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浦和実 初のセンバツ 悲願、創部から半世紀

 3月18日に兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する第97回選抜高校野球大会(センバツ)の出場校が決まり、昨秋の秋季関東大会で4強入りした浦和実が初出場を決めた。同校の甲子園出場は1975年の創部以来、春夏合わせて初となる。

 

創部以来初の選抜大会出場が決まった瞬間、ガッツポーズを決めて喜ぶ浦和実の選手たち=24日午後、さいたま市南区の同校スポーツスタジオ

 

 浦和実は昨秋の県大会でダブルエースの石戸、駒木根の両左腕と捕手野本のバッテリーを中心に堅守を発揮。準々決勝で浦和学院、準決勝で山村学園を破ると、決勝で西武台に勝利し初の栄冠を手にした。
 関東大会では1回戦で宇都宮工(栃木)、準々決勝でつくば秀英(茨城)に勝利。準決勝では後に明治神宮大会で優勝した横浜(神奈川)を相手に2―3と競り、選出は確実視されていた。
 岡田慎一校長、辻川正彦監督らスタッフと選手、保護者らは同校のスポーツスタジオで選考委員会を生配信で視聴。午後3時45分ごろ、関東枠の3番目に浦和実の名前が呼ばれると選手たちはガッツポーズとともに声を出し喜びを爆発させた。
 岡田校長は「甲子園という大舞台で悔いの残らないような、はつらつとしたプレーを期待している」と感慨深げにチームを激励。同校で総監督などを含め37年間指揮を執る辻川監督は、誰よりも緊張した様子でこの日を待っていた。「37年間本当に長かった。やっときょう決まった。選手の皆さん、本当にありがとう」と悲願の甲子園出場に涙ぐんでいた。
 組み合わせ抽選会は3月7日に行われる。

 

ベストを尽くして

大野元裕知事

 浦和実業学園高等学校の皆さん、春夏を通して初の甲子園出場おめでとうございます。甲子園では、埼玉県代表校としての自信と誇りを持ち、はつらつとしたプレーで、紫紺の優勝旗を目指し、ベストを尽くしてください。県民の皆さまと共にご活躍を心からお祈りいたします。

 

成長した姿に期待

清水勇人さいたま市長

 選抜高校野球大会への初出場、誠におめでとうございます。秋季県大会での初優勝、関東大会でのベスト4の健闘からさらに成長した姿を、ひのき舞台で見せていただくこと
を期待しています。高いチーム力を発揮し、春の甲子園での大活躍を135万人のさいたま市民と共に祈っています。

 

自分の形崩さずに

斎藤明博県高野連会長

 甲子園初出場おめでとうございます。県予選および関東大会では、守りの野球からリズムをつくり、ここぞという時の攻撃力は見事でした。甲子園でも粘り強く戦い、自分たちのスタイルを崩さず試合を進めてください。そして、憧れの甲子園球場での試合を大いに楽しんできてください。

 

待ちわびた便りに感涙

初の選抜大会出場が決定し、帽子を投げて喜ぶ浦和実の選手たち=24日午後、さいたま市南区の同校

 

 浦和実に今までにない春が訪れる。午後3時45分、選考委員会の生配信から「(関東)3校目に浦和実業学園高校」という声が聞こえると部員約50人全員の笑顔がはじけた。副主将の深谷は「自分たちの力だけじゃ行けなかった。周りのサポートのおかげ。今までの緊張感が解けて自然体で喜べた」と抑えていた気持ちを爆発させた。
 1975年の創部以来、春夏合わせて初の甲子園出場が決定。88年から指揮を執る辻川監督は会見で前に立つと「37年間…」と一言話し30秒間、感極まった様子で声を詰まらせた。
 00年の秋季関東大会で8強入りし、迎えた翌年1月の選考委員会で浦和実の名前が呼ばれず、「選ばれないと分かっていても、みんながしゅんとした。あれは本当にトラウマ」と苦い思い出を振り返る。
 この日は東北の選出校が呼ばれ始めると手にじんわりと汗がにじんだ。「泣くなんて思わなかった。うれし泣きなんて人生でしたことないけれどほっとした」と念願の選出に心の底からあふれるものがあった。
 初の選抜大会に向け、今までの鍛練期とは異なる冬の練習に励む選手たち。指揮官は「毎日見ていると変化は分からない。(選手らの)成長は甲子園で初めて分かるんじゃないかな。浦実の野球を精いっぱいやって、大暴れしてほしい」と教え子たちの躍進に期待を込めた。

 

強豪校を抑えたい
エース石戸

 ダブルエースの一翼を担う浦和実の左腕石戸は初の甲子園出場が決まり「絶対に選ばれると信じていた。うれしいし、今は勝ちたい気持ちが一番」と実感を込めた。
 中学時代は草加花栗中でプレーしたメンバー唯一の軟式野球出身者。昨秋は県の地区から関東大会までの計8試合で62回2/3を投げ防御率0・72と切れのある変化球で打ち取った。甲子園に向け、「注目されプレッシャーもあるが楽しみたい。強豪校を抑えられるピッチャーになりたい」と気持ちを引き締めていた。

 

誰より力強くガッツポーズ
主将・小野

 誰よりもこの日を待ちわびながら、主将として毅然とした態度で練習に臨み続けた浦和実の主将小野は選考の瞬間、チームで一番力強くガッツポーズを決めた。「何十年分の先輩たちの思いも背負い、すごく重い初出場。良い報告ができてうれしい」と笑顔を咲かせた。
 チームの盛り上げ役であり大黒柱。「勝っていても負けていてもベンチの雰囲気の良さはどこにも負けない。プレー以外のところもしっかりやってきた」。選出にふさわしい組織をつくり、念願の夢舞台切符を手にした。

 

守備堅く勝利へ「まずは楽しむ」
捕手・野本

 守備の要であり打撃力でもチームをけん引する浦和実の捕手野本は「人生で一番うれしい瞬間だった。今日は全力で喜んで明日から切り替えたい」と喜びをチームメートたちと分かち合った。
 宮代町出身。庄和シニア時代には全国16強を経験した。細かな守備を詰めていきたいと現段階の課題を挙げ「取れるアウトを取るのが一番難しい。エラーが少ない守備の堅いチームが勝つと思うが、まずは楽しみたい」と初の全国出場に向け、心を躍らせながらも守り勝つ野球の体現を誓った。

 

OBの埼玉西武・豆田がエール

浦和実OBである埼玉西武の豆田泰志投手(越谷市出身)は、後輩たちの躍進を耳にし「関東大会で2勝したのは初めてですごいなと思っていた。(全国大会)初出場なのでまずは1勝して浦和実業の校歌を甲子園に響かせてほしい」と喜んだ。
 秋季県大会や関東大会の結果を練習の合間に気にかけ、配信などで視聴していたという。「後輩たちがテレビに映る。僕自身もそれに恥じない選手になるので一緒に一生懸命、頑張っていきましょう」と母校へエールを送った。

 

=埼玉新聞2025年1月25日付け1、7面掲載=

 

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