練習積み自信深め成長
今夏開催されるパリ五輪後には2028年のロサンゼルス五輪が控える。ロス五輪では21年の東京五輪以来となるソフトボールが復活。星野高3年の佐藤希乃花は早くも4年後を見据えている。昨夏の全国高校総体(インターハイ)女子の準々決勝でノーヒットノーランを達成するなど高校生世代ナンバーワン投手は「オリンピックを目指してやっていきたい」と思いを語った。
4年後のロサンゼルス五輪を目指す星野高の佐藤希乃花=川越市の同校石原キャンパス
マウンドからホームベースまで18・44㍍の野球と比べ約5㍍短い距離のソフトボールでは、佐藤の直球は体感速度で150㌔を超える。小学2年時にソフトボールを始め、中学時代は無名だった選手が、世代ナンバーワン投手になるまでには幾つかのきっかけがあった。
常にポーカーフェースで冷静沈着な佐藤。星野高入学当初から素質があり、登板機会に恵まれた。だが、直感的に捉えたものを言語化にすることが苦手だったという。持田京子監督は「球は速いし、コントロールもよかった。だけど、口数が少ないからコミュニケーションを一番大事にさせた」と振り返る。
16時30分から19時までと他校に比べて短時間の練習で、佐藤は「理解して体現することが難しくて必死だった」と自分の考えを口にするように意識した。会話の機会を増やして思考力を高め続ける中、2年夏の県高校総体予選に臨んだ。チームは直近10年間で2度しか全国出場を逃したことがなかったが、まさかの準決勝敗退。佐藤は「先輩もいる中で投げたけど、打たれて負けて責任を感じた。自分に厳しくないといけない」と現実を直視した。
この苦い経験を機に心のスイッチが入ったという。日課にする毎朝4㌔のランニングに加え、右翼と左翼のポールの往復を毎回10本走るなど自らを突き詰めた。その姿に「遠くから黙って見ていても、手を緩めている様子がなかった」と持田監督は言う。
練習の鬼となり、佐藤が得たのは技術よりも自信。「これだけ練習したから大丈夫と気持ちの面で余裕ができた」。心身ともに成長した成果は3年生で発揮され、インターハイ4強と国体準優勝の立役者となった。
今春からは五輪選手を輩出してきた日体大でプレーする。「自分がどこまで通用するか分からない。トップレベルのプレーを理解して体現できるようにしたい」と意気込む。
1996年のアトランタ五輪に出場した持田監督は教え子の将来性について「技術だけでなくより人間力も付けてもらいたい。オリンピックの可能性は十分にある」と期待を込めた。
=埼玉新聞2024年2月3日付け6面掲載=
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