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上尾高校で平和学習 戦争の悲惨さ実感

 県立上尾高校(嶋村秀樹校長)は、広島への修学旅行を予定している2年生359人(普通科241人、商業科118人)を対象にし、事前学習として平和学習ワークショップを行った。桶川飛行学校平和祈念館の関根訪館長を講師に招き、生徒たちは戦争の悲惨さを実感するとともに、平和の尊さに理解を深めた様子だった。

 

平和学習ワークショップで特攻作戦などについて解説する関根訪館長=県立上尾高校

 

 関根館長は、平和祈念館の前身「旧熊谷飛行学校桶川分教場」や特攻隊、熊谷空襲について話した。館長の説明の区切りには、演劇部の生徒が特攻隊長の遺書や空襲の体験記を朗読した。
 関根館長は、当時の分教場の様子を物語る写真を使いながら説明。「各地から集まった学生たちが寝食をともにしながら陸軍飛行兵になるため訓練を受け、戦地へ向かった」飛行機の空気力学や天候などを学ぶ気象学など多岐にわたる授業のほか、軍人としての精神訓話や体を鍛える剣道なども行われた。
 第二次世界大戦末期の特攻作戦を解説。「重さ250㌔の爆弾をつけた飛行機にパイロットが乗ったまま敵の船に体当たりして沈没させた。パイロットは必ず戦死することになった。17歳から32歳の若者で、皆さんとほぼ同世代で命を失った」と話すと生徒たちから言葉にならない声が漏れていた。
 さらに1945年8月14日夜の熊谷空襲にも触れると、終戦前日に起きた悲劇に生徒たちは「私たちの身近で空襲があったなんて知らなかった」「終戦の前の日なんてつらすぎる」と衝撃を受けていた。
 ワークショップのテーマは「言葉と想像力でつなぐ歴史と平和」。生徒たちは感じたことをグループごとに話し合い、漢字1字で今の気持ちを表すことに挑戦。「悲」「恐」「命」「継」などを選んだ。感想にも「戦争を繰り返してはいけないと思った」「私たちが学んだことを語り継いでいくことが大切」などの言葉があり、戦争や平和への理解を深めた様子だった。
 生徒会長の佐藤和輝さん(16)は「初めて知ったことが多く、平和について自ら考えることが大切だと分かった。修学旅行の後も考えていけたらと思う」と話した。

 

=埼玉新聞2022年12月3日付け12面掲載=

 

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