「指導者」も選択肢に 梶谷・孫選手2人が後輩へ指導
正智深谷高校(深谷市)サッカー部出身で、ともにサッカーJ1鳥栖への入団が内定している梶谷政仁選手(21)=国士舘大4年=と孫大河選手(22)=立正大4年=が教員免許の取得を目指し、18日まで母校で教育実習に取り組んだ。現在、関東大学リーグ1部に所属する大学のサッカー部で主将を務める両選手は、将来指導者になることを視野に入れ、人生の選択肢を増やすために、サッカーとともに勉強に励み、自らの可能性を広げている。実習期間中、放課後の練習で両選手にアドバイスを受けた後輩たちは、23日の県高校総体決勝で武南を1―0で下し、8年ぶりに全国高校総体に出場する。
◆恩師の偉大さ実感
梶谷選手は、昨年度の関東大学1部リーグで8ゴールを挙げたFW。高校時代は1、2年時に全国選手権に出場した。プロの世界に飛び込むに当たり、「良い選手から自分に足りないものを盗んでいきたい」とどん欲だ。
教員を意識したのは、北本市内の中学校に通っていた頃。学校行事などで積極的に生徒に関わる担任教諭の姿に刺激された。大学進学時には正智深谷高サッカー部の小島時和監督と相談し、教員免許を取得する考えを明確にした。
実習期間中はバスケットボールなどの体育の実技のほか、保健の授業を担当し「加齢と健康」などを扱った。教壇に立つと「授業の準備や内容の改善、重要な点を伝える難しさなど、学ぶことばかり」と日々試行錯誤した。生徒たちに気を配り、視野を広く持つことの重要性を実感。これは周囲と連動するFWとして求められる要素に通じると考える。
同時に、指導教諭であり生徒の関心を引き付けながら授業を行う、小島監督の偉大さを痛感した。「いずれは指導者として正智に戻ってきたい。小島先生は内面的なところまで見てくれ、人間性を養ってもらった」と教師の理想像を恩師の姿と重ねた。
◆実習の経験生かす
孫選手は187㌢の大型DFとして、チームの最終ラインを統率。鳥栖への入団が内定し、「強い、速い、うまい選手が理想。セットプレーで点が取れる価値ある選手になりたい」と意欲的に話した。
教員免許取得を考えたのは大学入学前。「サッカー選手として活躍したいのが一番だが、大学で教員免許を取れる機会があるのなら挑戦しようと。人生の選択肢が増えると思った」と振り返る。
教育実習では日本史を担当。サッカーでは試合前の準備を入念に行ってきた。授業でも同じ姿勢で臨み、「別世界に飛び込むワクワク感があった」と顔をほころばす。授業を通じ、人に物事を伝える難しさと責任感を認識した。今回の経験は、選手間でのコミュニケーションが必要なサッカーにも生きると捉える。
高校時代、1年時はケガでほとんどプレーできず、2年時には全国選手権のメンバーから外れるなど、「挫折を経験した」。だが「自らの課題を見つめ行動し続けた」と苦難の時期に努力を重ねたことが実を結んだ。将来、教員になることがあったら、若い世代に自らの経験を伝えていきたいと考えている。
=埼玉新聞2021年6月25日付け15面掲載=
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