現役復帰 惜しくも銀 5年ブランク経て
女子シングルス(上肢障害SU5)で銀メダルを獲得し笑顔を見せる鈴木亜弥子=国立代々木競技場
東京パラリンピックのバドミントン女子シングルス(上肢障害)の鈴木亜弥子選手(34)=越谷市出身=は5年間のブランクを経て現役復帰した。「後悔したくない」。目指したのは初代女王だ。だが、決勝で中国選手に惜しくも敗れ去った。
出生時に障害を負い、右腕が肩より高く上がらない。バドミントン一家で育ち、小学3年の時から左手でラケットを持って健常者に交じりプレーした。1歳年上の姉を追って、県立越谷南高に進んだ。
バドミントン部の顧問だった大高史夫さん(70)は「障害が逆にプラスになった」と振り返る。右腕が上がらない独特のフォームは次のコースを読まれにくい。強打がなくても、予期せぬ打球で相手を崩す今のプレースタイルの基礎を作った。
「いつもニコニコしてムードメーカーだった」と話すのは一緒にプレーした一学年上の西村希さん(35)。試合中にピンチになっても鈴木選手が「大丈夫、大丈夫」と笑顔で言うとチームが落ち着き、雰囲気が変わった。
大学3年から障害者の大会に出場し、2009年世界選手権と10年のアジア選手権を制覇。「トップ2の大会で優勝したから、もういいかな」と引退した。
14年秋、東京大会でバドミントンが正式種目に決まった後、現役に復帰し、実業団のトップチームに所属した。健常者と共に練習を重ね、17年の世界選手権で頂点に返り咲いた。周囲の期待や注目の高さに「特別なもの」と感じるパラリンピック。試合後、鈴木選手は「もっと粘れると思った。悔しい」と涙ぐんだ。
=埼玉新聞2021年9月5日付け1面17面掲載=
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