16年ぶり春勝利
東洋大姫路(兵庫)に3-2
第98回選抜高校野球大会第3日は21日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1回戦3試合が行われ、6年ぶり6度目出場の花咲徳栄は東洋大姫路(兵庫)に3―2で競り勝ち、初戦を突破した。春の甲子園での勝利は16年ぶり。
花咲徳栄は攻守で粘り強さを発揮した。守備ではエース黒川が132球の力投で完投。四、五回以外は全て走者を背負ったが、要所を締める投球で2失点に収めた。打線は七回までわずか1安打に抑えられたが、0―1の八回1死から谷口、市村の安打などで満塁のチャンスをつくると、岩井の押し出し死球で同点。続く鈴木の遊ゴロの間に走者2人が生還し、逆転に成功した。
花咲徳栄は第7日の25日、2回戦で日本文理(新潟)と8強を懸けて対戦する。(午前11時半開始)

第98回選抜野球大会で、入場行進する花咲徳栄の選手たち=19日午前、甲子園球場
終盤に粘りを発揮した花咲徳栄が東洋大姫路に3―2で競り勝った。
0―1で迎えた八回に谷口、市村の安打などで1死満塁の好機を築くと岩井が押し出し死球。続く鈴木の遊ゴロの間に走者2人が生還し、逆転に成功した。黒川は9回132球の力投で2失点にまとめた。
東洋大姫路は走者を出しながら8残塁と打線のつながりを欠いた。
好機逃さず形勢逆転
花咲徳栄が23年越しの雪辱を果たした。2003年の選抜大会準々決勝で延長十五回再試合で
敗れた東洋大姫路に、1点差で勝ち切った。「春の名勝負」をほうふつとさせる再戦で緻密な攻撃を展開。岩井監督は「前半は相手がいい状態で来ていた。よく粘ってくれた」と選手たちをたたえた。
丁寧にコースを突いてくる相手左腕に手を焼き、打球はことごとく守備の正面を突いた。打線は七回まで1安打と抑え込まれた。だが9番市村は「焦りはなかった。切り替えて自分たちの野球をしよう」と冷静だった。
7番谷口が八回の逆転劇の口火を切る。1死から「自分が出ればチームが乗ってくる」と外角の直球を左前にはじき返して出塁。さらに敵失と安打で満塁とし、岩井の死球で同点とした。
なおも満塁で2番鈴木が「引きつけてしっかりたたく」と捉えた打球は遊ゴロに。一塁走者岩井と二塁走者更科がスタートを切っていたことで併殺を回避。さらに送球間に更科が本塁を陥れた。適時打が出ずとも一挙3点を奪う攻撃に徳栄野球の神髄が凝縮されていた。
この試合唯一の好機ともいえる攻撃で形勢を逆転し、春の甲子園で16年ぶりの勝利を手にした。主将の本田は「このチームは1勝するごとに勢いが出てくる。次は打者陣で(エースの)黒川を助けたい」と打線の奮起を促した。
132球 魂の完投劇
黒川
この日投じた132球目のボールがセンター鈴木のグラブに収まると、黒川は渾身(こんしん)のガッツポーズを見せた。許した安打は9。四、五回以外は走者を背負いながらの投球を強いられたが、「淡々と打たせて取れた」と辛抱強い投球で2失点にまとめた。
二回までに43球と立ち上がりに球数を要したが、その後は安定感を取り戻し、五回には3者連続三振を奪った。リードした捕手の佐伯は「緊張でいつものピッチングができていなかったが、三回以降どんどん上がってきた」と尻上がりに良くなった投球をたたえた。
完投で勝利をつかんだが、黒川の喜びの言葉は控えめ。「きょうの反省と課題を生かして、次は自分らしいピッチングができれば」と意識はすでに次の試合に向いていた。
代走の切り札 大仕事
更科
代走で出場した更科が大仕事をやってのけた。八回1死満塁。二塁からスタートを切ると、遊ゴロで一気に本塁まで突入し、決勝点をもぎ取った。「絶対に出ることがあると思っていたから、人一倍走って準備していた」と覚悟が結果につながった。
選手交代が増えるDH制導入に合わせ、岩井監督がメンバーに2枚入れた代走要員のうちの1人。「緊張した以上に楽しかった」という強心臓の背番号18は、1点を争う接戦でこそ威力を発揮する。
無欲の打撃でチャンス創出
9番・市村
9番市村が無欲のつなぐ打撃でチャンスを創出した。八回1死一、二塁で「とにかく間を抜く打球で、上位打線につなげよう」と打席に入ると、甘い変化球を左前打に。塁上を埋め、その後の逆転を呼んだ。
六回にはチーム初安打を放ち、花咲徳栄で唯一の複数安打を記録。他の打者が苦戦していた相手の好左腕にうまく対応した。昨年の秋季関東大会では決勝で本塁打を放っている好打者だが、「自分は下位打線なので、その役割を」と献身的なプレーに徹する構えだ。
夢舞台 選手に熱いエール
1100人応援団 後押し
第98回選抜高校野球大会は第3日の21日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1回戦が行われ、6年ぶり6度目出場の花咲徳栄は東洋大姫路(兵庫)を3―2で退け、初戦を飾った。三塁側のアルプススタンドでは在校生徒、卒業生合わせて約1100人が大応援団を結成し、グラウンドを駆ける選手たちを声援で後押しした。

アルプススタンドで肩を組み、校歌を斉唱する花咲徳栄の大応援団=21日午前、兵庫県西宮市の甲子園球場
2003年の第75回大会で、延長十五回引き分け再試合を戦った相手。23年前は接戦の末に延長十回サヨナラ負けした花咲徳栄が、今回は逆転で勝利をつかんだ。
大応援団をリードしたのは50人の吹奏楽部。1週間後には6都県が参加する大会に埼玉県代表として出場するが、大舞台に挑む野球部のために甲子園まで駆け付けた。主将の竹内凜さん(17)は「甲子園球場で演奏するのが夢だった。熱意を込めて演奏するので、優勝目指して頑張ってほしい」と期待をかけた。
試合前、竹内さんが「一番聴いてほしい」と一押ししたのが徳栄名物のチャンス曲「サスケ」。0―1で迎えた八回表の攻撃で初めてサスケがかかると、スタンドはこの試合一番の一体感と熱量でエールを送った。勢いづいた打線はこの回、一気に3点を奪い逆転に成功した。
ダンス部15人はチアリーディングと明るい笑顔でスタンドに彩りを与えた。普段はヒップホップなどのダンスを主にしているが、主将の多田早佑梨さん(17)は「選抜は選ばれた高校が立てる舞台。勝利を見届けるために、ダンス部もしっかりとしたチアを見せたい」と2カ月にわたって練習を積んだ成果を披露した。
野球部の応援団長は新3年生の井上隆世選手(17)。声出しが得意で、周りの推薦を受けて就任した。「気合なら負けない。一般生徒全員を巻き込むくらいの応援をしたい」と応援練習から気合を入れて声を張った。
エースの黒川凌大投手(17)は9回を2失点完投と粘り強さが光った。スタンドで応援した母の琴美さん(58)は「もう感激。最初は緊張していたみたいだけど、尻上がりに良くなった」とわが子が聖地で活躍する姿に興奮が抑えられない様子だった。
=埼玉新聞2026年3月20日付け1面、22日付け1,9,15面掲載=
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