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「賛美歌」で選手鼓舞ー聖望学園

13年ぶりの初戦突破 音色響かせ

 第104回全国高校野球選手権大会第5日は10日、甲子園球場で行われ、13年ぶりとなる夏の聖地で初戦の1回戦に臨んだ聖望学園は第2試合で、能代松陽(秋田)に8―2で快勝した。一塁側アルプススタンドには、約2250人の応援団が集結。得点が入るたびにキリスト教で神をたたえる「賛美歌」を浜風に乗せて演奏し、ミッションスクールならではの応援で選手たちを鼓舞した。

13年ぶりの甲子園出場にOB、OGが駆け付けて選手たちを応援する聖望学園吹奏楽部=10日午前、兵庫県西宮市の甲子園球場

 

演奏は吹奏楽部員10人のほかにOB・OGが参加

 応援団は大声での声援や合唱を控え、拍手を基本にするなど新型コロナウイルス感染防止対策を徹底し、スタンドから選手たちにエールを送った。
 ダンス部部長の森田結愛さん(17)は「コロナで応援に行けず、練習だけでチアとしての活動がなかった。野球部のおかげで、甲子園で応援することができて感謝している」と満面の笑み。
 演奏で後押しする吹奏楽部は部員10人だが、13年ぶりの夢舞台のためにOB、OGが参加。部長の谷口美桜さん(17)は「吹奏楽部として楽しい夏にしてくれて野球部には感謝している。演奏面では他の学校に比べて欠けるかもしれないけど、少しでも選手の心の支えになってくれればうれしい」。一塁側から三塁側にかけて吹く浜風に乗せながら美しい音色を奏でた。
 野球部を支える3年生のマネジャー3人も一塁側スタンドから選手の背中を押した。高田果実(このみ)さん(18)は「こんなに広いから応援が届くか心配だけど、全身全霊で応援したい」と話し、林ひなたさん(18)は「自分たちのチームがこの舞台に立っているなんて信じられない。ドキドキする」とほほ笑んだ。
 埼玉大会の決勝でスコアラーとしてベンチ入りしていた上中香葵さん(18)は「ここまで来られたのは努力の結晶。思いっ切り楽しんでほしい」。直射日光に加えてアルプススタンドの照り返しと、気温32度を上回る体感温度の中で、生徒たちはグラウンドで躍動する選手たちを見届けた。

 

学校で教職員ら激励

リモート会場からエールを送る教職員ら=10日午前、飯能市中山の聖望学園

 

 スコアボードに先制の「1」が刻まれると、リモート応援会場に拍手が響き渡った。聖望学園では、現地観戦がかなわなかった教職員らが、離れた場所からでもエールを届けたいと、同校礼拝堂に応援会場を設置。大型スクリーンで試合を観戦しながら、うちわやメガホンで選手を激励した。
 初戦突破が決まると、教職員らは安堵(あんど)した様子。同校進路担当の阪井希教諭(39)は「選手たちと今後の進路について話してきた。とにかく甲子園を楽しんだという顔で帰ってきてもらえば」と期待を込めた。甲子園出場が決まって進路を変更した選手もいるという。
 同校の馬場直樹教頭は、スタンドから試合を観戦した生徒らに向けて「この世代はコロナ禍で修学旅行などのイベントが何もなかった。最後に大きな思い出をつくってほしい」と呼びかけた。

 

=埼玉新聞2022年8月11日付け15面掲載=

 

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