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パラリンピック(陸上) 女子100㍍車いす 村岡(正智深谷高校出身)6位入賞

全力で駆けた夢舞台

 女子100㍍(車いすT54)は2018年平昌冬季大会のアルペンスキーで5個のメダルを獲得した村岡桃佳(トヨタ自動車)=正智深谷高校出身=が決勝で16秒71の6位。予選は17秒10の2組4着で通過した。

女子100㍍(車いすT54)決勝で16秒71をマークして6位になり、笑顔を見せる村岡桃佳

 

 冬季パラ五輪で5個のメダルを獲得している村岡が臨んだ初の夏季パラ五輪。目標である決勝進出を果たし、6位入賞を成し遂げた。「予選から立て直すことができた。すがすがしい気持ち」。村岡はやり切った笑顔を見せた。決勝進出者の中で一番下の8番目という予選結果が、闘争心に火を付けた。

 左端の2レーンからスタートすると、得意のダッシュを決める。予選では伸びを欠き失速したが、決勝では腕の回転を保ったままゴールした。「後半は無我夢中になってしまったが、持てるベストは出せた」と、納得のレースで夢舞台を締めくくった。

 本職のアルペンスキーとの二刀流挑戦に「楽しかった」と語る村岡の目からは大粒の涙がこぼれた。大会が1年延長されたことで、北京冬季パラ五輪が来年に迫り、陸上との掛け持ち練習に悪戦苦闘。「苦しかったし、たくさん悩んだ」。つらかった日々を思い出し感極まった。

 地元深谷への思いも人一倍強い。「いつもたくさんの方が応援してくれる。身近に感じさせてくれるし活力をもらっている」と、支えてくれた方への感謝を忘れない。小さい頃に夢見た陸上でのパラ五輪出場はかなえた。「北京が終わってから自分の気持ちに従いたい」。今後も二刀流を続けるかの明言は避けたが、村岡は今年の夏を全力で駆け抜けた。

 

母校・正智深谷高校の担任ら応援 「夏の舞台も堂々と」

 

女子100㍍(車いすT54)決勝のレースを終え、笑顔でスタンドに手を振る村岡桃佳選手=国立競技場

 

 母校の正智深谷高校=深谷市上野台=では競技当日の1日、加藤慎也校長(53)が在校生らに自宅のテレビで村岡選手を応援するようにメールで配信した。

 村岡選手を3年間担任した稲葉茂文教諭(45)は自宅のテレビで観戦。今まで培った力を100パーセント出せれば自分らしい走りができると応援してきた。「決勝に残れて安堵(あんど)する村岡選手の表情を見て救われた」と振り返る。2日午前には村岡選手から「応援ありがとうございます」とメールも届き、「堂々とした態度で大舞台に立つ教え子を誇りに思う」と胸を張った。

 冬に向けても「自身を大切にし、スポーツを思う存分やってほしい」とエールを送る。加藤校長も「ゴールドのメダルでそろえるぐらいのモチベーションで挑戦してほしい」と次の活躍も期待している。

 

=埼玉新聞2021年9月3日付け8面・15面掲載=

 

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