焦りから精彩欠く
足羽―埼玉栄 第1クオーター、埼玉栄の下田(中央)が突破を図る=東京体育館
女子の埼玉栄は磨いた堅守が発揮できず、2年連続で初戦敗退。目(さっか)監督は「緊張なのか、普段の練習ではあり得ないプレーが出てしまった」と精度を欠いた守備を悔やんだ。
チームは相手の速いテンポに戸惑った。前半を42―54で折り返すと「焦りの気持ちから悪循環に陥った」とゲーム主将の下田。守備のマークがずれ、フリーでのシュートを何度も許した。攻撃でも61本放ったゴール下のシュートは29本しか入らず決定力を欠いた。
課題の残る試合だが、1、2年生主体のチームが全国を経験したことは大きな収穫。先発メンバー唯一の3年生としてチームを引っ張った下田は「最後までやり切れた。来年こそは初戦を突破してほしい」と笑顔で語り、大舞台での1勝を後輩たちに託した。
好守備 リズム生む
浜松学院―正智深谷 第3クオーター、正智深谷の三村(左)がシュートを決める=武蔵野の森総合スポーツプラザ
持ち前の堅守速攻を体現した男子の正智深谷は、一度も相手にリードを許さず勝利を手にした。成田監督は「秋穂、三村ら3年生が何とか頑張ってくれた」と、1、2年が多く出場する中で勝ち切った試合をほっとした様子で振り返った。
序盤から自慢の守備で相手に重圧をかけ、パスカットなどの好守から得点を重ねた。だが、「リバウンドが取れない時間が続きチーム的にもきつくなった」と岡野。第3クオーターの終盤に守備のほころびから連続12失点し、61―56の5点差まで追い上げられた。
それでも3年の三村、秋穂は落ち着いていた。第4クオーターの立ち上がりに三村が「切り替えとリバウンドがおろそかになっている。ディフェンスから守って走ろう」と声をかけると、再びスイッチが入り連続得点。三村自らも積極的に切り込み、チーム最多の33得点をたたき出した。
次戦の相手は、前回大会の2回戦で敗れた美濃加茂(岐阜)。三村は「去年の借りがある。先輩たちの思いも背負ってしっかり戦いたい」と強敵撃破を視野に入れる。
33大会ぶり理想を体現
高松工芸―埼玉栄 第3クオーター、埼玉栄の真壁(中央)がシュートを放つ=東京体育館
33大会ぶりの大舞台に臨んだ男子の埼玉栄は堅い守りからの速攻で相手を圧倒し、初戦を突破した。指揮を執った小野コーチは「合格点以上の内容だった。理想的な試合を体現してくれた」と選手らをたたえた。
素早い攻守の切り替えで序盤からペースを握った。高さで相手を上回り、オフェンスリバウンドを1本しか許さないなど、インサイドを制圧。ゲーム主将の真壁は「共通認識を持って試合に入れて、守備からうまくいった」と納得の表情だ。
20―16の第2クオーターからは緊張がほぐれ、攻撃の勢いが増した。チーム最多19得点のエース真壁を筆頭に、孫啓釗、横島、平川と4人が2桁得点。内外からバランスの取れた攻撃を展開して相手に的を絞らせなかった。
次戦は身長2㍍超のナイジェリア人留学生を擁する前回大会4強の藤枝明誠(静岡)と争う。組み合わせ決定からの約1カ月間、2回戦に照準を合わせて対策を積んできた。真壁は「ずっと意識してきた相手。番狂わせを起こす気持ちで臨む」と初戦突破の勢いのままに大仕事を狙う。
=埼玉新聞2023年12月24日付け9面掲載=
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