2021年12月10日配信
入試本番で時間配分を誤らないために
日々時間を意識し、模試で予行練習を
学力検査で確実に点数を取るには時間配分が重要です。よく試験が終わった後で、「時間が足りなかった」と言う人がいますが、これは明らかに作戦ミスです。
埼玉県公立入試では、年度により多少の違いはありますが、各教科の大問数・小問数とその配点、出題の形式や解答の形式(記号選択か記述か)、難易度はほぼ一定です。
したがって、どの問題にどれくらいの時間がかけられるかは、事前にある程度想定しておくことができます。その場で考えるのではなく、本番前に作戦を立てておきましょう。
埼玉県公立入試の過去問題の閲覧は
◆配点から時間配分を考える
学力検査は各教科100点満点であり、試験時間は50分です。単純計算すれば、「1分=2点」です。(「1点=30秒」とも言えます)
まず国語の例で考えてみます。
【国語:共通】
大問1 配点26点 時間配分13分
大問2 配点24分 時間配分12分
大問3 配点26分 時間配分13分
大問4 配点12点 時間配分6分
大問5 配点12点 時間配分6分
配点を基に時間を割り当てて行くと以上のようになります。
しかし、これはあまり現実的とは言えません。たとえば、大問5の作文は6分で書ききれるかどうか。また、大問1と大問3の長文読解は問題文を読むだけでも大変なので、各13分で足りるかどうか。やはり、もう少し時間を多く取っておいた方がいいと考えられます。
では、どこからその時間を生み出すかといったら、漢字の読み書きなどを含む大問2からとなるでしょう。ここを半分の6分で乗り切れれば、2つある長文問題と作文に2分ずつ多く割り当てることができます。
◆数学は大問1で時間短縮
次に数学(学力検査)について見て行きます。
【数学:学力検査】
大問1 配点65点 時間配分32分30秒
大問2 配点10点 時間配分5分
大問3 配点10点 時間配分5分
大問4 配点15点 時間配分7分30秒
以上が配点を基にした時間配分です。
数学は後半の大問3、大問4に証明や論証の問題があるので、ここにできるだけ多く時間を残しておきたところです。
大問1は独立した小問が全部で16問あります。そのうち(1)から(8)までの8問は形の決まった計算問題ですから、ここは大幅に時間を短縮できるところです。配点を基にした時間配分では30分以上になりますが、これを半分くらいに縮めないと、後半が時間不足になります。
数学(学校選択)も見ておきます。
【数学:学校選択】
大問1 配点44点 時間配分22分
大問2 配点11点 時間配分5分30秒
大問3 配点12点 時間配分6分
大問4 配点16点 時間配分8分
大問5 配点17点 時間配分8分30秒
以上が配点を基にした時間配分です。
大問1は(1)から(4)までが計算問題、残りは確率や資料の活用(標本調査など)などで、いずれも「型」が決まった問題です。大問2に作図が含まれますが、これもほぼパターンが決まっています。ですから、大問1と大問2は、それほど多くの時間を割り当てる必要はないでしょう。そこまでで10分以上は生み出せるので、大問3以降に配分します。
◆長文問題に多めの時間配分
最後に英語です(今回は理科・社会は割愛します)。
大問1は学力検査、学校選択共に放送を聞いて答える問題(リスニング)で配点は28点です。配点を基にした時間配分では14分ということになります。それほど難易度は高くないので、短時間で終わらせたいところですが、放送のペースに合わせなければならないので、自分だけ早く終わらせるということが出来ません。そこで、この14分はとりあえず固定して考えます。
【英語:学力検査】
大問2 配点12点 時間配分6分
大問3 配点18点 時間配分9点
大問4 配点30点 時間配分15分
大問5 配点12点 時間配分6分
以上が配点を基にした時間配分です。
大問2は語い力(単語力)だけの問題なので6分は必要ないでしょう。大問3もそれほど時間はかかりません。大問4は4つの会話文等があり、それぞれに1~3問の小問が設定されており、多めの時間配分が必要です。大問2、大問3で生み出した時間はここに配分することになるでしょう。
【英語:学校選択】
大問2 配点28点 時間配分14点
大問3 配点34点 時間配分17分
大問4 配点10点 時間配分5分
以上が配点を基にした時間配分です。
大問2は、学力検査問題の大問4に相当する問題で、読む量も小問数も多いですが、学校選択問題受験者にとって、それほど難易度の高い問題とは言えません。大問3ではかなりの長文を読まなければなりませんので、大問2で少しでも時間を浮かせ、それを大問3に振り向ける形が考えられます。
◆時間を意識した勉強を取り入れる
ここまで述べてきたのはあくまでも一般論です。教科の得意不得意や、単元・分野の得意不得意は、人それぞれなので、時間配分もそれによって変わるでしょう。
今後は問題演習を軸とした勉強になるかと思いますが、その際、時間を意識した勉強法も取り入れてください。すべてをその方法で行う必要はありませんが、どんなタイプの問題を自分は何分で解けるかということを体験的に知っておくと、本番での時間配分の失敗を回避できます。
埼玉新聞社では1月9日(日)、第2回埼玉新聞模試を実施します。問題数、出題形式・解答形式、難易度等は本番そのままに作られていますから、時間配分の予行練習にもなるでしょう。
(教育ジャーナリスト 梅野弘之)
=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
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