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センバツ浦和実 変化遂げ春に舞う<下>役割徹底 1点に懸ける覚悟

堅守を武器に初舞台

外野ノックに励む浦和実の外野手たち=2月27日、静岡県富士市内

 

 浦和実は甲子園初舞台となる第97回選抜高校野球大会1回戦で、滋賀学園と対戦する。辻川正彦監督は「野球とサッカーは守りのスポーツ。弱いほうが勝つこともある。うちが勝つには守るしかない」。鍛え続けた守備が最大の武器であり、勝機をつかむ道筋だ。
 昨秋は埼玉、関東大会の計10試合で7失策。ダブルエースの片翼で計62回?を投げ防御率0・72を記録した左腕石戸颯汰は110㌔台の直球と80㌔台の変化球を織り交ぜ、切れのある球で打たせて取る。もう一人の左腕駒木根琉空は力投派だが、こちらもバックを信じて打ち取るタイプのため野手陣の支えが不可欠だ。
 部員50人超の浦和実だがレベル分けをせず、全員で同じ練習に取り組む。指揮官は個人ノックよりシートノックのほうが守備の上達に適していると考える。効率より丁寧さを重視。「ファインプレーはいらない。自分の守備範囲だけ、しっかり守れ」と役割を徹底させてきた。
 練習場の九里学園大崎総合運動場は、甲子園出場を機に2月にナイター照明を発光ダイオード(LED)に変え、従来から10倍の明るさになった。それまでは、冬の午後5時半ごろには隣にいる仲間の顔も見えないほど暗闇に包まれ、打球が見えず危険なため早めにノックを切り上げていた。
 夕刻のノックではインパクトの瞬間を見極め、落下地点を予測する必要があった。でこぼこと荒れた天然芝の上で懸命に白球を追う右翼手の山根大智は「ノッカーのスイングで飛ぶ方向を予測できるようになった。イレギュラーが起こるので良い練習になる」と前向き。コーチ陣が直接言わずとも、着々と打球への対応力を吸収している。
 「野球はリズムと間のスポーツ」と話す辻川監督が一番こだわるのは配球。「カウント球・誘い球・釣り球・見せ球・勝負球」の5種を「緩急・対角線・奥行き・残像」を意識して投げ分けさせる。この理論を捕手の野本大智にたたき込んだ。
 ランニングやアップで大声を出すことを要求されていない選手たちが、守備練習だけは「おりぁ!」と声を上げ全力で送球し、互いに細かく連係を図る。本番では分かっていてもできないことがあると理解する野本が、チームに常に攻めたプレーを求めている。
 「取れるアウトを取るのが一番難しい。でも同じ強さの相手と戦う時は、その1点が勝敗を分ける」と野本。1点を争う激戦を戦い抜く覚悟はできている。

 

=埼玉新聞2025年3月13日付け7面掲載=

 

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