示を出せるが、プレーすることはできない。一瞬の判断は、グラウンドに立つ選手たちに委ねられている。緊張感や恐怖に打ち勝って最善のプレーを選択するには、自ら考える能力が必要不可欠だ。
 練習中だけでなく、食事や睡眠など生活の管理も選手自身で行う。左翼手の市村は「自分の体は、自分が一番分かっている。僕はけがが多いので、体のケアに気を遣っている」と語る。内面が磨かれることで、選手としても成長が促進される。

 

■ 一球の怖さ

 精神的な成長に大きく影響を与えた試合がある。昨夏の県大会4回戦の昌平戦。延長タイブレーク十回裏にサヨナラ満塁本塁打を浴び、敗退した。当時グラウンドには佐伯、岩井虹、笹崎ら現在の主力が立っていた。
 「一球の怖さを知った」と岩井監督。新チームが始動すると、隙の無い強い組織を目指した。岩井虹は「昨年は甲子園出場を目標にして、かなわなかった。今年は甲子園で勝つことを目標にした」と志高く、結束力を強めた。
 現チームの強さを象徴する試合がある。秋季関東大会1回戦の法政二(神奈川)戦。五回終了時で0―9と「コールド」間際まで追い込まれた。逆境から「チームでゴロや低い打球を心がけた」(市村)と無欲の打線が奮起。10点を奪って逆転勝利を収め、決勝まで勝ち進んだ。

 

■ 課題を直視

 関東準優勝で選抜を確実なものにしてからは、新たな課題を持って冬の練習に打ち込んだ。秋季大会8試合に先発したエース黒川は無敗だったものの、計23失点と安定感を欠いた試合もあった。「情けないピッチングをした」と意欲的にフォーム改善に取り組んだ。
 野手陣も負けていない。関東大会決勝では檜垣、菰田ら全国屈指の投手陣をそろえる山梨学院から4得点。中軸を担う奥野は「レベルが上がるピッチャーも打っていかないといけない」とマシンで150㌔の速球をひたすら打ち込んだ。
 選抜の舞台は、各選手が重ねてきた努力を開花させる絶好の機会となる。本田主将は「個々のレベルが成長している。一戦必勝で優勝を狙う」と自信を胸に本番を迎える。

 

=埼玉新聞2026年3月19日付け5~7、9面掲載=

 

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