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県高校新人大会 ラグビー 結果・県ベストフィフティーン選出

川越東が初の連覇
(最終日、4日・熊谷ラグビー場)

 決勝などを行い、決勝で川越東昌平を21―5で下し2年連続3度目の優勝を果たした。川越東は第24回全国高校選抜大会(3月25~31日・熊谷ラグビー場)に出場する。同校の出場は中止となった第21回大会を含めると2年連続4度目。
 川越東は前半14分にCTB五十嵐のPGで先制すると、同23分にWTB田中悠、同36分にはSH高橋淳がトライを決めてリードを広げた。後半は1トライ返されたが、強固な守備を貫き勝ち切った。3位決定戦は、本庄第一が深谷に24―14で勝利した。
 川越東と昌平は関東高校新人大会(2月11、12、18、19日・群馬、栃木)に出場する。

  

決勝 昌平―川越東 前半36分、川越東のSH高橋淳(左)がトライを決める

 

 FW陣が接点で勝り流れをつかんだ川越東に軍配が上がった。
 川越東は3―0の前半23分にCTB五十嵐がゴール前中央から右にキックパスしたボールをWTB田中悠がトライ。同36分にもSH高橋淳が追加点を挙げた。FW陣は攻守ともにボールの争奪戦で優位に立ち、相手を自由にさせなかった。
 昌平は持ち前の縦の突破を阻まれ、1トライを奪うのが精いっぱいだった。

 

喜び爆発“守”で雪辱

 負けられない一戦を制し、川越東が2年連続の頂点に立った。ノーサイドの笛が鳴ると選手たちは拳を突き上げ喜びを爆発させた。
 昨秋の全国高校埼玉大会決勝の7―14の敗戦から2カ月半、新チームとして宿敵に雪辱した。望月監督は「やり返せてよかった。ディフェンスで我慢できたのが勝因」と喜びをかみしめた。
 大一番で十八番の展開力を存分に発揮した。3―0の前半23分、FW陣がゴール前に攻め込み昌平の守備が中央に集中した隙を見逃さなかった。CTB五十嵐が右サイドにキックパス。待っていたWTB田中悠が確実に捕球しゴールラインに駆け込んだ。
 FW陣の強化も勝因の一つ。接点で勝ち続け、特に後半は自陣でプレーする苦しい時間が続いたが守備で奮闘した。プロップ寺山が「もう一回ゼロ対ゼロだと思って小さいことを徹底しよう」と声をかけ、昌平の縦の突破にダブルタックルで応戦して主導権を渡さなかった。
 バックスリーダーの五十嵐は「FWがブレークダウンで頑張ってくれて良い状況を生んでくれた」とチーム一丸で手にした勝利の余韻に浸った。
 過去3度の全国選抜切符のうち、2度が開催県枠で手にしたもの(うち1大会は新型コロナウイルスの影響で中止)。主将のフランカー高尾は「関東新人で勝って、絶対自力で選抜に行く」と、勝って全国に挑むことを誓った。

 

初先発の田中悠
渾身トライうれし涙

 初スタメンの1年WTB田中悠が「しっかり準備したことが出せた」と1本目のトライを決めてチームを活気づけた。
 小学生の頃から同じチームでプレーするCTB五十嵐の背中を中学、高校と追いかけてきた。憧れの先輩からアシストを受けた渾身(こんしん)のトライを「舜悟くん(五十嵐)のプレーをつなげられてうれしかった」とうれし涙を浮かべながら振り返った。
 五十嵐は田中悠を「小学生の頃からすごいやつだった。ゲインできてきてよくやった」と笑顔でたたえた。

 

昌平

焦り募り精彩欠く

後半21分、昌平のナンバー8増田(中央)が突破を阻まれる

 

 昨秋の埼玉大会王者の昌平は、0―21の後半24分にWTB山口がトライを決めて一矢報いるのが、精いっぱいだった。後藤監督は「接点で負けた」と一言。攻守で精彩を欠き、6度目の決勝で初優勝とはならなかった。
 決勝では本来の昌平らしさからはほど遠かった。チームが得意とするディフェンスはタックルを仕掛けるものの、「ただ、体を当てているだけで踏み込めていない」(後藤監督)と威力を欠いた。相手を押し切ることができず、簡単に個人突破を許して失点につながった。攻撃では3フェーズ以上を重ねられず、焦りが募って反則の数が増えた。ゲーム主将のフッカー橋本は「一番の敗因はペナルティーが多かったこと。点差が広がるに連れて浮足立ってしまった」と反省した。
 試合後、喜びを爆発させる川越東を横目に悔しさをにじませた昌平の選手たち。選抜大会に出場するには、関東大会で上位進出を果たすしかない。橋本は「切り替えて全国の切符をつかみにいく」と語り、WTB山口は「まずは関東で勝って、川越東にリベンジしたい」と闘志を燃やした。

 

WTB山口

意地のトライも悔い

 チーム唯一のトライを決めた昌平のWTB山口は「トライを決めたことにうれしさはない。自分たちのミスが多くて悔やしい」と振り返った。
 試合序盤は拮抗(きっこう)していたものの、相手がPGで得点を重ねるたびに少しずつ焦りが募ったという。「セットプレーが安定せず、ボールへの反応が遅くなって低いタックルもできなくなっていった」と反省。劣勢の中でも0―21の後半24分、左ゴール前でパスを受けるとタックルをかわして5点を奪い意地を見せた。

 

本庄第一逆転で3位

 本庄第一はサイドを有効に使って深谷に逆転勝利した。
 12―14の後半15分、ゴール前の連続ラックから抜け出したプロップ森田がトライして逆転に成功。同23分には、素早いパス回しからフッカー沢田がトライを決めて突き放した。深谷は後半4分にフッカー新井靖のトライで勝ち越したものの、その後ミスが続いてリードを守り切れなかった。

3位決定戦 深谷―本庄第一 後半12分、本庄第一のCTB加藤(中央)が突破を図る

 

花園へ価値ある一歩

 初の4強入りした本庄第一は、前回準優勝の深谷に逆転勝ちして3位決定戦を制した。
 後半4分に勝ち越されたものの、本庄第一の選手は冷静だった。SH杉田猛は「フラットに仕掛けて外に展開することを意識した」。12―14の同15分にプロップ森田がトライを決めて逆転すると、同23分は展開力を生かしてフッカー沢田が5点を決めた。
 第70回全国高校大会で県勢唯一の全国優勝を果たした熊谷工の当時の主将、新井昭夫監督が率いて2年目。就任当初は合同チームでの出場だったが、昨年5月の国体県予選から単独出場するなど発展途上のチームだ。
 新井監督は「階段を少しずつ上っている中、3位になれたのは先を見据えた上で大きい」。悲願の花園出場に向けて貴重な経験を手にした。

 

前回準V深谷 好機逃し敗戦

 前回準優勝の深谷は小さな失敗が重なり敗戦した。山田監督は「良い場面もあったが、一人一人の強さが足りなかった」とうつむいた。
 7―7の後半4分、フッカー新井靖がラックから「自分が体を生かして取り切ろう」と押し込んで勝ち越しのトライを奪ったが、直後に逆転を許した。その後は判断ミスなどで好機を逃し、反撃できなかった。
 ナンバー8で主将の馬場は接点を課題に挙げ、「春までにサイズアップしないといけない」と前を向いた。

 

県高校ベストフィフティーン
昌平から最多11人選出

 県ラグビー協会は4日、本年度の高校ベストフィフティーンを発表し、県内大会や全国大会で活躍した選手から3年生15人を選出した。全国高校大会に埼玉代表として出場した昌平からはプロップ橋口ら最多の11人が選ばれた。

 

=埼玉新聞2023年2月5日付け9面掲載=

 

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