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さいたま拠点に日本一 水中ホッケー「マハロット」

プール練習環境に課題

 水中ホッケーの強豪チーム「マハロットさいたま」が、さいたま市内を拠点に活動している。昨年10月に新潟県長岡市で開催された日本選手権で、チームとして初優勝した。有力選手や高校生ら若手が所属し、世界選手権の出場を目指している。課題は練習環境。マイナーで特殊なスポーツのため、練習できるプールが少なく、現在は週1回約2時間の練習しかできない状況が続いている。

 

マハロットさいたまのメンバー。世界選手権に出場経験のある長嶋博樹さん(後列左)と柏木孝介さん(同右)らが中心選手として、日本選手権で優勝した=さいたま市南区の沼影市民プール

 

■高校生ら世界目指す

 マハロットの中心選手の飲食業長嶋博樹さん(36)=浦和区=は、2006年と18年の世界選手権に2度出場経験のある第一人者。専門学校東京YMCAの授業で、水中ホッケーを学び、浦和区の瀬ケ崎スイミングでスイミングコーチをしながら競技を続けてきた。日本選手権にはこれまで別の4チームで13回出場し、全て優勝に導いている。
 マハロットのメンバーは中高校生4人、女性2人を含む11人。柏木孝介さん(28)=坂戸市=は東京海洋大学で勧誘を受けて始めた。18年の世界選手権に日本代表のキャプテンとして初出場。「水中のスポーツで、意図するプレーが全くできないところが面白い」と魅力を話す。
 同大の後輩でさいたま市職員中山史歩さん(25)は、日本女子のトップ選手。長嶋さん、柏木さんらと男女混合で、昨年の日本選手権に出場して日本一に輝いた。「呼吸の限界があり、体が小さくても遜色なく活躍できる」と語る。
 チームには市内の高校生3人が所属している。日本選手権優勝メンバーで南稜高校3年の坂本優斗さん(18)=緑区=は「3人が日本代表の中心になれるように頑張りたい」と力強い。弟の大宮南高校1年の遥斗さん(16)は「練習で連係プレーをつくっていくのが楽しい」。川口北高校3年の森岡楓音さん(18)=浦和区=は「3次元の動きが面白い。代表に選ばれて世界を目指したい」と意気込む。

 

昨年10月に新潟県長岡市で開催された日本選手権決勝(提供写真)

 

 ■週1回2時間の練習

 最大の課題は練習会場。マハロットは昨年5月に結成後、練習可能なプールが見つからなかった。9月から同市南区の沼影市民プールで、毎週水曜日午後7時から約2時間練習が可能になった。25㍍プールで深さ1・2~1・4㍍。1レーンしか借りられないときもあるという。柏木さんは深谷市の職場から通うため、練習時間がより短い。「人数も少ないので、試合形式の練習ができない」と嘆く。
 日本選手権決勝では、長岡市のチームに2点を先行されながら、長嶋さんが3点を奪って逆転優勝した。世界基準は深さ2㍍以上で、長岡市には可動床のプールがあり、練習環境が整っているという。中山さんは苦戦した要因について、「水深2㍍は潜る感覚が全く違う。練習不足が影響していると思う」と話した。
 沼影市民プールは、市立義務教育学校建設のため解体される予定。使用できるのは来年3月までの見通しで、練習場所を再び探す必要に迫られる。長嶋さんは「練習環境の不足で、満足に練習ができていない」。昨年12月には、清水勇人市長を表敬訪問して、市営プールの使用を訴えた。
 経験豊富な長嶋さんにとって、昨年の日本選手権が最も苦しんだ優勝だった。「逆転できたのは、高校生ら若い人たちが奮い立たせてくれたおかげ。自分一人だったら諦めていたかもしれない。水中ホッケーを若い世代に伝えていくためにも、練習環境が必要」と話していた。

 

水中ホッケー

 英国発祥のスポーツで、25㍍プールに6人対6人で対戦し、15分ハーフ、3分休憩が基本。日本水中スポーツ連盟によると、シュノーケルとフィンを装着し、重さ約1.3㌔のパックを長さ35㌢以内のスティックで奪い合い、ゴールを競う。ホッケー、アイスホッケーの水中版。3次元の領域で息を止めてのプレー、チーム同士の声かけもできないのが特徴という。連盟の担当者によると、競技人口は約200人で、コロナ禍に激減している。

 

=埼玉新聞2023年1月30日付け1面掲載=

 

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