五輪柔道金メダル　新井千鶴さん母校・児玉高校で講演

「無駄な経験はない」

母校の後輩らに講演する金メダリスト新井千鶴さん＝１日、本庄市民文化会館

　　東京五輪柔道女子７０㌔級金メダリスト、新井千鶴さんが１日、本庄市民文化会館で講演した。新井さんの母校、県立児玉高校（中山義治校長、生徒数１５５人）が昨年、創立１００周年を迎えた記念講演。「結果ではない。目の前の目標に最高のパフォーマンスをして、最後を笑って悔いなく終わり切るという気持ちが後押しし、金メダルを獲得できた」と報告した。

　新井さんは寄居町出身で、男衾小学校、男衾中学校、児玉高校を卒業し、三井住友海上に進んだ。昨年９月に現役を引退し、現在は所属のアドバイザー、全日本ジュニアアシスタントコーチとして指導している。

　新井さんのテーマは「これまでの道のり」。３つ違いの兄の影響で柔道を始め、兄が活躍して新聞で紹介されると悔しく、「私も新聞に載るように活躍したい。そういう選手になりたい」と目標を高く持つようになったという。

　五輪にも触れ、約１６分戦った準決勝は「手にも力が入らなかった」と明かした。優勝後、ホテルに戻ろうとした時、再び気分が悪くなり、「プレッシャーを感じているつもりはなかったが、自分自身を追い込んで、戦っていたんだなと改めて気付いた」と話し、「必ず出し切れば結果はおのずとついてくる。そう思って戦っていた」と振り返った。

　後輩には「失敗を恐れず挑戦してほしい。失敗があるから教訓になり、自分で考えて行動し、感謝の気持ちも忘れないでほしい。無駄な経験はない」とエールを送った。

　３年生で柔道部の新居孝姫（こうき）さんは「今までの経験は無駄ではないと聞き、その通りだと思いました」、同じく３年生の山本直弥さんも「失敗を繰り返し、諦めずにやり続けた結果、金メダルが取れた。自分の人生にも役立てたい」と話していた。

＝埼玉新聞２０２２年１０月７日付け９面掲載＝