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第102回全国高校サッカー 昌平 最高峰で培った攻撃力 新たな歴史へ

大会第2日 奈良育英と対戦

2大会連続6度目の全国大会に出場する昌平=11月14日、埼玉スタジアム

 

 サッカーの第102回全国高校選手権は28日、48校が参加して国立競技場で開幕する。2大会連続6度目の出場となる埼玉代表の昌平は第2日の29日、1回戦で3大会連続16度目出場の奈良育英と対戦する(12時5分、埼玉スタジアム)。
 今季は、埼玉県高体連チームとして初めてとなる高円宮杯U―18(18歳以下)プレミアリーグ東地区に参入し、7勝5分け10敗の勝ち点26で7位。高校年代最高峰のリーグで培った攻撃力を発揮し、埼玉大会では全3試合で11得点を記録した。最高成績である過去2度のベスト8を超えるため、昌平が再び全国に挑戦する。

 

DF・GK 攻守の基盤構築

クロスボールに頭で合わせる田中瞭(右)

 自陣の後方から攻撃の基盤を築き、守っては素早いプレスと組織的なディフェンスでボールを奪還するDF陣。昌平サッカーの攻守の支柱となっている。
 DFラインの軸となるのは、ゲーム主将の佐(さ)怒(ぬ)賀(が)と坂本の両センターバック(CB)だ。佐怒賀はサッカーに対する知識が豊富でパスカットなど予測にたけている。坂本はスピードと対人が持ち味で相手の抜け出しにも対応できる。サイドバック(SB)は右に田中瞭、左に前田が入りそうだ。田中瞭はスタミナが豊富で上下運動を惜しまず、攻守に献身的。前田は推進力とフィジカルで攻撃にアクセントを加える。的確なコーチングと身長185㌢で空中戦に強いCB佐々木康、年代別日本代表経験者でけがから復帰したSB上原がベンチに控え、選手層が厚い。
 GKは2年生の佐々木智がゴールを割らせない。身長188㌢を生かしたハイボールの処理だけでなく、シュートストップと反応の速さが特長。的確なコーチングで最後尾から支え、2年生とは思えない頼りがいある守護神だ。

 

FW・MF 得点力高い中盤

競り合う山口(左)と土谷

 埼玉大会全3試合で記録した11得点中、8得点がMF陣と今年の中盤は、攻撃の起点をつくるだけでなくゴールへの嗅覚が鋭い。
 キープレーヤーはトップ下の土谷。キックの種類が豊富で、背後を突くパスは放物線ではなく、相手の陣形を遅らせるためストレート軌道のボールで好機を演出する。準決勝の武南戦では後半だけでハットトリックを決めるなどコースに蹴り分ける精度も抜群だ。サイドハーフは、16歳ながら飛び級でU―17(17歳以下)日本代表に選ばれ、才能豊かな1年生山口と、独特なボールタッチで敵陣内に侵入する3年生西嶋が担う。大谷と長(おさ)準のダブルボランチは、ともにスピードや細やかな足技など変幻自在なドリブルで攻撃に勢いをもたらす。緩急をつけたドリブルが武器の長璃、埼玉大会決勝で得点を決めた三浦、ユーティリティープレーヤーの工藤が途中から出場する。
 ワントップは、空中戦に強い2年生鄭志錫か、スピードが持ち味で年代別日本代表経験者の小田のいずれかが先発で起用される。

 

囲まれながらもドリブルで打開する大谷(左から2人目)

 

無念のけがも仲間サポート
石川 穂高 主将

チームを献身的にサポートする主将の石川穂高

 

 浦和南を破り、2大会連続の全国大会出場が決まった瞬間、けがのためピッチの外で見守った主将の石川穂高は昨年とは違う喜びを感じた。「去年は純粋に喜べたけど、今年はみんながカップを掲げさせてくれた幸せがあった」と口にした。
 1年時からセンターバックのレギュラーで活躍し、年代別日本代表に選ばれるなど将来有望なディフェンダー。だが、今年7月の練習中に左膝の前十字靭帯(じんたい)断裂。手術の結果、全治8カ月の診断で事実上、高校サッカー人生に幕が下りた。
 心の中にぽっかりと空いた気持ちを簡単に埋めることはできない。だが、「日本一」の夢をかなえてくれる仲間を信じてマネジャーの立場でメンバーの荷物を運んだり、道具の準備など献身的にサポートした。
 ゲームキャプテンの佐怒賀は「裏で支えてくれているのは分かっていたから、(石川)穂高に優勝カップを掲げさせたかった」。チームは「穂高のために」を合言葉に埼玉大会で優勝。表彰式で石川はキャプテンマークを腕に巻き、優勝カップを掲げた。
 全国に挑戦する仲間に石川は「一戦一戦、みんなが成長して優勝する姿が見たい」と願う。「穂高のためにも優勝しないといけない」(佐怒賀)とチーム一丸で戦い、石川を日本一の主将へと導く。

 

沿革

 1979年、東和大付属昌平として創立した私立校。2007年に経営を新法人に移管し、校名を「昌平」に変更した。校訓は「礼儀・勤勉・明朗」。男女共学で進学、スポーツとともに人間教育、国際教育などにも力を入れている。10年からは昌平中も開校した。
 サッカー部は08年から強化をスタートさせ、14年度に全国高校選手権に初出場。19、20年度は、2大会連続で8強に進出した。全国高校総体では16、18、22年に4強に入った。
 今年からは埼玉県高体連で初めてとなる高円宮杯U―18(18歳以下)プレミアリーグ東地区に参入し、7勝5分け10敗の勝ち点26で7位。部員は144人。OBには松本泰志(広島)、小見洋太(新潟)らがJリーグで活躍する。

 

対戦校の横顔
奈良育英

 奈良市の私立高校。1916年、私立育英女学校で創立。48年に校名を奈良育英に変更し、男女共学となった。サッカー部は69年に創部し、元日本代表でワールドカップに4大会連続で選出されたGK楢崎正剛ら、多数のJリーガーを輩出する。
 選手権出場は3大会連続16度目。94年度の第73回選手権で奈良県勢最高成績のベスト4に輝いた。今年の県大会では4試合を全て1点差で勝利し、勝負強さを発揮した。7月の全国高校総体にも出場し、1回戦で同4強の日大藤沢(神奈川)に0―0からの延長、PK戦で敗れた。

 

=埼玉新聞2023年12月28日付け7、8面掲載=

 

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