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全国高校野球 聖望学園 19年ぶり初戦突破

能代松陽に8―2 小技絡め快勝

 第104回全国高校野球選手権大会第5日は10日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1、2回戦計3試合が行われ、埼玉代表で13年ぶり4度目出場の聖望学園は能代松陽(秋田)を8―2で下し、19年ぶりに初戦を突破した。
 聖望学園は、エース岡部が被安打6、2失点の完投。打っては、16安打8得点と投打で圧倒した。二回2死二塁から荒江の左前適時打で先制。4―2の七回には、園山のスクイズなどで3点を奪った。投げてはエース岡部が、五回まで無安打無失点と好投。六回に2失点したが、後続を抑えてリードを守り切った。
 聖望学園は大会第9日の14日、第3試合で選抜大会優勝の大阪桐蔭と2回戦で対戦する(13時開始予定)。

 

聖地で“らしさ”発揮

能代松陽戦に先発した聖望学園・岡部=甲子園

 

 埼玉から甲子園球場に舞台を移しても、聖望学園らしさは変わらない。小技と足を絡めた攻撃で初戦を快勝し、19年ぶりに聖地で校歌を響かせた。岡本監督は「埼玉大会でやってきたことをやってくれた。子どもたちがしっかりしているな」と選手たちをたたえた。
 「長打を打つ技術はないから、確実にバントと走塁を磨かないと勝てない」。岡本監督が手塩にかけた打線は、16安打中15本が単打。加えて5犠打と堅実なプレーが光った。
 象徴的なのは、1―0の三回の攻撃。2死二塁で3番上石に打席が回ると、2ボール2ストライクから指揮官が仕掛けた。「自信のあるストレートで決めてくるからイチかバチか勝負した」とエンドランを指示。上石が高めに浮いた直球を捉えて左前打とし、二塁走者園山が本塁に生還。理想の攻撃で追加点を奪った。
 七回の攻撃では2点を加え、なお2死一、三塁から9番園山が「サインが出ていたからしっかりバントすることを意識した」とセーフティースクイズが適時内野安打となり、最後まで相手の隙を見逃さなかった。
 初戦の緊張感がある中、着実に得点を重ねた。勢いが増す聖望学園の次戦の相手は、選抜大会優勝の大阪桐蔭だ。主将の江口は「甲子園の舞台で歌えることは光栄。次も歌いたい」と力を込めた。横綱から白星を手にして再び校歌を響かせる。

 

エース岡部 2失点完投 緊張の初戦も冷静沈着

 

 甲子園のマウンドでも背番号1は頼もしかった。大事な初戦に先発したエース岡部が、6安打2失点で完投勝利。「初回、球が浮いていたけど(回を)重ねるごとにボールを低めに集めることができた」と振り返った。
 「緊張が9割、楽しみが1割」と、試合前は張り詰めた思いだったが、マウンドに上がると「緊張がなくなった」と冷静な面持ちに。切れ味抜群の変化球に、持ち前の制球力で五回まで1安打も許さない完璧な投球を見せた。
 一塁側スタンドから見守る父・学さんは「見ていて緊張しっぱなしだけど、甲子園で投げられることを楽しんでほしい」と応援した。六回に2失点し、なお1死一、三塁とピンチが続いたが、「相手の狙い球を外しながら投球した」と併殺に抑えてしのいだ。
 「打たせて取る投手だから助かっている」と終盤まで野手陣の堅守に支えられながら、110球を投じた。優勝候補に挙げられる大阪桐蔭との2回戦に向けて、エースは「対戦したかったチームだから自分の力を出し切りたい」と大一番を待ちわびていた。

 

けが越え攻守に本領 江口主将

5回裏聖望学園2死二塁、江口が中越えに適時二塁打を放つ。捕手田中

 

 主将の江口が攻守で活躍。打っては3安打2打点を記録し、守りでは捕手としてエース岡部をリードした。「岡部がいい投球をしてくれたから守りから攻撃ができた」とほほ笑んだ。
 6日の練習中、外野からの送球が右目上付近に当たり5針を縫うけがを負ったものの、初戦に間に合うよう調整。回復して臨んだこの日は快音を響かせた。五回2死二塁から初球を捉えて中越え適時二塁打とし、チーム唯一の長打を記録。「一回でも(多く)甲子園の舞台でプレーしたい」とこれからも躍動する。

 

活躍誓い打撃復調 園山選手

7回裏聖望学園2死一、三塁、園山が三塁へバントし適時内野安打となる

 

 埼玉大会で8分3厘と不調だった9番園山が、3安打2打点1犠打で勝利に貢献した。「県大会では打てなくてチームに迷惑をかけていたから、甲子園で活躍したかった」と自信を手にした。
 県大会では、力のある直球に振り負けていたことを反省。甲子園に向けて強く振ることを意識して練習に取り組んだ。実を結んだのは2―0の四回の第2打席。2死二塁で「2ボール2ストライクから80%で直球が来る」と狙い澄まして左前適時打を放ち、点差を広げた。

 

堅実守備の要 エース支える  遊撃手・大橋選手

 エース岡部の好投を支えたのは、遊撃手大橋だ。「岡部が頑張っているから自分ができることは、アウトを一つずつ取ること」と堅実な守備で27アウト中、11個の打球を処理した。
 身長170㌢の大橋は「体は小さいけど、守備範囲には自信がある。深い所でもアウトにできる」と俊敏な動きで難しい打球を何度もさばいて、岡部の投球リズムを保った。
 大阪出身。小さい頃から甲子園に足を運んでいただけに「夢の舞台で校歌を歌えて気持ちが高ぶっていた」と目を細めた。

 

=埼玉新聞2022年8月11日付け1面および7面掲載=

 

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