宇宙船クルードラゴン5号機に乗り、日本人最多となる5度目の宇宙飛行を実現させた若田光一さん(59)。出身地のさいたま市では、母校の後輩らが「感動した」「学校の誇り」と快挙を喜び、「地球のために頑張って」と約半年間の宇宙滞在中に行うミッションの成功を祈った。
若田さんは県立浦和高校の野球部で捕手として活躍した。同校2年で野球部主将の和田勇誠さん(17)は「同じ野球部の大先輩で大変尊敬している。並外れた努力で、5度目の宇宙飛行を実現した。チームの目標は甲子園出場なので、若田さんの姿勢を見習って達成したい」と話した。
59歳での宇宙飛行は日本人最高齢。2年の外野手蒦手温也さん(17)は「体力面でかなり準備をしないといけないと思う。若い自分たちは若田さんに負けないように努力したい。継続することの難しさがある中、長年貫いた姿勢を尊敬している」。
2年の捕手菅原健太郎さん(17)は「同じポジションで刺激を受けている」という。同乗した米ロの3人は初の宇宙飛行。菅原さんも捕手歴の浅い3人に、技術やリードを伝えている。「今は努力をするのが楽しい時期。若田さんのように、自分も生涯、好きな野球に携わり、プロを目指したい」と目標を語った。
若田さんの母校、大宮別所小で打ち上げの様子を動画視聴した6年の城田椋さん(11)は「無事に打ち上がって良かった。若田さんは学校の誇り」、米川愛輝さん(12)は「いろいろな苦労を乗り越え夢を実現させてすごい」、宮出佳瑞葉さん(11)は「将来は気象予報士になって、若田さんのように夢をかなえたい」と目を輝かせた。
同じく母校の宮原中2年の渡辺真観さん(14)は「若田さんは憧れの存在」と語り、3年の高橋洸稀さん(14)は「体に気を付けて地球のために頑張ってほしい。実際にお会いしたことがないので、帰ってきたら宮原中にぜひ来てほしい」と地球帰還後に期待を寄せた。
若田さんが名誉館長を務める市青少年宇宙科学館(浦和区)は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、打ち上げをライブ中継した。若田さんの事業担当を務める安藤紘子さんは同館で、豊田由香館長と2人で見守った。無事に打ち上がった瞬間、「いよいよ始まるというワクワクと期待とが入り交じり、『ウオー』と歓声を上げた。格好よかったし、感動した」と振り返る。
安藤さんは「若田さんは3人のルーキーを引っ張るミッションを託された。NASAも人柄に信頼を置いていると思う。『さいたま市が誇る』と言ってますが、日本、世界に誇れる宇宙飛行士と思って感慨深かった」と話していた。
=埼玉新聞2022年10月7日付け17面掲載=
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