めりはり生まれ集中力向上
練習前にメンタルビジョントレーニングに取り組む浦和実の選手たち=1月24日、さいたま市緑区の九里学園大崎総合運動場
第97回選抜高校野球大会に初出場する浦和実。同校野球部OBの田畑富弘部長は「今までと同じことをやっていてもその先には行けない。何か変えないと駄目だ」と恩師・辻川正彦監督と共にチームに変化をもたらした。
現チームから今まで丸刈りと定めていた頭髪を校則の範囲内で自由とし、練習時間も短縮。指揮官は「本当は質より量派だけど、だらだらやっても今の子たちは駄目」と例年、8~17時だった夏の練習を熱中症対策も兼ね7~14時に変えた。
メニューを固定し、進行が早ければ時間を待たずして終了することもある。中堅手の斎藤颯樹は「準備や片付けも声をかけて分担するようになって、だいぶ練習にめりはりがついた」。そうして生まれた時間を身体のケアや学業に回す選手も多く、より全体練習への集中力が高まった。
3年ほど前から田畑部長が導入したメンタルビジョントレーニング(MVT)の成果も花開き始めた。眼球運動能力を鍛えることでミート力・選球眼の向上が期待されるほか、周辺視・瞬間視能力が上がると集中力アップや状況判断の速さにつながり、プレーの質の向上が見込まれる。
ネクストバッターズサークルでMVTの動作をルーチンとする捕手兼内野手の平山倖大は「速い球に反応できるようになったし、落ちる球の見極めも良くなった」と効果を実感。田畑部長によると、MVTテストの結果が良い選手は打率も比例して上向きだという。
公式戦メンバーを「選手間投票」で決めたのも、この代が初めて。投票は指導者が定めたポジションの割合など一定のルールに基づき記名式で実施。指導者枠2~3枠を確保していたが、過去3度の投票で一度もその権利は使われなかった。
技術か私生活か選考基準は分かれるが、小野蓮主将は「仲間からの評価だから納得感もあるし、私生活も練習も手を抜けない」。一人一人の責任感が問われる中、選び、選ばれ、自分たちの目で見て決めてきた。
選抜メンバーの投票を行った2月11日、辻川監督は練習中の教え子たちを眺めながら「一番大事なのは普段。実力はその次。高校野球ってのは結構、生きざまが出るから面白いんだよなあ」とつぶやいた。選手を信頼し、変化を受け入れ手にした甲子園切符だったのかもしれない。
=埼玉新聞2025年3月12日付け7面掲載=
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