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【学校教育】県私立中学高等学校協会会長 青木徹氏に聞く

先進埼玉の改革さらに

 

 埼玉県内には50を超える私立高校があり、中高一貫校を含め、併設する中学校は30を超える。県私立中学高等学校協会(さいたま市浦和区)の会長に、本年度から開智学園理事長の青木徹氏が就任した。公立中学の教員から転身し、数々の教育改革を進めてきた青木氏に今後の課題を聞いた。

 

「先進的な埼玉の私学の教育改革をさらに進めたい」と話す青木徹会長

 

 

 ―会長に就任した抱負を。
 小川(義男)前会長が進めてきた県との関係や中高協会の取りまとめをしていきたい。特に教育の中身の改革が課題。多様な生徒を募集し、多彩な教育をするコース制の導入をはじめ、埼玉の私学は全国に先駆けて、社会の変化に対応した、さまざまな改革に取り組んできた。
 コロナ禍に限らず、ICT(情報通信技術)やオンラインを取り入れるのも早かった。引き続き、新しい改革を進めたい。
 ―具体的な課題は。
 埼玉の私学は生徒数の充足率が高い。埼玉県は国の高校無償化以前から、学校にではなく保護者へ直接補助をしてきた経緯がある。私学に行きやすい環境ができている。スポーツでも文化でも切磋琢磨(せっさたくま)し、多様な活動をしている。かつては埼玉の生徒が東京の私学へ行っていたが、今では東京から埼玉に来るようになっている。バランスも考えながら、臨時的措置ではなく定員増を求めて行きたい。
 一方で、公立高校は生徒が通信制に流れている傾向がある。自由度が高いことが魅力なのではないか。生徒が主体的に学ぶ、魅力のある学校にしていく必要がある。進学校だけではなく、普通の学校で生徒主体の教育を進めなければこれからは通用しないだろう。
 ―教育を志した思いは。
 母親が小学校の教員だったこともあり、教員になろうと思っていた。一番なりやすいのは音楽だと言われ、音楽の教員になった。
 公立で二十数年間やってきた。日本の教育は平均的にはいいが、上下の格差があって、個の教育は難しい。そこで私立でやろうと思い、今まで日本にはなかった教育の中身の改革に乗り出した。今では当たり前になった「探究」もそうだが、最初からこの言葉を使ってやってきた。修学旅行も観光的なものではなく、フィールドワークとした。
 オンライン化やグローバル化なども進めているが、私学があることで公立も刺激になっていると思う。

 

【プロフィール】 あおき・とおる 1947年生まれ。74歳。東京・国立市出身。学校法人開智学園理事長、開智国際大学学長。学芸大学卒。都内の公立中学校で音楽の教員を務めた後、96年、前身の埼玉第一高校理事。中高一貫校設立に尽力し、翌97年より理事長。さいたま市岩槻区をはじめ、加須市、茨城・守谷市、千葉・柏市などで小学校から大学まで展開。2024年、所沢市に小中高校を開設予定。教育に新聞活用を進める埼玉県NIE推進協議会副会長。

 

=埼玉新聞2022年8月31日付け6面掲載=

 

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