PK戦で成徳大深谷下す
(最終日、29日・浦和駒場スタジアム)
決勝を行い、2―2からのPK戦の末に正智深谷が成徳大深谷を下して2大会ぶり5度目の栄冠に輝いた。
正智深谷は前半37分に栗原のゴールで先制した。1―1の延長前半追加タイムに吉田が勝ち越し点を挙げたが、直後に再び追い付かれた。PK戦では佐藤、近藤、大和田、稲毛田の4人全員が決めて、4―1で勝利した。
両校は関東高校大会(5月25~27日・千葉)に出場する。
正智深谷―成徳大深谷 PK戦に勝利し喜ぶ正智深谷の選手たち
正智深谷は2―2からのPK戦で成徳大深谷を下した。
正智深谷は細かいパス回しでリズムをつくり主導権を握ると、前半37分、近藤のパスに反応した栗原が相手の背後を抜け出して先制。1―1の延長前半追加タイムには吉田がゴール前のこぼれ球を押し込んだ。成徳大深谷は福島と大森のゴールで2度追い付いたが勝ち切れなかった。
パスで翻弄 優位に展開
正智深谷はPK戦にもつれた一戦で成徳大深谷を下し、2大会ぶりの優勝を飾った。小島監督は「よく勝ち切ってくれた。特徴のある相手を意識して戦えていた」と選手たちをねぎらった。ロングボールを徹底する相手に対しても、丁寧なパス回しで翻弄(ほんろう)しリズムを築いた。
前半から相手の隙を突き、中盤から攻撃陣への縦パスが効果的に決まった。同37分、近藤が「守備が広がっていたのを(栗原)エイトと話していたので狙い通り」とCBの間に縦パスを通す。パスを受けた栗原はGKとの1対1から冷静に決めて先制した。
主導権を握った後半は白岩、栗原ら両サイドがバランスよく攻撃を仕掛けた。優位に試合を運んでいたが「注意していたところで取られた」と近藤。同28分に相手のロングスローから失点した。
延長に入っても計6本のシュートを放つなど敵陣での時間が続いた。同前半追加タイム、赤川が左サイドを突破しゴール前の混戦に持ち込む。ボールを受けた吉田は「いいところに来たので押し込むだけ」と勝ち越しのゴールを決めた。
今大会5試合で14得点4失点。伝統的に堅守のチームだけに、指揮官は「やろうとしていることを安定して出せるにはまだまだ経験値が足りない」と満足はしない。県王者として臨む関東大会でさらなる力をつける。
栗原 初の先発 思い形に
正智深谷の栗原が今大会初の先発起用に応え、チームを勢いづける先制点を奪った。前半37分、中央から相手DF陣の背後に抜け出して左足を振り抜いた。「絶対に決めてやるという思い。いつも練習している形で自分の良さが出せた」とうなずいた。
1年夏からトップチームに加わるも、これまではけが続きで満足なプレーができなかった。「この大会はスタメンを勝ち取るという強い思いで結果にこだわった」と喜びはひとしお。大一番で背番号18が存在感を放った。
起死回生の同点弾
大森
後半28分に投入された成徳大深谷のスーパーサブ大森が、起死回生の活躍を見せた。延長前半に勝ち越しを許した2分後、増田のシュートに「反応する準備はできていた」と滑り込みながら左足を伸ばし同点弾。
得点後はベンチへ一直線に走り、チームメートと喜びを爆発させた。今大会は途中出場が続いたが、4ゴールを記録した。限られた時間で結果を出し続けた背番号11は「粘り強く戦うことができるようになった」とチームと個人の成長に実感を込めた。
劣勢も闘志衰えず
後半28分、成徳大深谷の福島(左から3人目)が同点ゴールを決める
成徳大深谷は、2度の劣勢を追い付くしぶとさを発揮し好ゲームを演じながら一歩及ばなかった。為谷監督は「粘り強くよく頑張った。攻撃も守備もこちらからの指示を受け、選手たちがピッチで状況判断できていた」と修正力の成長に目を細めた。
0―1で前半を折り返すと、後半は守備を整備し勢いをつかんだ。
反撃は得意のセットプレーから。山谷からのロングスローが中央の福島につながると「いいボールが来て内心焦っていたけど、入って良かった」と冷静に左足で決めた。
延長前半に再び勝ち越しを許したが、選手たちの闘志は衰えなかった。失点から2分後の同追加タイムに増田のシュートがファーに流れると、ただ一人反応した大森が左足を伸ばしゴール左に流し込んだ。
PK戦で敗れ、第1代表で関東大会出場という目標は達成できなかった。それでも、主将の稲積は「駄目なところが分からずに進むより、負けがあって良かったと思えるようにしたい」と準優勝を成長の糧にしていきたいと前を向いた。
=埼玉新聞2024年4月30日付け1、7面掲載=
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