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県立高校23年度から全校で制服選択制

女子用スラックス導入

 県教育局は12日の県教育委員会定例会において、2023年度から女子制服のある全ての県立高校で女子用スラックスを選択できるようになる見通しを示した。LGBTQ(性的少数者など)の暮らしやすい環境づくりなどを基本理念とする「県性の多様性を尊重した社会づくり条例」が22年7月に施行されたことを踏まえ、生徒の多様な悩みに対応する教育環境づくりを目指す。

性別に関わらずリボン、ネクタイ、スカート、スラックスを選択可能とした深谷高校の制服(県教育局人権教育課提供)

 

 同局人権教育課は22年7月、生徒の意思で制服を選べるよう、女子制服にスラックスを導入して選択制とするよう、各県立高校に通知した。男子校や私服の学校を除いた、女子生徒の制服がある130校(現時点)のうち、21年度は91校(当時70%)が選択制で、22年5月時点で103校(79%)に増加。23年4月から130校全てで選択制となることが、各校へのヒアリングで確認できた。
 制服の見直しについては、スラックスを合わせやすいブレザーの制服とし、ネクタイやリボンなども選択できるケースが多いという。一部の学校では既存の制服を生かし、セーラー服にスラックスを合わせる場合もある。男子生徒のスカート選択については、学校で許可し、着用して学校生活を送ったという報告も数例あった。
 同課は女子制服の選択制のみである点について、「戸籍上女性で性自認が男性の生徒が、スカートをはくことで大きな苦痛を感じるケースがある。また、女性がスカートのみしか選択できないのは社会的な潮流に合わない」と説明。男子制服の選択制についても、「個別のケースと他の生徒への配慮のバランスを取って支援を進めることが重要」と話した。
 20年度に県内の公立幼稚園、小中高校、義務教育学校、特別支援学校約1300校から回答を得た調査によると、15~19年度の5年間で子どもから相談を受けたことがある学校は全体の23・3%。実際に行ったLGBTQへの支援や配慮は、服装に関する対応が最多だった。その他にはトイレや集団宿泊学習への配慮などが多かった。3・3%がLGBTQであるとした21年の県調査と比べると相談実績は少なく、学校に相談できないケースも多いと考えられる。
 同局では、性の多様性に関する理解推進や相談支援、環境づくりの取り組みとして、小学5年生~高校3年生向けのリーフレットを作成し、授業などで活用している。また今年3月から、保護者向けの啓発動画を公開し、教職員向けの相談対応ハンドブックを配布する予定。22年度は匿名でLGBTQ当事者同士が交流できるオンラインサロンを開催。計3回に24人が参加し、満足度が高かったことなども報告された。

 

=埼玉新聞2023年1月13日付け1面掲載=

 

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