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県内最大規模の公募美術展 埼玉新聞社賞・写真部門に浦和北の野中さん

県展3年ぶり開催へ

 県内最大規模の公募美術展である「第70回記念県美術展覧会(県展)」(県、県教委、県美術家協会主催、埼玉新聞社など協賛)の入賞・入選作品が30日、発表された。70回目の節目を迎える同展は、新型コロナウイルスの影響により、3年ぶりに開催される。出品点数は5年連続で減少した。洋画部門の県知事賞に渡辺浩子さん=川口市=の「何をみつめて」が選ばれたのをはじめ、埼玉新聞社賞は洋画部門で白岡市の山本環さん、写真部門で県立浦和北高校2年の野中結衣さん=川口市=に決まった。

写真部門で埼玉新聞社賞に決まった野中結衣さんの「木跡」

 

 県展は日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門。プロ、アマチュア問わず、県内在住、在勤、在学の15歳以上(中学生除く)が応募でき、審査を通過した入選作品と招待作家らの作品が展示される。新型コロナウイルス感染拡大防止で、2020、21年は中止。今回は感染対策を行いながらの開催で、県内62市町の15~99歳の2863人から計3475点(招待作品含む)の応募があった。前回(2019年)より386点の減少で、中でも写真部門の310点減が響いた。入選点数は1588点で入選率は51・2%(前回45・8%)だった。
 今回は「第70回記念賞」(各部門に1人)が設けられ、入賞したのは全体で73人。入賞者の最年少はいずれも16歳で埼玉新聞社賞の野中さんと、日本画部門で県美術家協会賞の池田倫佳さん(県立伊奈学園総合高校2年)の2人。最高齢は工芸部門で県美術家協会賞の渥美セツ子さん(93)=上尾市=だった。洋画部門以外の県知事賞は▽日本画・古山由樹さん(鶴ケ島市)▽彫刻・本多史弥さん(久喜市)▽工芸・隈井純子さん(朝霞市)▽書・土屋光江さん(川越市)▽写真・高木朝彦さん(桶川市)が輝いた。
 県教育局の県展担当者は「3年ぶりの開催で作品が集まるかどうか不安だったが、県民から多くの力作が集まった。記念となる70回展にぜひ来てほしい」と呼びかけた。
 各部門の入選率は次の通り。
 日本画83・9%▽洋画45・2%▽彫刻67・0%▽工芸49・5%▽書64・0%▽写真46・9%

 県展は6月1日から23日まで、さいたま市浦和区の県立近代美術館で開催。会場では、1951年に大宮市立東中学校で1回目が始まり、埼玉会館など場所を変えながら発展した70年の歴史を振り返るコーナーもある。

 

自分だけの表現に挑戦

 

 応募者が多く、時には入選さえも厳しい写真部門に初挑戦し、埼玉新聞社賞という結果を残した。「認められてすごくうれしい。自信がつきました」とはにかむ。
 県立浦和北高校写真部の2年生。受賞作は今年1月、再開発が進む浦和駅周辺で撮影会を行った時の一枚だ。「すごい」。足を止めたのは、一軒家に張り付くように伸びた木の前。直角の壁を横方向に伝って、5㍍以上伸びており、ワンショットで全体を収めるのは難しい構図。最初は他の部員と一緒に、窓などをズーム撮影していたが、「自分なりの視点で撮りたい。全体を見てほしいので、つなげたら面白いかも」とひらめいた。
 受賞作は、縦位置で写した5枚の写真をコラージュし、木が左へ左へと伸びていく様子を表現。生命力に心打たれ、タイトルは「木跡(きせき)」とつけた。
 写真部に入部して、初めて一眼レフに触った。スマートフォンと違って、「風景の一部を切り取る感じがする。自分なりの表現ができて楽しい」と愛機に目を向ける。学校周辺の緑や川、花など身近なものを被写体にすることが多いという。
 今後の目標を聞くと、きらりと瞳を輝かせて「『何か』を伝え、いろんな人に影響を与えられる写真が撮りたい」と語った。

 

=埼玉新聞2022年5月31日付け14面掲載=

 

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