埼玉新聞社 高校受験ナビ

大学進学率過去最高の60%-県教育局発表

2021年9月4日配信

 目指す仕事によっては専門学校や就職が適していることも

 将来を考えた高校選びを

 埼玉県教育局は8月30日、「令和3年3月高等学校卒業者の進路状況調査」の結果(速報)を発表しました。これによると、大学等への進学率は60.7%で、1979年の調査開始以来最高となりました。(※注:「大学等」と言った場合、短大や通信制も含みます)。

 また、専修学校等進学率は22.8%で前年と同率、就職者等は11.7%(前年比1.5ポイント低下)で過去最低となりました。

 大学等進学率は年々上昇しており、一昨年は57.4%、昨年は58.5%でしたので、上昇自体は予測できました。しかし、前年比2.2%増という大幅な増加は想定をやや上回ったと言えます。これについて県教育局は、「卒業者数が減少する一方、大学定員は変わらず、大学数も増加していることが影響した」などと説明しています(埼玉新聞記事より引用)。

 

◆私立は78.8%、公立は52.9%

 大学進学率を公私立別に見ると、公立全日制は卒業者数3万5927人に対し大学等進学者数は1万9002人で、進学率は52.9%(前年比+2.0ポイント)となっています。一方、私立全日制は卒業者数1万4190人に対し大学等進学者数は1万4190人で進学率は78.8%(前年比+2.5ポイント)となっています。

 

 公私の進学率には25%以上の大きな開きがありますが、公立の場合、就職者が多い専門学科(農業・工業・商業など)も含めての数字であることに注意が必要です。ただし、その点を考慮したとしても、私立の大学進学率上昇は目を見張るべきものがあります。

 

◆大学進学者が多数派の時代へ

 現在、中学生のお子様をお持ちの保護者の皆様が、平成の初め頃(1年から10年頃)高校生だったとすると、その当時の大学進学率は20%から30%でした。

 初めて30%台となったのが平成6年でしたが、このあたりで大学進学者の割合と就職者の割合が逆転しました。

 その後、平成12年に40%を超え、平成18年に50%を超え、今年ついに60%を突破しました。

 保護者の皆様の世代では大学進学者は3人に1人と少数派でしたが、大学進学率の上昇は今後も続くと予想されますので、お子様の世代では逆に大学進学者は3人に2人と多数派となります。

 もちろん、専門学校や就職と選択肢が今後もなくなることはありません。目指す仕事を考えたとき、むしろ大学進学より専門学校や就職が適しているという場合もありますので、その辺りも考えつつ、高校選びを進められるといいでしょう。

(教育ジャーナリスト・梅野弘之)

 

埼玉県教育局の「令和3年3月高等学校卒業者の進路状況調査」の結果はこちら

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=

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