五輪目指し「メダルを」
ショートトラック 金井莉佳
アスリートの育成を目的とする「彩の国プラチナキッズ」出身の女子スピードスケート・ショートトラックの金井莉佳(鴻巣市出身、埼玉栄高)が氷上の新ヒロインとして急成長中だ。昨年12月には17歳で日本代表としてワールドカップに初出場。「(同競技女子で)20年以上取れていないメダルを自分が取りたい」と宣言し、2026年のミラノ冬季五輪出場を目指す。
ミラノ冬季五輪の出場を目指す金井莉佳=上尾市の埼玉アイスアリーナ
■運命的な出合い
幼少期から陸上競技、水泳などをこなす活発な児童だった。小学4年の時、さまざまなスポーツを体験できる彩の国プラチナキッズを知り、自ら応募。クラシックバレエを習っていた影響でフィギュアスケートに興味を持ち、スケートの体験会に参加した。
胸を高鳴らせて当日を迎えたが「体験会に行ったらショートトラックだった。びっくりした」。思い描いていた光景と少し違ったが、これが競技との運命的な出合いとなった。アイスリンクに立つのもこの日が初めて。最初は壁につかまっていたが、数分後には滑る喜びに夢中になったという。
■みるみる上達
小学5年から本格的に競技に取り組むため、SC上尾に入団。「こんなに早く上達するスポーツは初めてだった。もっとやれば速くなるんじゃないかと思った」。陸上競技で鍛えた脚力と心肺機能を生かし、上達は早かった。小学6年の時に参加した全日本ノービス&ジュニアカップで初優勝を経験した。
中学の時に日本スケート連盟の強化指定選手に選ばれ、この頃はスピードスケートとの二刀流にも挑戦。19年に出場したスピードスケートの大会では、18年の平昌五輪の金メダリスト小平奈緒が持っていた同大会の1500、3000㍍の記録を塗り替えた。
スケートを始めた小学4年生時の金井。後ろは犬塚莉帆(県スポーツ協会提供)
■家族のサポート
練習は主にアイスアリーナの営業時間が終了した夜から。母親のさおりさん(51)は「睡眠時間も確保してあげたいし、暗くなってから4年生を連れていくのはどうなんだろうと考えた」と当時の心境を語る。現在は都内在住のコーチに指導を受けているため、都内での練習日には深夜の帰宅になる。金井は「負担をかけているが、毎日助けてもらって感謝しかない」。現在も変わらない家族のサポートが本人の励みになっている。
■ライバルから励み
競技を頑張れる要因には、犬塚莉帆(狭山市出身、秀明英光高)の存在もある。犬塚は彩の国プラチナキッズの前年の合格者で同じショートトラックの強化指定選手として活躍する。「いい仲であり、いいライバル。近くにいてくれることで意欲も違ってくる」と一つ年上の先輩への思いを語った。
■やまない進化
埼玉栄高に進学した理由は「違う競技のアスリートから刺激がもらえると思い入学した」と全てスケートのため。昨年1月、高校1年で埼玉代表として国体に出場。「大会で2、3位が多かったので優勝がうれしかった」と、少年女子1000㍍での栄冠をかみしめた。
今月27日からはドイツで開催する世界ジュニア選手権に出場し、同世代の強敵とのレースが待つ。「最後まで何が起こるか分からないところが面白い。0・1秒を争うことが性に合っている」。1周111・12㍍を周回する競技に魅了され、情熱は増すばかりだ。
彩の国プラチナキッズ
スポーツに関わる子どもたちの夢の実現を応援するために、県と県スポーツ協会が2011年から取り組むアスリート発掘・育成事業。県内の小学4年生を対象に、中学生になるまでスポーツ科学の知見を活用した育成プログラムを定期的に行う。子どもたち自身の能力や適性を継続的に開花させ、アスリートとしての自立心を育むことを目指している。
=埼玉新聞2023年1月22日付け1面掲載=
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