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献血理解テーマに研修会 高校生も命救えるー熊谷女子高校

高校生に講演する大谷貴子さん=熊谷市末広の県立熊谷女子高校

 

 大谷さんが発病した時、白血病は完治する可能性が極めて低い病気とされていた。「あと1、2カ月の命だと言われても、諦められなかった」と振り返る。英語が理解できたため、米国の医学書を読み、主治医も知らなかった骨髄移植という治療法があることを発見。適合する白血球の型を持つドナーが見つかるように、骨髄バンクという組織が存在することも知り、設立を目指して動き始めた。
 ある新聞社が大谷さんの願いを記事にすると、自宅に協力を申し出るたくさんの電話がかかってきたという。「日本にも手を差し伸べてくれる
人がたくさんいると分かり、とても心強かった」と大谷さん。その後、母親と適合することが判明し、骨髄移植を受けて回復。大谷さんは活動を継続して130万人の署名を集め、1991年12月に日本骨髄バンクが誕生した。
 同協議会の第2代会長を歴任した大谷さんは白血病以外にも、医療に関わるソフト、ハード面の改善に力を注いだ。末期の胃がんを患っためいが、39歳以下のため介護保険のサービスを利用できないと知ると、終末期に自宅療養が可能な制度導入を働きかけた。独自に取り入れる自治体が、増えつつあるという。
 入院中の子どもが学校の授業を受けられたりするよう、病室にWi―Fiの設置を要望。尿漏れパッドを捨てられず困っている男性のため、男子トイレの個室にごみ箱設置を提案するなどしてきた。大谷さんは、こうした配慮は多様性を認められる社会につながるとして、「皆さんの手で、そんな世の中をつくってほしい」と語りかける。
 少子高齢化で献血の協力者は減り続け、18歳から54歳までとより厳しい年齢制限がある骨髄バンクのドナー登録者も近い将来、大量に〝定年〟を迎える見通しだ。大谷さんは献血を機にドナー登録する人が多いと指摘し、「保健委員の皆さんが率先して献血し、広めてもらえれば。献血から始めて、社会を変えていってほしい」と期待した。

 

=埼玉新聞2025年12月6日付け11面掲載=

 

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