SNS中傷「自分事に」
競泳元日本代表の星奈津美さん(36)が17日、母校の私立春日部共栄中学高校(加藤和己校長、生徒数2033人)=春日部市=を訪れ、特別授業「お互いを思いやる社会へ」を実施した。交流サイト(SNS)上での誹謗(ひぼう)中傷に苦しむアスリートの現状について語り、「自分事として考えてほしい」と後輩たちに呼びかけた。

特別授業の講師を務めた星奈津美さん=17日、春日部市の私立春日部共栄中学高校
「アスリートは競技に専念して結果を出すことを目指している。誹謗中傷や盗撮被害を耳にする機会が増えているのが残念」。銅メダルを獲得したロンドン、リオデジャネイロ五輪の映像がスクリーンに流れた後、マイクを握った星さんは心情を語った。
スマートフォン1台で誰でも手軽にSNSへ投稿できる現代。年齢を重ねたある選手は現役続行が難しいという批判に反論したが、「アスリートも一人の人間。誰もが立ち向かえるわけではない。傷ついて選手生命が脅かされた人もいる」と明かす。
一方、SNS上で応援された実体験にも触れた。高校1年の時に甲状腺ホルモンが過剰分泌されるバセドー病を発症し、闘病の様子がテレビで放映された際は「見ず知らずの人から『励みになった』とメッセージをもらい、SNSの力を感じた」。
SNSの使用を制限するのは難しい。大切なのは心構えだと星さんは説く。「安易な気持ちで攻撃的な言葉を用いず、相手の立場に立って考えること。『この言葉を自分がかけられたら』と考えれば被害は減る」と投稿前の冷静な判断を求めた。
もし自分が標的となった場合はどうすればいいか。星さんは「〝炎上〟の参加者はネットユーザーの0・5%。攻撃しているのはごく一部の人だと思ってほしい」とアドバイス。SNSがストレス発散のはけ口となっている現状に触れ「人ごとではなく自分事として考えてほしい」と強調した。
特別授業は、SNS上での誹謗中傷などの課題に対し、アスリートやファンが一丸となって解決に取り組むプロジェクト「リスペクション」の一環。星さんはアンバサダーを務めている。
この日は高校1、2年生と水泳部員約1100人が体育館に集まり、先輩の言葉に耳を傾けた。生徒会長の2年野口諒さん(17)は「アスリートに対する誹謗中傷が多い現実に驚いた。相手への思いやりを持ってSNSに投稿することが大事だと感じた」と語った。
=埼玉新聞2026年9月21日付け15面掲載=
サイト内の春日部共栄高校の基本情報は→こちら
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