県内唯一のジュニアマイスター
久喜市野久喜の県立久喜工業高校(大澤清校長)は生徒が取得した資格や検定の数などで学校の取り組みを調査するジュニアマイスター顕彰制度で全国上位校に選ばれた。関東甲信越圏では同校を含む2校のみ。同校の大澤校長は「今後も継続し生徒の満足度を高めたい」と述べた。
生徒の資格取得でものづくりの底上げに貢献しようと大澤清校長(右)と斎籐貴裕教諭
ジュニアマイスター顕彰制度は、全国工業高校校長協会が毎年実施している。生徒が取得した資格や検定、コンテストでの実績などを点数化。優秀な生徒を「マイスター」として表彰し、マイスターの数が多い上位校を紹介している。上位校の順位は付けない。
同校は2023年度、特別表彰を受けた生徒2人を含むマイスター113人を育成。全国上位31校に選ばれた。関東甲信越では、同校と栃木県立宇都宮工業高校のみ。同校の選出は一昨年に続き2度目。
同校は5学科の教員が連携し全校を挙げてマイスターの育成に取り組んでいる。化学分析や機械加工など高度で専門的な資格や検定を生徒が取得できるよう、教員がオリジナルのテキストを作成。
機械科主任の斎籐貴裕教諭によると、テキストは他校や卒業生の就職先などでも重宝されているという。斎籐教諭はマイスターを育成する意義について「初めは自信のない生徒も一つ資格を取ると自信が生まれもう一つ上を目指す。資格がその後の人生の道しるべになる生徒も多い」と話す。
昨年度同校には3400件の求人、50大学200人の指定校枠があった。進学、就職率とも高水準。ところが工業高校の人気は低く、新入生は定員割れの状況。
斎籐教諭は「ものづくりの空洞化が進む現状を何とか変えたい。県内工業高校や民間企業の底上げにつながれば」と意欲を語った。
=埼玉新聞2024年4月9日付け10面掲載=
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