分野の横断で進路実現の幅広がる
1925(大正14)年に大宮町立工業学校として創立し、開校以来、県内の工業学科の学びをけん引してきた大宮工業高校。全日制では、機械科、電子機械科、電気科、建築科を設置し、昨年度は文部科学省の「マイスター・ハイスクール」に関東で唯一指定された。2026年には浦和工業高校と統合し、ロボット技術、専門情報に関する学科も置かれる。
金属を扱える3Dプリンタや回転と傾斜の軸を加えた五軸マシニングセンタ(工具自動交換機能付きのNCフライス盤)など最新鋭の設備を取り揃えるが、授業では手作業の基礎工程から教える。「基礎を知ることで機器の扱いも身に付くと思っています」と野辺純利教頭。生徒の方が最新機器に慣れるのも早く、切断や彫刻加工を行う最新型レーザー加工機のマニュアルを作成する生徒もいるという。
横断的な学びも活発に行われる。学科横断型、科目横断型の授業、企業の一線で働く中堅社員から最新の技術や「ものづくり」を取り巻く工程を学んで認識を深める。生徒も学科を越えた知識吸収にも意欲的で、機械科の生徒も電気科や電子機械科で学ぶ分野のスキルも取得できる。山﨑正義校長は、「自動車にはモーターなどの機械のほか、ボディ、電気系統、電子機器等が必要です。多様な業種の協働によって製品が完成することを知ってもらうことを意識しています。そういう授業を用意することで、自分の分野の学びが社会でどう活かされているのかも理解します」と学びの意図を明かす。その姿勢は県内企業・団体からも注目されている。県内IT企業の社員が学校に常駐し、20社を超える企業や団体と連携して授業を展開しており、最近では熊谷保健所とともに福祉用具の開発に着手している。
生徒は工業の原点から学ぶ風土と校内外での横断的な学びの中で、自分の将来についても考えるきっかけが生まれる。近年、進学率も高まり昨年度は4割を超えた。山﨑校長は、「専門的に学ぶことで資格が取れ、それを活かして就職もできる。学びの深掘りをしようと大学進学を選ぶこともできる。自分の進路と向き合い、いい意味で揺れることができ、状況に応じて進路を選べることも本校の魅力のひとつです」と力強く語る。
=埼玉新聞7月4日付け「高校入試対策特集」8・9面掲載=
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学校の特徴 ~学校からのメッセージ~
全国に誇る充実した施設・設備と企業等との外部連携からなる実践的な学習活動を行っています。工業科の実習系科目は、1班 10人程度の少人数で行うほか、2年次では数学Ⅱ、英語コミュニケーションⅡを少人数制によるきめ細やかな指導で社会生活や大学生活を支える教養を身に付けます。各学科とも3年次より専門知識を深める専門コースと、理工系大学進学をめざすカレッジコース(英語・数学・理科)を設置しています。
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