1-0で武南下す
サッカー(第4日、27日・浦和駒場スタジアム)
決勝が行われ、延長戦の末に正智深谷が武南を1―0で下し、6年ぶり4度目の栄冠に輝いた。正智深谷は岩崎、小屋の両センターバックとGK望月を中心に粘り強く守り、0―0の延長後半8分、左サイドのFKからゴール前で伊比が競り合い、こぼれ球に走り込んだ外立が右足で決勝ゴールを決めた。ボールを保持してゴールに迫った武南は計12本のシュートを放ったが、1点が遠かった。
両校は関東高校大会(28~30日・神奈川)に出場する。
堅守で耐え一撃決着
粘りと我慢比べは正智深谷の土俵だった。発展途上の攻撃力をカバーするのは自慢の堅守。相手の攻撃をはね返し少ない好機をものにした。小島監督は「今大会で一番良かった。落ち着いて見ていられた」と、会心の勝利を振り返った。
守備の時間が増えたが、徐々に武南をエリア内から押し出していった。「失点する気がしなかった」と主将の小屋。相手のキープレーヤー松原には、ボランチ初雁が徹底マーク。松原に自由を与えず、武南の良さを消していった。
劇的な一発は、PK戦が頭にちらついた延長後半8分に訪れた。冨岡の左からのFKを伊比が頭で折り返し、最後は中央の外立が右足で左隅に蹴り込んだ。
値千金のアシストを記録したのは、延長後半から投入された187㌢の身長を誇る伊比。「入ってから良くなくて、仕事をしないとと、考えていた」。武器である頭で決勝ゴールをお膳立てした。指揮官は「交代は失敗だったかと思ったが、結果的にうまくいった」と、期待に応えた背番号16をたたえた。
小屋、岩崎のセンターバックコンビが鉄壁の最終ラインを築き、2年生GK望月も好セーブで大きな自信をつけた。難しい試合を勝ち抜き、決勝では正智深谷らしい勝負強さを発揮した。チームが掲げる「全国で勝つチーム」へ一歩近づく価値ある一勝となった。
けが明け エースの意地
「絶対に決めてやる」。後半25分からピッチに立った正智深谷のエース外立が終盤に勝負強さを見せた。0―0で迎えた延長後半8分、FKから伊比の折り返しにいち早く反応し、右足を鋭く振り抜いた。
けが明けで試合での起用も前日の判断となったが、小島監督は「彼が持つとボールが落ち着く。やはり仕事をしてくれた」と高く評価。本人は「結果を残せて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、「チームを勝たせる選手になり、関東でも優勝したい」と活躍を誓った。
精度欠き攻撃不発
武南はボールを保持して試合を進めたが、最後までネットを揺らせなかった。「消極的なパス回しになってしまった」とMF山田藍。内野監督も「根拠のない安心感、勘違いの中でサッカーをやっていた」と落胆の色を隠さなかった。
手数をかけた攻撃もフィニッシュの精度を欠いて怖さが半減。相手の嫌がる攻撃を仕掛ける回数が少なく、指揮官は「もっと潜り込んでいかないと。シンプルにボールを放り込んでくる相手の狙いに付き合わされた」と嘆き節だった。
今大会は夏を見据えた個々のレベルアップと、ピッチの状況に対応していく力を養うことに軸足を置いた。山田藍は「見ていて面白いのが武南らしいサッカー。ゴールにつながるパスワークを磨きたい」とチームの現状と向き合っていた。
=埼玉新聞2022年5月1日付け3面掲載=
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