埼玉新聞社 高校受験ナビ

【分析】公立入試、倍率は今後どう変化する? <続編>

2021年11月11日配信

過去の推移データから

浦和・浦和一女・川越・川越女子

春日部・不動岡・熊谷・熊谷女子 

の倍率動向を分析

 

 前回記事(11月9日付)では、数多く発表される公立入試倍率のそれぞれの意味や見方、また、現時点における高倍率校の今後の見通しなどについてお伝えしました。

 今回は、浦和・浦和一女など上位伝統校の倍率変化について、その特徴をお伝えします。

 上位伝統校に共通して見られる特徴は、第1回進路希望調査、第2回進路希望調査、出願時、受検当日という一連の流れの中で、倍率の変化が非常に小さいことです。変化の幅が小さいので、第1回進路希望調査の倍率から、最終的な受検当日の倍率がかなり正確に予測できます。

 学校名横のカッコ内は今年度第1回進路希望調査の倍率です。

 

県立浦和(1.31倍)

昨年1回1.28倍

 同2回1.30倍

 同当日1.26倍

 令和3年度は第1回と当日との差はマイナス0.02でした。ほとんど変化がなかったと言っていいでしょう。

2年度は(1.62→1.47)でマイナス0.15、元年度は(1.55→1.42)でマイナス0.13でした。2年度と元年度は同校としては高めのスタートだったこともあり、下がり幅がやや大きくなりましたが、今年度は昨年に近い1.31倍からのスタートなので1.2倍台の後半というのが現段階で予想できる最終倍率(受検当日倍率)です。

 

浦和一女(1.27倍)

昨年1回1.30倍

 同2回1.41倍

 同当日1.36倍

 令和3年度は1.30からスタートし、途中やや上がりましたが、最終的には1.36に落ち着きました。第1回と当日との差はプラス0.06でした。

 2年度は(1.30→1.38)でプラス0.08、元年度は(1.18→1.34)でプラス0.16でした。今年度は同校としてはやや低めのスタートですが、過去3年間の傾向から最終的には1.3倍台の後半まで上がると予想されます。

 

県立川越(1.54倍)

昨年1回1.38倍

 同2回1.40倍

 同当日1.35倍

 令和3年度は同校としては同校としては低めの1.38からのスタートで、最終的には1.35となりました。第1回と当日との差はマイナス0.03でした。

 2年度は(1.54→1.45)でマイナス0.09、元年度は(1.53→1.39)でマイナス0.14といずれも本番に向け低下しています。過去3年間の傾向から最終的には1.3倍台後半から1.4倍台の前半に収まると予想されます。

 

川越女子(1.45倍)

昨年1回1.39倍

 同2回1.35倍

 同当日1.28倍

 令和3年度は1.39と同校としては低めのスタートでした。大きく下がることはないと予想されましたが、最終的にはマイナス0.11で1.28となりました。

 2年度は(1.44→1.39)でマイナス0.05、元年度は(1.61→1.49)でマイナス0.12といずれも本番に向け低下しています。過去3年間の傾向から最終的には1.4倍台前半にとどまるか、1.3倍台の後半まで下がるかといったところでしょう。

 

春日部(1.06倍)

昨年1回0.96倍

 同2回0.99倍

 同当日1.27倍

 令和3年度は0.96と定員割れ状態からのスタートでしたが、最終的には1.27まで回復しました。第1回と当日との差はプラス0.31でした。

 2年度は(1.11→1.33)でプラス0.22、元年度は(1.16→1.33)でプラス0.17でした。

 第1回調査から第2回調査にかけては変化がありませんが、出願時に大きく上がるのが同校の特徴となっています。出願時からは、希望調査の対象となっていなかった県外生(千葉・茨城)が加わるのも上昇の一因です。

 ちなみに今春、同校には15人の県外生(千葉・茨城)が入学しています。また、同じ市内の春日部女子、春日部東にも例年、定員の5~10%の県外生が入学しています。出願時において県外生による倍率押し上げ効果が見られることを覚えておくといいでしょう。

 

不動岡(1.23倍)

昨年1回1.38倍

 同2回1.36倍

 同当日1.32倍

 令和3年度は1.38と同校としてはやや低めのスタートでしたが、大きく下がることはなく最終的には1.32となりました。第1回と当日との差はマイナス0.06でした。

 2年度は(1.50→1.22)でマイナス0.28、元年度は(1.54→1.32)でマイナス0.22でした。スタート時の倍率に関わらず最終的には1.2~1.3前後に収まっています。

 今年度は1.23と同校としてはかなり低めのスタートなっています。外国語科(定員40)が募集停止となり、その分普通科の定員が増えたのも倍率低下の原因と言えるでしょう。ただ、第1回調査時点の倍率は、直近5年間で(1.82→1.60→1.54→1.50→1.38)と下がり続けていることなどを考え合わせると、最終的には1.3倍台に乗るかどうかというところでしょう。

 

熊谷(1.04倍)

昨年1回0.87倍

 同2回0.93倍

 同当日1.02倍 

 令和3年度は0.87と定員割れ状態からのスタートでしたが、最終的には1.02まで上がり何とか定員割れを回避できました。

 2年度は(1.13→1.07)でマイナス0.05、元年度は(1.18→1.23)でプラス0.05でした。

 今年度は昨年よりはやや高いものの、2年度の1.13、元年度の1.18よりも低いスタートになっており、最終的には上がったとしても1.1倍台にのるかどうかというところでしょう。

 

熊谷女子(1.05倍)

昨年1回1.05倍

 同2回0.99倍

 同当日1.13倍 

 令和3年度は1.05からのスタートで、最終的には1.13まで上がりました。第1回と当日との差はプラス0.08でした。

 2年度は(1.14→1.18)でプラス0.04、元年度は(1.05→1.15)でプラス0.10でした。

 今年度は1.05で、3年度、元年度と同じスタートとなっています。この2か年はそれぞれ1.18、1.15まで上がっているので、今年度も1.10~1.15前後まで上がると予想されます。

 

 以上、前回記事(11月9日付)で取り上げられなかった学校について見てきました。

 これらの学校は、2倍3倍といった高倍率からスタートすることはなく、高くても1.5倍止まりです。そして、第2回調査、出願時、受検当日と進んで行っても倍率変化はプラスマイナス0.2以内に収まっています。したがって、今後も劇的な変化は起こらないと見ておいていいでしょう。

 なお、今回の分析は、あくまでも第1回調査時点のものですので、第2回調査の結果次第では修正の必要が出てくるかもしれません。

 

(教育ジャーナリスト 梅野弘之)

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=

 

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