第98回選抜高校野球大会第7日は25日、兵庫県西宮市の甲子園球場で2回戦2試合が行われ、花咲徳栄は日本文理(新潟)に17―0と大勝した。春の甲子園での準々決勝進出は初出場の2003年大会以来、23年ぶり。
花咲徳栄は降りしきる雨の中で試合巧者ぶりを発揮し、序盤から試合を優位に進めた。三回に3四球を選び走者をためると、奥野、本田、谷口が低い打球を放ち、敵失などで4点を先制。続く四回に7点を入れ勝利を決定づけると、八回にも6点を奪いダメ押しした。投げては先発黒川が7回1安打無失点と相手打線に付け入る隙を与えなかった。
花咲徳栄は第9日の27日、準々決勝で智弁学園(奈良)と初の4強を懸けて戦う(午前11時開始)。
攻守に光る 意識共有
プレーボールとともに雨が降り始めた一戦で、試合巧者ぶりを発揮した花咲徳栄が14安打17得点で大勝した。岩井監督は「少々の雨でも練習はやるので大丈夫だとは思っていた」と選手たちへの信頼を語った。
三回、先頭の岩井から3四球などで1死満塁とすると、奥野の一ゴロが敵失を誘い1人生還。さらに本田、谷口の遊ゴロに対しても相手守備が乱れ、この回4得点。四回には佐伯の適時打や押し出し、敵失などで一挙7得点し、試合を決めた。
中盤まで派手さは欠いたが、チームの徹底した意識が大量得点を生んだ。狙い球を共有し、選んだ四死球は12。雨で荒れたグラウンド状況を逆手に取り、低い打球を放つことに意識を集中した。3安打に終わった1回戦後には練習時間の多くを打撃に充てた。岩井監督は「だいぶいい当たりが出てきた」と評価した。
水が浮いた状態のグラウンドで、相手は計5失策。一方、徳栄は無失策で乗り切り力の差を示した。守備の安定感が光った二塁手の奥野は「止まる打球に対して姿勢を低く、グラブを下から出した」と雨への対策を野手陣で共有した。
23年ぶり8強入りを果たし、準々決勝の相手は智弁学園(奈良)。主将の本田は「(相手の)エースの杉本投手はいい投手だが、速い球と左投手の対策をしてきたので、その成果を出す」と冬場の特訓の成果を発揮する時がきた。
4安打 打線けん引
1番・岩井
1番岩井が4安打5出塁の大暴れで打線をけん引した。3度先頭打者として回ってきた打席は全て出塁し、リードオフマンの役目を完璧にこなした。岩井監督の次男は「監督の息子っていうのもあるかもしれないけれど、チームが勝つことが一番素晴らしい」と個人成績よりチームへの貢献を喜んだ。
1回戦の東洋大姫路戦では無安打2三振と苦しみ、「悔しかった」と言葉を漏らした。それからはリラックスして素振りをしたり、ルーティンを意識したりと力みの解消を図った。そのかいもあり、1試合で屈辱を晴らしてみせた。
「1打席目でヒットが出た時に心の中に余裕が生まれた」。心の中から焦りが消えると、四回には1イニングで2本の安打をマーク。八回には無死二、三塁から右前に適時打を放ち、打点も挙げた。
激戦が予想される智弁学園との準々決勝を前に、本来の打撃を取り戻したことはチームにとって好材料だ。「自分たちの野球を悔いのないようにやりたい」と徳栄野球を信じ、初の春4強を懸けた一戦に臨む。
雨に動じず7回無失点
エース 黒川
1回戦に続いて先発を託された黒川は7回1安打無失点と好投した。雨でも制球を乱すことなく、五回2死まで無安打投球。「きょうは真っすぐの走りがよかった。雨は気にならなかった」と速球を投げ込み、相手打線を沈黙させた。
三、四回に大量援護をもらったが、最後まで投げ切るつもりでマウンドに上がったという。勝ち進むにつれて試合の日程は詰まっていくが、「全試合で投げたい」と語るエースはチームを右腕一本で支えていくつもりだ。
強肩で流れ渡さず
捕手 佐伯
捕手の佐伯は自慢の強肩強打で相手に流れを渡さなかった。先制直後の三回の守備。黒川が先頭を歩かせたが、次の打者の1球目で飛び出した一塁走者を刺した。2死からも四球で出した走者を再び刺殺し、打者3人で攻撃を終わらせた。
好守備で相手の反撃の芽を摘むと、その直後の四回の攻撃でチームは7得点。佐伯も1死一、三塁から左前適時打を放った。「点を取った後にはピンチになりやすい。こういうアウトで流れがきたのでよかった」と喜んだ。
センバツ初Vに期待「全力で楽しんで」
更科選手家族トクハル応援
第98回選抜高校野球大会は25日、2回戦2試合が行われ、花咲徳栄は日本文理(新潟)に17―0で勝利した。八回に代走で出場した花咲徳栄の更科遥陽選手(17)は新潟県出身。アルプススタンドには同県在住の父の伸悟さん(44)と母の優美さん(43)、日本文理野球部OBの長兄、海聖さん(22)が、車で7時間以上かけて応援に駆け付けた。

新潟県から応援に駆け付けた更科遥陽選手の(左から)父・伸悟さん、長兄・海聖さん、母・優美さん=25日、兵庫県西宮市の甲子園球場
遥陽選手は3兄弟の三男として同県燕市で生まれた。2人の兄の影響で小学1年生で野球を始め、中学校まで地元のクラブチームでプレー。日本文理で先発出場した秦碧羽選手(17)は小学校からの友人、臼木彪牙選手(16)は中学時代の後輩で、6日の抽選会後には「2回戦で戦おう」と連絡を取るほどの仲だという。中学卒業後は「関東は雪が降らないから一年中練習できる」という理由で、当時2歳年上の次男、悠風さん(19)がいた花咲徳栄に入学した。
地元の日本文理で野球を続けた海聖さんは、弟2人が関東の高校に進学することに「寂しいとは思わなくて、それぞれ甲子園に行きたいがための選択なので、応援したい」と背中を押したという。5歳年下の弟が所属する高校と、母校との対戦が甲子園で実現し、「どっちを応援するというよりも、どっちも頑張ってほしい」と両校の健闘を祈った。
海聖さんは高校3年の夏の甲子園で、メンバーに入れなかった。悠風さんは2024年の夏の甲子園でベンチ入りするも、出場機会がなかった。遥陽選手が甲子園のグラウンドでプレーすることは、更科家にとっての悲願だった。優美さんは「信じられない。息子には感謝しかない」と気持ちをあふれさせた。
両親は兄弟3人を強豪校へ進学させるまでに育て上げた。うち2人は甲子園を経験。しかし、伸悟さんは子どもたちに対して、野球について口を出したことがないという。「やりたいようにやればいい。ハル(遥陽)はハルにしかできないことを、全力で楽しんで」と、スタンドから優しいまなざしを向けつつ、選抜大会の初制覇を願っていた。
=埼玉新聞2026年3月26日付け1、7、23面掲載=
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